BODY SKILL SET
(1114)
9,379回視聴
2025年12月18日

なぜ体が疲れた時には海岸にある温泉がおすすめなのか?心・体・脳をリカバリーする秘湯とは。絶対にハズさない心と体を癒す名湯を早坂信哉氏と北出恭子氏に聞いた。 <ゲスト> 早坂信哉|医師/東京都市大学人間科学部教授/温泉療法専門医/日本健康開発財団温泉医科学研究所所長 浜松医科大学医学部准教授、大東文...
日々の疲れやストレスに悩む現代人にとって、温泉は心身を癒す最高の場所となる。しかし、温泉と一言でいっても、その種類や効果は多岐にわたるため、目的に合わせた賢い選択が重要である。日本には約3000もの温泉地が存在し、フランスやドイツと比較しても圧倒的な数と多様性を誇る。温泉を単なるレジャーではなく、積極的に心身をリカバリーする手段として捉えれば、その効果は計り知れない。

海沿いの温泉地では、入浴効果だけでなく「タラソテラピー」と呼ばれる海洋療法効果も期待できる。潮風に含まれるミネラルや海藻由来の養分を呼吸と共に体内に取り込み、疲労回復や健康増進につながるのだ。鹿児島県の指宿にあるオーシャンビュー温泉は最近リニューアルし、保湿成分であるメタケイ酸が2倍以上に増加。お湯は透明からミルキーブルー色に変化した。

浴槽と海が一体化して見えるインフィニティ風呂では、まるで海と一体になったような開放的な体験ができる。さらに、地熱を利用して卵や野菜を蒸す「スメ体験」や、天然の砂蒸し温泉も近くで楽しむことができるのだ。海辺の気候は体にも優しく、心身の回復を促す療養に適した場所といえる。
森の中の温泉地は、木々から発せられる芳香成分「フィトンチッド」による森林浴効果が得られる点が特徴である。フィトンチッドには免疫力向上効果が確認されており、入浴と相まって心身のリフレッシュを促進する。奥蓼科温泉・渋辰野館は、武田信玄の隠し湯と伝えられる白樺の森に囲まれた宿で、標高1700mの高地に位置する。

ここでは、21℃と冷たくpH2.7の強酸性でありながら飲用可能な炭酸泉を体験できる。飲むとまるでサイダーのような味がすると評されている。温かい浴槽と冷たい源泉を行き来する温冷交代浴は、血行促進や自律神経を整える効果をもたらし、デトックス体験ができる。高地環境は元気な人にさらなる活力を与えるが、体調によっては負担となる可能性もあるため、自分の体調を考慮した選択が求められる。
情報過多の現代社会において、脳の疲労回復には「デジタルデトックス」が有効である。青森県の山奥にある「ランプの宿 青荷温泉」は、電波が届かず、電気もないため、強制的にデジタルデバイスから離れる環境にある。夜はランプの灯りのみで過ごし、日中は温泉に浸かり、自分自身と深く向き合う時間を持つことができる。
スマホなどのない環境では、他者とのコミュニケーションが活発になり、旅人との一期一会の交流も楽しめる。泉質は体に優しい単純温泉であり、刺激が少ないため長時間の入浴にも適する。幻想的な雰囲気の中、4種類の異なる温泉を巡りながら、心と脳を完全にオフラインにし、究極のリカバリー旅を体験できるだろう。
温泉はまさに天然のエステといえる。福島県の「おとぎの宿 米屋」では、植物由来の成分を含むモール泉を源泉100%かけ流しで堪能でき、肌はつるつる、ぬるぬるとした感触になる。寝転んで全身に源泉ミストを浴びるミストサウナは、水圧がかからず、心身ともにリラックスしながら美肌成分を全身に浸透させる優れものだ。ここでは、料理やアメニティに至るまでオーガニック製品や体に良いものにこだわり、内側と外側の両面から美しさを追求できる。

温泉を選ぶ際は、スキンケア目的に合わせた泉質マップの活用が効果的だ。角質・皮脂除去には酸性泉や硫黄泉、保湿・保温には塩化物泉や硫酸塩泉、血行促進には炭酸泉がそれぞれ適する。強い泉質の温泉に入浴した後は、肌荒れを防ぐために真水で体を洗い流す「上がり湯」が不可欠であることを忘れてはならない。
家族旅行で温泉を選ぶ際は、肌への刺激が少ない泉質であるかどうかが重要である。特に小さなお子さんは肌がデリケートなため、pHが中性で、湯あたりしにくい単純温泉が適している。奥飛騨温泉郷にある「槍見館」は、家族で楽しめるオールラウンダーな温泉として推薦できる。ここには、宿泊者が無料で利用できる貸切風呂が複数あり、中には温泉ブランコが設置されたユニークな風呂もあるのだ。
山奥の温泉は強い泉質の場所が多いが、奥飛騨温泉郷は肌に優しい中性の単純温泉が多く、子供からお年寄りまで安心して入浴できる。目の前を流れる川のせせらぎを聞きながら、自然に囲まれた露天風呂で家族水入らずの時間を過ごせば、誰もがリラックスした一日を満喫できるだろう。
温泉選びで失敗したくないなら、環境省が認定する「国民保養温泉地」に注目するとよい。これは温泉の利用が十分に期待でき、健全な保養地として活用される温泉地を指し、全国に79箇所存在する。豊かな湯量と優れた泉質はもちろんのこと、静かで良好な環境、温泉に関する専門知識を持つ人材の常駐、顧問医の存在などが選定基準に含まれる。
観光地としての賑わいよりも、療養や静養に重点を置いているため、喧騒を避け心身を落ち着かせたい場合に最適な選択肢となる。例えば箱根の中でも、静かな環境で知られる足之湯などが国民保養温泉地に指定されている。確かな効果と癒やしを求めるならば、このリストから自分に合った温泉地を選べば間違いはない。