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論文解説「腰痛の新・真実」
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2024年10月27日

ビジネスパーソンのための体・心の鍛え方を一流の専門家から学ぶ。腰痛の真実を論文をもとに解説、さらに効果的なトレーニングを学ぶ。 <ゲスト> 三木貴弘/理学療法士 株式会社PREVENT Insight Lab シニアリサーチャー 北海道大学大学院博士課程修了 オーストラリア留学、病院での勤務を経て...
腰痛の真実:「姿勢が悪いから」は思い込み?最新研究が示す意外な改善法
今や国民病ともいえる腰痛。「姿勢を良くすれば治る」「腰痛だから安静にするべき」といった常識が実は間違っているかもしれません。最新の研究から明らかになった腰痛の本当の原因と、意外な改善法について、三木貴弘先生に詳しく解説していただきました。

Q. 腰痛の本当の原因は何ですか?
腰痛の原因は一つではありません。大きく分けると、画像診断で原因がはっきり分かる「特異的腰痛」と、原因が特定できない「非特異的腰痛」があります。特異的腰痛は全体の約20%で、残りの約80%が非特異的腰痛です。
非特異的腰痛の場合、身体的要因だけでなく、心理的要因や社会的要因が複雑に絡み合っています。例えば、ストレスや睡眠不足、過度な安静などが原因となることもあります。特に興味深いのは、「腰痛になるのが怖い」という恐怖心が、実際に腰痛を悪化させる可能性があるという点です。
Q. 「姿勢が悪いから腰痛になる」は本当ですか?
これは必ずしも正しくありません。姿勢が悪くても腰痛がない人もいれば、姿勢が良くても腰痛に悩む人もいます。最近は「姿勢ブーム」で背筋を伸ばし続けることを推奨する風潮がありますが、それによって逆に腰痛になる人もいます。
姿勢をよくしたいのであれば、姿勢改善のトレーニングは有効です。しかし、腰痛改善のために無理に姿勢を正そうとすると、逆効果になることもあります。例えば、高齢者で腰が曲がっている人の場合、その姿勢が長年かけて適応した最適なバランスになっていることもあります。そのような状態で無理に姿勢を直そうとすると、かえって腰痛を引き起こす可能性があります。
Q. 腰痛があるときは安静にした方がいいのでしょうか?
これも一概には言えません。ぎっくり腰になって1日目は確かに安静にした方がよいでしょう。しかし、長期的に見ると、適切なタイミングで動き始めることが重要です。1年後も同じように安静にしているのは適切ではありません。
研究によると、過度な安静は筋力低下を招くだけでなく、「また腰痛になるのが怖い」という恐怖心から動きを制限してしまい、負のループに陥る可能性があります。特に慢性的な腰痛の場合、適度に動くことで改善することもあります。
Q. MRIやレントゲンで異常が見つかったら、それが腰痛の原因ですか?
必ずしもそうとは限りません。現代の医療機器は非常に精密になっており、腰痛がない人でも画像上で何らかの異常が見つかることがあります。例えば、椎間板ヘルニアや骨のずれなどは、痛みがなくても加齢とともに見られる変化です。
画像診断は重要ですが、それだけで腰痛の原因を判断するのは危険です。画像で異常が見つかったとしても、それが腰痛の直接的な原因とは限らないので、他の要因も含めて多角的に評価することが大切です。
Q. 腰痛改善のためのトレーニングはありますか?
腰痛のタイプによって効果的なトレーニング方法は異なりますが、一般的に効果が期待できるものとしては以下があります:
1. ウォーキングやジョギング:驚くことに、適切な走り方をすれば腰を強くする可能性があります。椎間板(背骨のクッション)は、適度な負荷によって水分を多く含み、健康な状態を保ちます。
2. インナーマッスルのトレーニング:大きな筋肉(アウターマッスル)だけでなく、体の深部にある小さな筋肉(インナーマッスル)を鍛えることが重要です。これらは背骨の一つ一つを滑らかに動かす役割を担っています。
3. キャット&ドッグポーズ:四つん這いになり、背中を丸めたり反らしたりする動きを滑らかに繰り返すことで、インナーマッスルを効果的に鍛えられます。
4. 体幹トレーニング:プランクの姿勢から片手や片足を上げるなど、バランスを取りながら体幹を安定させるトレーニングも効果的です。
特に重要なのは「滑らかな動き」です。力任せに筋肉を鍛えるよりも、細かな動きをコントロールできるようにすることが腰痛予防には大切です。水泳やヨガ、ピラティスなどが効果的なのもそのためです。
Q. 慢性的な腰痛の場合、心理的な要因も影響しているのでしょうか?
その可能性は非常に高いです。痛みは本来、体を守るための重要な信号です。しかし、長期間痛みが続くと、脳の痛みの感じ方が変化し、実際の危険がなくても痛みを感じるようになることがあります。これが「慢性痛」の状態です。
慢性痛の場合、腰自体には問題がなくても、脳が過敏に痛みを感じる状態になっていることがあります。このような場合、腰そのものに対するアプローチよりも、痛みの正しい感じ方を取り戻すためのアプローチが効果的かもしれません。
例えば、規則正しい生活習慣、十分な睡眠、ストレス管理などが重要になります。また、「痛みは悪いもの」という考え方ではなく、「痛みは体からのシグナル」として捉え直すことも大切です。
Q. 腰痛を改善・予防するための日常生活での工夫はありますか?
最も重要なのは「定期的に動くこと」です。長時間同じ姿勢でいることを避け、こまめに姿勢を変えたり、立ち上がったりすることが効果的です。実際、腰痛が多い国は先進国が多く、座りっぱなしの生活様式が一因と考えられています。
また、正しい知識を持つことも大切です。「腰痛=危険」と過度に恐れず、適切なタイミングで適切な運動を行うことが重要です。もちろん、痛みが強い場合や原因が不明な場合は、専門家に相談することをお勧めします。
Q. 腰痛に関する意外な事実はありますか?
研究から明らかになった興味深い事実がいくつかあります:
腰痛は注意すべきですが、永続的に危険な腰痛は稀です
年を取ることは腰痛の必然的な原因ではありません(90歳でも腰痛のない人はいます)
慢性的な腰痛は組織の損傷よりも、脳の痛みの感じ方の問題かもしれません
痛みを伴う動きが必ずしも危険とは限りません
コアマッスルが弱いことが必ずしも腰痛の原因とは限りません
手術や注射、投薬が必ずしも全ての腰痛に効果があるわけではありません
重要なのは、腰痛に対する固定観念を持たず、多角的な視点で自分の状態を理解し、適切なアプローチを見つけることです。自分の体と向き合い、正しい知識を持って対処することが、腰痛改善の第一歩となります。