
デスクワーカーの腰痛・違和感の正体
長時間座る日本人の股関節が危ない! フィジカルトレーナーが教える「すごい股関節」の秘密
自分の体は自分で移動させるためにある。しかし、股関節が動かなくなると、それが難しくなる。日本人は世界で最も座っている時間が長い国民であり、それが股関節に大きな負担をかけている。中野ジェームズ修一氏が教える股関節の重要性と、私たちが今すぐできる対策を紹介する。

股関節とは何か?その重要性を理解する
股関節は骨盤と大腿骨がつながる部分で、英語では「ヒップジョイント」と呼ばれる。この関節は人間の体の中でも特別な存在だ。股関節に関与する筋肉の数は約23個もあり、これは一つの関節としては最多である。
多くの筋肉が関わっているということは、それだけ大きな力を発揮できるということでもある。例えば肩関節や肘関節が動かなくなっても、自立した生活は可能だが、股関節が動かなくなると、自分の体を移動させることができなくなる。
股関節には体重が直接かかるため、非常に負担が大きい。そのため、多くの筋肉で安定させる必要がある。さらに、股関節が外れないようにするために「靭帯」という組織が重要な役割を果たしている。靭帯は「セロハンテープ」のような役割を果たし、関節の安定性を保っている。
座る時間が股関節に与える影響
現代人の多くが股関節の不調を訴えている。その最大の原因は何か?それは「座ること」だ。座る動作は股関節に最も負担がかかる姿勢なのである。
立っている時は、大腿骨の骨頭が骨盤のくぼみに適切にはまっているため、体重による圧力が面全体に分散される。しかし、座っている時は骨頭の位置がずれ、一点に圧力が集中してしまう。これが痛みを引き起こす原因となる。
日本人は世界で最も座っている時間が長い国民だ。シドニー大学の調査によると、日本人の平日の総座位時間は420分(7時間)で、サウジアラビアと並んで世界最長となっている。
日本では「どうぞお座りください」という言葉が丁寧なマナーとされており、座る時間を長くしている一因となっている。また、コロナ禍でのリモートワークの増加やインターネットの普及により、歩かずに指一本で用事が済む時代になったことも、座る時間の増加に影響している。
男性と女性の股関節の違い
男性と女性では骨盤の構造に大きな違いがある。女性の骨盤は広く、男性の骨盤は狭い。この違いが座った時の影響にも差をもたらす。
女性の場合、骨盤が広いため、長時間座っていると上からの圧力で骨盤がさらに外側に広がる傾向がある。これを「アウトフレア」と呼び、お尻が大きくなる原因となる。人間の体は与えられた環境に適応するため、長時間座っていると座りやすい骨格に変化していく。
一方、男性は骨盤が狭いため、「仙骨座り」と呼ばれる姿勢になりやすい。本来、骨盤は前傾していることで腰椎が適切に反っているべきだが、仙骨座りでは骨盤が後傾し、腰椎の自然な反りが失われる。これが男性に腰痛が多い理由の一つである。

お尻の筋肉の重要性
股関節の英語名「ヒップジョイント」が示すように、股関節はお尻と密接に関連している。お尻の筋肉が股関節を動かす主な役割を果たしている。
お尻の筋肉は歩く時、走る時、階段の上り下りなど、日常生活で常に使われている。しかし、現代人の生活様式ではこれらの動作が減り、お尻の筋肉が衰えてしまう。その結果、股関節が安定せず、痛みの原因になる。
さらに、現代人の歩き方にも問題がある。股関節を十分に伸展(後ろに動かす)させないと、お尻の筋肉は効果的に使われない。ハイヒールなどを履くと、この伸展動作が制限され、お尻の筋肉がさらに弱くなってしまう。
自分の股関節の状態をチェックする方法
自分の股関節の状態を知るための簡単な方法として、靴底の減り方を見ることがある。
骨盤がアウトフレアで股関節が外側に向いていると、歩く時に足の外側に体重がかかり、靴底の外側が多く減る。筋力が弱い場合は内側に倒れ込み、内側が過剰に減る。また、左右の減り方に差があれば、股関節の使い方に問題がある可能性がある。
また、実際に股関節の機能を評価する簡単なテストもある。椅子に片足を乗せる動作を行い、安定して行えるかをチェックする。
足を前に出して沈み込み、椅子に足を乗せる動作を3回繰り返す。さらに、下から足を上げる際に回転させる動作を加えると、股関節の安定性がより明確に分かる。グラグラして安定しない場合や、左右で差がある場合は、股関節の機能に問題がある可能性が高い。

股関節を健康に保つためにできること
股関節の問題に対する対策は人それぞれ異なるが、共通して行うべきことがいくつかある。
1. 座る時間を減らす:30分座ったら一度立ち、その場で少し歩くなど、長時間座り続けないようにする。
2. ソファーなど柔らかい座面での長時間の使用を避ける:特に男性は骨盤が後傾しやすくなるため注意が必要。
3. お尻の筋肉を鍛える:スクワットなどの運動で意識的にお尻の筋肉を使う。
4. 股関節の柔軟性を保つ:股関節周りの筋肉を日常的にストレッチする。
5. 正しい歩き方を意識する:足を後ろにしっかり伸ばし、お尻の筋肉を使って歩く。
6. 日常的に股関節を動かす:股関節を回す動作を取り入れる。
アスリートと一般の人の体の構造は基本的に同じだ。違いは使い方と鍛え方にある。適切なケアと運動習慣で、誰でも健康な股関節を維持することができる。
