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ピラティス徹底解剖 最新研究で学ぶ本当のメリット
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2025年2月26日

ビジネスパーソンのための体・心の鍛え方を一流の専門家から学ぶ。トップアスリートがピラティスをやる理由、医療分野で注目されている理由を解説。 <ゲスト> 本橋恵美 一般社団法人 Educate Movement Institute 代表理事 株式会社 E.M.I. 代表取締役 徳島大学大学院 医学研...
インナーマッスルを鍛えればダイエット以上の効果が!? ピラティスの驚くべき健康効果を医療の専門家が解説
巷で流行っているピラティス。おしゃれなエクササイズというイメージが強いが、その実態は想像以上に奥が深い。今回はスポーツ医学に基づいたピラティスメソッドを構築し、ラグビー、野球、サッカー、ゴルフなどのトップアスリートをコーチングしている専門家・本橋恵美氏に、ピラティスの健康効果について詳しく伺った。

Q: ピラティスがここまで世界中で人気を集めている理由は?
ピラティスは今、世界的に急速に市場を拡大している。現在の市場規模は約1,267億米ドルだが、2036年には約4,782億米ドルにまで成長すると予測されている。これほど市場が拡大する理由の一つに、高齢化社会の進展がある。
オーストラリアでは、ピラティスインストラクターの資格は国家資格として認められており、医師が処方箋にピラティスを処方するケースも増えている。患者はその処方箋を持って町のピラティススタジオに行き、かかった費用は後から保険会社から払い戻されるシステムになっている。
これは、ピラティスが単なるトレーニングではなく、医学的にも効果が認められた健康法だからこそ。特に高齢者や腰痛に悩む人にとって、非常に有効なエクササイズなのだ。

Q: なぜトップアスリートはピラティスを取り入れているの?
クリスティアーノ・ロナウドやレブロン・ジェームスなど、世界のトップアスリートの多くがピラティスを取り入れている。その理由は主に2つある。
1つ目は「パフォーマンスの向上」。ピラティスによって体幹が安定することで、より効率的な動きができるようになるからだ。特に体幹の深層部にある筋肉(インナーマッスル)を鍛えることで、外側の筋肉(アウターマッスル)がより効果的に機能するようになる。
2つ目は「怪我の予防」。例えば東海大学のラグビー部では、2016年に4,883件あった怪我が、ピラティスとヨガを導入した2018年には2,200件台まで減少した。これは、体幹の安定性が高まることで、不安定な動きが減り、怪我のリスクが大幅に軽減されるためだ。
Q: ピラティスの起源は?
ピラティスは、その名前の由来となった人物、ジョセフ・ピラティスによって考案された。第一次世界大戦中、ドイツ人であった彼はイギリスで捕虜となった。その間、自分自身と仲間たちのために独自のエクササイズを考案した。
彼がインスピレーションを得たのは、実は猫の動きだった。猫が獲物を追いかける前に行うストレッチを観察し、「背骨と骨盤の動きが最も重要だ」と考えたのだ。また、ベッドのスプリングを使って怪我をした兵士のリハビリを行ったことが、現在のピラティスマシンの原型になっている。
戦後、ピラティスは「戦争や人を殺すための体作りには自分の技術を使いたくない」という思いからアメリカに亡命。そこで彼のメソッドは広まり、今日の世界的なブームにつながっている。
Q: ピラティスとヨガの違いは?
一見似ているように思えるピラティスとヨガだが、アプローチの仕方に大きな違いがある。ヨガは「心から体へ」のアプローチで、精神性を重視するのに対し、ピラティスは「体から心へ」のアプローチで、体をきちんと鍛えることによって心も健康になるという考え方だ。
ピラティスの創始者であるジョセフ・ピラティスは、ヨガも学んでいたため、いくつかのポーズには共通点がある。しかし、ピラティスはより解剖学的なアプローチを重視し、特に背骨と骨盤にフォーカスしている点が特徴的だ。
Q: 体幹とは具体的にどの部分?
体幹とは、頭部と四肢(腕と足)を除いた全ての部位を指す。具体的には首、胸、背中、お腹、お尻など、胴体部分全体のことだ。この体幹の中でも、特に「腹腔」と呼ばれる横隔膜から下のお腹の部分が重要で、この部分のインナーマッスルを鍛えることがピラティスの重要なポイントになる。
人間の筋肉は大きく分けて「アウターマッスル」と「インナーマッスル」に分類できる。アウターマッスルは大きな力を出す筋肉で、見た目にも表れるため、筋トレなどで鍛えられることが多い。一方、インナーマッスルは体の深層部にあり、関節や姿勢の安定性を保つ役割を持つ。
理想的な動きは、まずインナーマッスルが働いて体を安定させ、その上でアウターマッスルが大きな力を発揮するという順序。しかし、多くの人はインナーマッスルの使い方を知らず、アウターマッスルから使ってしまうため、怪我のリスクが高まるのだ。

Q: ピラティスで鍛えられるインナーマッスルとは?
ピラティスでは特に以下の4つのインナーマッスルを鍛えることが重要だ。これらは「パワーハウス」と呼ばれ、家に例えると次のようになる:
1. 骨盤底筋群(家の床):恥骨から尾骨までのハンモック状の筋肉で、特に女性は出産などで緩みやすい。膣トレーニングもこの筋肉を鍛えるもの。
2. 多裂筋(家の柱):背骨に直接付着している筋肉で、背骨が不安定にグラつかないように支える役割がある。
3. 横隔膜(家の屋根):呼吸に関わる筋肉で、息を吸うと下に収縮し、吐くと上に戻る。
4. 腹横筋(家の壁):お腹の最深部にある筋肉で、天然のコルセットのように体を安定させる。この筋肉は、あらゆる動作の前に最初に収縮してほしい筋肉だ。
腹筋は実は4層構造になっており、表面から順に腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋と配置されている。多くの人は表面の腹直筋(いわゆる「6パック」)や外腹斜筋から使い始めるが、理想的には最も深層の腹横筋から使い始めるべきなのだ。
Q: ピラティスには具体的にどんな効果があるの?
ピラティスには主に3つの効果がある:
1. インナーマッスルの強化:前述のパワーハウスと呼ばれる4つの筋肉を鍛えることで、体の安定性が高まる。
2. 腰痛改善:様々な運動療法の中で、腰痛改善に最も効果があるのがピラティスだというデータがある。これは、ピラティスが筋力強化、安定性向上、可動性改善、運動のコントロール、姿勢改善、呼吸改善などを総合的に行うからだ。
3. 健康的なダイエット効果:ピラティスは元々ダイエット目的ではなかったが、インナーマッスルを鍛えることで代謝が上がり、結果的に痩せやすい体質になる。
Q: 正しい姿勢や動きのためには何が必要?
正しい姿勢や動きを獲得するためには、「モビリティ(可動性)」と「スタビリティ(安定性)」のバランスが重要だ。
人間の関節は交互にモビリティとスタビリティを必要とする。例えば:
- 足首→モビリティ重視
- 膝→スタビリティ重視
- 股関節→モビリティ重視
- 腰椎→スタビリティ重視
- 胸椎→モビリティ重視
- 肩→モビリティ重視
- 肩甲骨周辺→スタビリティ重視
こうした交互のパターンがあるため、例えば股関節と胸椎が硬い(モビリティが低い)と、その間にある腰椎(本来はスタビリティが重要)が過剰に動いて代償してしまい、腰痛の原因になる。
実際に徳島大学の研究では、胸椎のモビリティを向上させると腰への負担が減少することが証明されている。このように、体の各部位が適切に機能することで、全体のパフォーマンスが向上し、怪我のリスクも減少するのだ。

Q: ピラティスはどんな人におすすめ?
ピラティスは、実はアスリートだけでなく、あらゆる年齢層の人におすすめできる。特に以下のような人に効果的だ:
- 腰痛に悩む人:ピラティスは腰痛改善に最も効果的なエクササイズである
- 高齢者:モビリティとスタビリティのバランスを整え、日常生活の質を向上させる
- デスクワークが多い人:長時間の座り仕事で硬くなった筋肉をほぐし、姿勢を改善する
- スポーツをしている人:パフォーマンス向上と怪我予防に役立つ
東海大学ラグビー部の例からもわかるように、ピラティスを導入することで怪我の発生件数が大幅に減少する。これは、正しい体の使い方を学ぶことで、不必要な負担が減るためだ。
また、一般的なイメージとは異なり、ピラティスは女性向けのエクササイズではなく、男性アスリートにも非常に効果的。実際に多くのプロスポーツ選手がピラティスを取り入れている。
Q: 自宅でもできるピラティスの基本とは?
ピラティスの基本は「ドローイン」と呼ばれる動作で、お腹を20〜30%程度内側に引き込む動きだ。これによって腹横筋などのインナーマッスルを意識的に使うことができる。
また、正しい呼吸も重要だ。人間は1日に約2万回呼吸するが、ストレスなどで呼吸が浅くなると胸が硬くなってしまう。ピラティスでは深い呼吸を意識し、横隔膜と肋骨を効果的に動かすことで、胸のモビリティも向上させる。
自宅でのマットピラティスは、特別な器具なしでできる大きな利点がある。まずはドローインを意識しながら、基本的な動きから始めると良いだろう。
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ピラティスは単なるダイエット法ではなく、体の使い方を根本から変える効果的なエクササイズだ。インナーマッスルを意識的に使えるようになると、日常生活からスポーツまで、あらゆる動作が効率的になり、怪我のリスクも減少する。「見た目の筋肉」だけでなく、体の内側から健康になりたい人は、ぜひピラティスにチャレンジしてみてはいかがだろうか。