
最高の休養をとる7つの戦略
最高のパフォーマンスを発揮するための「攻めの休養」とは?7つの戦略を専門家が解説
仕事や日常生活で最高のパフォーマンスを発揮するために、「オフ」の時間をどう過ごすかが重要だということをご存知だろうか。クリスティアーノ・ロナウドや大谷翔平など、世界トップレベルのアスリートたちは「オフファースト」で考え、休養を戦略的に取り入れている。休養の質を高めることで、パフォーマンスも向上するのだ。

Q. 休養を大きく分けると、どのような種類があるのでしょうか?
休養は大きく3つに分けることができる。「生理的休養」「心理的休養」「社会的休養」の3つだ。
生理的休養はさらに3つのタイプに分かれる。「休息タイプ」「運動タイプ」「栄養タイプ」の3種類である。
心理的休養も3つのタイプがある。「親交タイプ」「娯楽タイプ」「造形・創造タイプ」だ。
社会的休養には「転換タイプ」の1つがある。
これら合計7つの戦略を上手に組み合わせて取ることが、質の高い休養につながる。

Q. 生理的休養の「休息タイプ」とはどのようなものですか?
休息タイプとは、体を動かさない状態や睡眠を取るなど、安静にすることを指す。昼寝(パワーナップ)もこれに含まれる。
昼寝を取るなら、15〜20分程度の短時間が良いとされている。これは睡眠が深く入る前に起きることで、すぐに活動できる状態に戻れるからだ。
もう少ししっかり休みたい場合は、睡眠のサイクルを考慮するとよい。人間の睡眠サイクルは約90分と言われており、このワンサイクルを取ることで、浅い睡眠状態で目覚め、その後の活動にスムーズに移行できる。
クリスティアーノ・ロナウド選手は、1日に何回かに分けて睡眠を取る「分割睡眠」を実践している。これは「多相性睡眠」とも呼ばれ、赤ちゃんの頃の睡眠パターンに近い。成長とともに「単相性睡眠」(1回寝て1回起きる)に変わっていくが、ロナウド選手は多相性を続けることで体調管理をしているようだ。

Q. 「ゴールデンタイム」は本当に存在するのですか?
夜10時から2時までの睡眠が重要だという「ゴールデンタイム説」は、実は根拠がない。
睡眠中の深い状態(ノンレム睡眠の第3段階)では、成長ホルモンなどが出やすいと言われている。しかし、この深い睡眠は、寝始めてからの最初の90分サイクルで最も多く現れる。つまり、10時に寝ても2時に寝ても、寝始めてからの最初のサイクルが重要なのであって、時間帯そのものが特別というわけではない。
Q. 生理的休養の「運動タイプ」とは何ですか?
運動タイプは、軽い運動によって体の回復を促す休養法だ。激しい運動ではなく、体操やヨガ、ウォーキングなどの軽微な運動が該当する。
目的は血液循環を促進することにある。血液は細胞に酸素を届け、老廃物を回収する役割を担っている。そのため、軽く体を動かして血液の循環を良くすることが、体の回復に繋がる。
例えば、激しい運動の後にグラウンドを一周歩いたり、柔軟体操をしたりするのは、まさにこの運動タイプの休養を取っていることになる。

Q. 「栄養タイプ」の休養とはどういうものですか?
栄養学では一般的にカロリーを摂取することに注目しがちだが、休養の観点からは「カロリーを取らない」ことが重要になることもある。これが栄養タイプの休養だ。
胃腸系を休ませることが目的だ。お正月に食べ過ぎた後の七草粥は、まさに先人の知恵で、胃腸を休ませるためのものだ。
普段の生活でも腹八分目を心がけたり、油っこいものを控えたりすることで、胃腸への負担を減らすことができる。過度の飲酒も体にストレスをかけるので、程々にすることが望ましい。
完全に食事を断つファスティング(断食)も一つの方法だが、日常生活では食事量を適度に減らす程度で十分だ。高齢者医学的にも、適度に食事量を減らすことは細胞の活性化につながると言われている。
Q. 心理的休養の「親交タイプ」とは何ですか?
親交タイプは、人や自然と交わることで心の安らぎを得る休養法だ。井戸端会議のような何気ない会話や、自然の中で過ごすこと、動物と触れ合うことなどが含まれる。
例えば、山歩きをしたり、キャンプで自然に触れたりすることは、都会の喧騒から離れて心を落ち着かせる効果がある。最近のキャンプブームも、この親交タイプの休養を無意識に求めているとも言える。
Q. 「娯楽タイプ」の休養とは何ですか?
娯楽タイプは、趣味や楽しみを通じて心の安らぎを得る休養法だ。映画やドラマを見たり、ゲームをしたり、飲み会に参加したりすることが含まれる。
ただし、目的意識を見失わないことが重要だ。例えば、ドラマを延々と見続けてしまうなど、休養の目的を忘れると本末転倒になる。一定のコントロールを保ちながら楽しむことが大切だ。
飲み会もストレスにならない程度の時間で楽しめば、良い休養になる。食事を楽しむことも、会話が生まれることでこのタイプの休養になる。また、食事に行くために歩けば運動タイプも同時に取れるなど、複合的に休養を取ることも可能だ。
Q. 「造形・創造タイプ」の休養とは何ですか?
造形・創造タイプは、何かを作ったり想像したりすることで心を休める方法だ。日曜大工、料理、手芸などの創作活動が含まれる。
これらの活動中は没入状態になり、ストレスから切り離されている状態(心理的デタッチメント)になることが重要だ。この状態が休養としての効果をもたらす。
例えば、料理をしている時、没頭することでストレスを忘れられる。また、マインドフルネスや瞑想も創造タイプに含まれるが、それが難しければ、目を閉じて好きな人や場所を想像するだけでも効果的だ。このような方法なら、仕事の合間にでも簡単に実践できる。
Q. 社会的休養の「転換タイプ」とは何ですか?
転換タイプは、環境を変えることで休養効果を得る方法だ。生理的休養や心理的休養が体の内側に関わるものなのに対し、転換タイプは体の外側の環境を変えることに焦点を当てている。
最も分かりやすい例は旅行だが、それが難しい場合は、デスクを整理したり、部屋を掃除したり、模様替えをしたりすることでも効果が得られる。さらに手軽な方法としては、服を着替えることで気分転換を図ることもできる。
Q. これらの休養法を効果的に取るコツはありますか?
休養を効果的に取るコツは、これらの7つのタイプを複合的に組み合わせることだ。これが「攻めの休養」につながる。
例えば、温泉に入ることを考えてみよう。温泉に浸かると体が温まり血行が良くなる(運動タイプ)。露天風呂から美しい景色を眺めると心が安らぐ(親交タイプ)。景色を見ながら様々なことを想像すると創造タイプにもなる。温泉までの移動や歩行も運動タイプになり、普段と異なる環境に身を置くことで転換タイプの効果も得られる。
別の例として、スープを作ることを考えてみよう。クッキングそのものが娯楽タイプになり、何かを作る行為は造形・創造タイプになる。家族と一緒に料理をすれば親交タイプも加わる。出来上がったスープを持って近くの公園に行けば、運動タイプと転換タイプも同時に取れる。
このように、日常の活動の中でも意識的に複数のタイプを組み合わせることで、効率的かつ効果的な休養が可能になる。

Q. なぜ休養が重要なのでしょうか?
休養はパフォーマンスを最大化するために不可欠だ。トップアスリートたちは「オフファースト」で考えている。つまり、最高のパフォーマンスを発揮するために、いかにオフの時間を質高く過ごすかを重視しているのだ。
例えば、大谷翔平選手は最低8時間、休日には12時間も睡眠を取るといわれている。プロとして最大のパフォーマンスを出すために、休養の質と量を徹底的に管理しているのだ。
私たちもプロフェッショナルとして、オフをしっかり取らなければ、能力を十分に発揮できず、結果的に自分自身にも組織にも損失をもたらす。だからこそ、オフの時間をいかに自分でマネジメントするかが重要になってくる。
「健康第一」から「オフファースト」への意識転換が、これからの時代に求められているのかもしれない。
