
ストレッチ効果の持続時間は5分【中村雅俊】
ストレッチは筋肉を柔らかくしない?筋肉痛にも効果なし?専門家が語る意外な真実
ストレッチは私たちの日常に深く根付いた習慣の一つ。運動前のウォーミングアップや筋肉痛対策として長年親しまれてきました。しかし、これらの効果は科学的に証明されているのでしょうか?専門家の中村雅俊氏が語る、ストレッチに関する意外な真実を、Q&A形式でまとめました。

Q. ストレッチは筋肉痛に効果がありますか?
実は、運動前後にどれだけストレッチしても筋肉痛を予防することはできません。これは多くの研究で明らかになっています。
ただし、筋肉痛がある状態でストレッチをすると、痛みの感じ方が一時的に軽減する効果はあります。つまり、痛みそのものは治らないけれど、痛みを感じにくくなるのです。筋肉痛自体は病気ではないので、あまり気にしすぎる必要はありません。
筋肉痛は、単に運動不足や普段以上に頑張った証拠です。社会人になってから久しぶりに運動すると筋肉痛になるのは、まさにその表れです。日常的に運動を続けていれば、そう頻繁に筋肉痛になることはありません。
Q. ストレッチは筋肉を柔らかくしますか?
筋肉が柔らかくなるためには、最低でも120秒(2分間)のストレッチが必要です。ただし、その効果は5〜10分程度しか持続しません。驚くべきことに、ストレッチによって筋肉が柔らかくなるという科学的な証明がなされたのは2008年とかなり最近のことです。
長期的な効果については議論があります。2017年の研究レビューでは「長期間ストレッチを続けても筋肉は柔らかくならない」という結論が出されましたが、その後の研究では「3〜4週間以上続けるとわずかに柔らかくなる」という結果も出ています。
効率的に筋肉を柔らかくするには、120秒のストレッチを週3回以上行うのが良いでしょう。この120秒は一度に行う必要はなく、60秒を2回、30秒を4回、10秒を12回など、合計時間が120秒になればよいのです。また、痛みを我慢できる範囲でより強い強度でストレッチする方が効果的です。
Q. 筋肉の柔軟性を高めるには、どのようにストレッチすべきですか?
筋肉の柔軟性を効果的に高めるには、適切な頻度と持続時間が重要です。最低でも120秒間のストレッチを週3回以上行いましょう。
この120秒は、一度に行う必要はありません。60秒を2回、30秒を4回、10秒を12回など、合計時間が120秒になればよいのです。ただし、週に1回だけまとめて360秒(6分)ストレッチするよりも、週3回に分けて各120秒行う方が効果的です。
また、ストレッチの強度も重要です。「少し痛い」と感じる程度の強度よりも、「かなり痛い」と感じる強度(痛みの最大値を10とした場合の6〜7程度)でストレッチする方が筋肉は柔らかくなります。ただし、痛みが強すぎてストレッチ自体が嫌になってしまうのであれば、無理をする必要はありません。
Q. 姿勢改善にストレッチは効果的ですか?
猫背などの姿勢の問題に対して、ストレッチは一時的な効果はありますが、根本的な解決にはなりません。姿勢が悪いと、結果として筋肉が硬くなりますが、筋肉が硬くなったから姿勢が悪くなるわけではありません。
現代人の猫背の主な原因は、デスクワークやスマホの使用など、常に前かがみの姿勢を取り続けることにあります。ストレッチで一時的に姿勢が良くなっても、日常的な行動パターンを変えなければ、すぐに元の姿勢に戻ってしまいます。
姿勢改善には、ストレッチだけでなく、背中の筋肉を鍛えるトレーニングを組み合わせることが効果的です。ボディビルダーに猫背の人が少ないのは、意識的に姿勢を保ち、背中の筋肉も鍛えているからです。
Q. 静的ストレッチと動的ストレッチの違いは何ですか?
静的ストレッチ(じっと伸ばし続けるストレッチ)と動的ストレッチ(体を動かしながら行うストレッチ)には、異なる効果があります。
静的ストレッチは主に筋肉を柔らかくする効果があります。一方、動的ストレッチは関節の動きを改善し、血流を良くするウォーミングアップとしての役割があります。
朝起きてすぐなど、体が冷えている状態では、いきなり静的ストレッチをするよりも、動的ストレッチや軽い運動で体を温めてから行う方が効果的です。ラジオ体操のような動的な運動は、全身を動かし、体の調子を確認する良い機会にもなります。
Q. 関節を鳴らすのは体に悪いですか?
関節を鳴らすこと自体は、特に問題ありません。よく聞かれる「パキッ」という高い音は、関節内の気泡が弾ける音で、骨が鳴っているわけではありません。プチプチ(気泡緩衝材)を潰すときの感覚に似ています。
ただし、低い「ゴリゴリ」という音が出る場合は、関節に何かが引っかかっている可能性があるので注意が必要です。また、誰かに無理やり関節を鳴らしてもらうのは危険なので避けましょう。
Q. ストレッチの効果は個人差がありますか?
ストレッチの効果には個人差があります。これは、年齢や体の状態だけでなく、性格や心理状態も影響します。
痛みに対してネガティブに反応する人もいれば、「昨日頑張ったからな」とポジティブに捉える人もいます。そのため、同じストレッチでも、効果があると信じている人とそうでない人では、実際の効果が異なる場合もあります。
また、リラクゼーション効果については個人差が特に大きいようです。ストレッチ中はリラックス状態になり、副交感神経が優位になるという研究結果もあります。重要な商談や会議の前などに、深呼吸をしながらストレッチをすることで、リラックスする効果も期待できます。
Q. ストレッチとどう付き合うべきですか?
ストレッチは万能ではありませんが、適切に行えば効果があります。重要なのは、自分の目的に合わせて付き合い方を考えることです。
スポーツパフォーマンスの向上や怪我の予防には、ウォーミングアップとしての動的ストレッチが有効です。筋肉の柔軟性を高めたい場合は、適切な強度と時間で静的ストレッチを継続しましょう。リラックス効果を求めるなら、自分が心地よいと感じるストレッチを取り入れてください。
ストレッチを完全否定する必要はなく、かといって過度に期待する必要もありません。自分の体と相談しながら、楽しく続けられる方法を見つけることが大切です。
