
成功したキャリアの共通点
7,577回視聴
2026年8月8日
<ライブQ&A 参加者募集> 人材・人事戦略のプロ・海老原嗣生氏、佐藤雄佑氏があなたのキャリア相談に生回答します。 実施日時:2026年8月26日(水)〜 参加方法:PIVOTアプリより参加登録が必要です。Live配信当日は、参加申込み後にお送りするメール内にあるYouTub...
8/26開催のライブQ&Aのお申込はこちら
「自分らしさ」で未来を拓く:キャリア成功を導く二大理論と実践
激変するビジネス環境のなか、自身のキャリアをどう築くべきか。成功への道筋は画一的なものではなく、個人の「らしさ」をいかに活かすかにかかっている。この自己理解と環境への適応という二つの要素が、キャリアを飛躍させる重要なカギとなるのだ。
本稿では、個人の偶然と適応性を重視するクランボルツの「計画された偶発性理論」と、揺るぎない価値観に焦点を当てるエドガー・シャインの「キャリアアンカー理論」という二大理論に焦点を当て、それらをキャリアにどう適用していくべきかを掘り下げる。
自身の「得意技」を見つけ、仕事を自分流に「クラフティング」することで、組織の中で自分らしく輝き、結果的に成功へと導く実践的なアプローチを探る。目の前の業務に流されることなく、主体的にキャリアをデザインしたいと願う全ての人に、そのヒントを提供する。

Q. キャリアを成功に導く最大の秘訣とは一体何であるか?
キャリアの成功は、他人に無理に合わせることではなく、自身の「らしさ」を追求することから生まれる。「癖」や「こだわり」、つまりは自分にしかできない「得意技」を磨き上げることで、他者に代えがたい存在となり、長く必要とされ続ける人材となるだろう。
自身の個性や強みを徹底的に追求することは、特定のニッチ市場で高い専門性を発揮する「職人肌」の人間だけを指すのではない。例えば、あらゆる状況で高い水準の対応力を維持する「平均的なバランスの良さ」は、トヨタ車のような信頼性に繋がり、それ自体が強みとなり得る。
あるいは、専門性はなくても、突発的な問題に対し臨機応変に「応急処置」を施せる能力、いわば「万金丹」のような存在も組織では重宝される。これら千差万別の「自分らしさ」を自覚し、磨き上げることで、どの企業や環境においても生き抜く術となるだろう。
Q. 偶発的なチャンスをキャリアに最大限活かすにはどうすべきか?

キャリアにおける「計画された偶発性」とは、予期せぬ出来事を意図的にキャリア形成に組み込む戦略である。偶発的なチャンスを引き寄せるには、日々の生活に「余白」を設けることが不可欠となる。過密なスケジュールに囚われていると、新しい情報や出会いが入り込む隙がなくなり、潜在的な機会を逃してしまう可能性があるのだ。
余白を確保し、好奇心を持って積極的に「外」に出て行くことで、これまでと異なる視点や新たな気づきを得る可能性が高まる。これが、予期せぬ幸運を引き寄せる最初のステップだ。
特にビジネスの場において、異分野からの誘いや未経験の仕事は、一見リスキーに見えるかもしれない。しかし、自身では気づかない「隠れた強み」を他者が見抜いて声をかけているケースは多い。なぜならば、他者は自身よりも客観的にその人の資質や潜在能力を見極めることができるからだ。自分では一割程度しか認識していない強みを、他者は多角的に評価し、期待をもってアプローチしている。こうした誘いには積極的に乗ってみる価値が大いにあるだろう。
ただし、すべての誘いに闇雲に乗る必要はない。「誰でもいい」といった投げやりな案件や、すでに破綻しかかっているプロジェクトへの参加は慎重に避けるべきだ。見込みのある機会か否か、信頼できる打診であるかを見極める目が求められる。
Q. キャリアアンカー理論とはどのような概念で、その価値は何か?
キャリアアンカー理論とは、エドガー・シャイン教授が提唱した、個人のキャリアを規定する根源的な価値観、欲求、能力を指す。シャイン教授は20代で抱いた仕事へのこだわりが、40年後の人生においてもほぼ変わらないことを長期的な追跡調査で明らかにした。これはつまり、自身のキャリアアンカーを早期に認識することが、その後の人生を豊かに生きる上で極めて重要であることを意味している。
米国のようなジョブディスクリプションが明確な社会では、自分のキャリアアンカーに合わせて転職することが主流であった。しかし、日本ではジョブディスクリプションが曖昧なぶん、個人の裁量で仕事を「自分仕様」に変容させられる余地が大きい。これを「ジョブクラフティング」と呼ぶ。自身のキャリアアンカーを理解し、それに合わせて業務を工夫することで、たとえ本来の適職でないと思われる職種でも高いパフォーマンスを発揮し、満足度の高いキャリアを築くことが可能となるのだ。
Q. 自分はどのタイプか?代表的なキャリアアンカーを具体的に知りたいか?

キャリアアンカーは様々なタイプに分類されるが、特に注目すべきものとして以下が挙げられる。
スペシャリティ志向: 特定分野での卓越した技術や専門性を追求し、その分野の第一人者になることを望む。
経営志向: 組織全体を広く把握し、意思決定や全体統括に魅力を感じる、いわゆるジェネラリスト的志向。
自立独立: 指示されることを嫌い、自分のペースで、自分の意思決定に基づいて仕事を進めたいと考える。
保証安定: 解雇や不確実な状況を避け、経済的な安定や長期的な雇用の保証を強く求める。
企業創造: 新しい製品、サービス、事業をゼロから生み出すことに情熱を燃やす。クリエイティビティや変革への欲求が強い。
社会奉仕: 自身の仕事を通じて社会や他者に貢献することに最も価値を見出す。利他的な動機が強い。
ワークライフバランス: 仕事だけでなく、家庭やプライベートな生活との調和を重視し、自由な時間を確保したいと考える。
これらのアンカーは、「高く登りたい(競争や出世、起業)」、「深く潜りたい(専門性の探求)」、「広く知りたい(全体像の把握やマネジメント)」という3次元的な方向性で捉えることができる。自分自身のメインアンカーを認識し、どの方向に進むべきか、何を重視したいのかを理解することは、後悔のないキャリア選択において非常に有効だ。マネージャーにならなければ評価されないといった既存の社会的な価値観に縛られることなく、自身の最も強い価値観を追求することが、最終的な幸福につながる道である。
Q. 自身の「らしさ」を活かして、仕事を変容させる「ジョブクラフティング」とは何か?
「ジョブクラフティング」とは、与えられた仕事の範囲や内容を、自分の強みや価値観、情熱に合わせて主体的に調整・再構築するプロセスを指す。これは、受け身ではなく、能動的に仕事を作り変える姿勢と言える。
例えば、マネージャーという職務ひとつとっても、「こうあるべき」という固定的なイメージにとらわれる必要はない。プレイヤーとして現場をリードすることに喜びを感じるマネージャーもいれば、チームのメンバーのサポートに徹し、情熱をもって彼らを育成することに価値を見出すマネージャーもいるだろう。厳格な規律を重んじる者もいれば、フレキシブルな対応でチームをまとめる者もいる。自分の「らしさ」を反映させることで、それぞれのマネージャー像を確立できるのだ。
これは、GE(ゼネラル・エレクトリック)のリーダーシップ論に通じるものがある。彼らは優れたリーダーを「100%オーガニック(天然素材そのもの)」と称した。つまり、リーダーは型にはまった模倣者であるべきではなく、基礎的な知識やスキルを身につけた上で、本来の自分自身の強みや個性を最大限に活かすべきだという思想だ。多様な個性を持つリーダーが存在することで、組織はあらゆる状況や変化に対して柔軟に対応できるようになる。
自身を知り、仕事の概念を広げることで、どんな職務でも自分流にアレンジし、組織の中で確かな存在感を示すことができるはずだ。
Q. 組織の中で「自分らしさ」を失わず、長く活躍し続けるための心構えとは?

私たちは自分の人生の「主役」ではあるものの、同時に他者の人生においては「脇役」であり、会社という「プロデューサー」から仕事という「シナリオ」と資金が提供されている。この現実を理解し、自分の個性や願望を追求する「自分軸」と、組織にどのような価値を提供できるかという「貢献軸」の両立を目指すことが重要となる。
与えられた役割を自分流に楽しむことに加え、自身の「らしさ」が会社や社会に対してどう貢献できるかを明確にアピールすることで、組織からの理解と支持を得やすくなる。自分自身が「主役」として仕事を楽しみながらも、「脇役」として周囲との調和を図り、結果として会社全体にとっての「Win-Win」の関係を築き上げることが、組織内で長く輝き続ける秘訣と言えよう。
キャリア相談の場でも「自分がどうしたいか」だけを主張する人よりも、「相手(会社や社会)に何ができるか」を具体的に提示できる人が、チャンスを掴みやすい。貢献への意識は、どんなキャリアフェーズにおいても不可欠な視点なのだ。
