
AI全盛時代。日本の勝ち筋
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2026年6月30日
日本経済の成長は本物なのか?黄金時代到来のためにはどんな改革が必要なのか?モルガン・スタンレーMUFG証券シニア・アドバイザーのローバート・フェルドマン氏に聞いた。 <ゲスト> ロバート・A・フェルドマン|モルガン・スタンレーMUFG証券 シニア・アドバイザー マサチューセッツ工科大経済学博士。野...
日本経済再生の処方箋:労働力不足、AI戦略、ガバナンス改革の論点
日本経済が直面する労働力不足やグローバル競争の激化は、今や変革の避けて通れない課題となっている。
AIやDXといった新たな技術の波は、社会とビジネスのあり方を大きく変え、企業には新たな経営戦略が求められている。
本記事では、現在の日本経済が抱える諸問題に対し、いかにイノベーションを創出し、成長を持続させるべきかを探求する。
キーとなるのは、データに基づく合理的な判断、情報の柔軟な流通、そして危機を好機と捉える経営者の強い意志である。
Q. 日本のイノベーション能力は、世界からどう評価されているか?
日本のイノベーション能力は決して悪くなく、海外の投資家、特にサンフランシスコの投資家からも高い評価を得ている。
「今一番面白いイノベーションは日本にある」という声もあるほど、特に日本の若手世代が起こすイノベーションへの期待は大きい。
この勢いを維持するには、独占を避け、情報が十分に行き渡るような技術革新を促す必要がある。

Q. AIとDXを推進するために具体的に何が必要なのか?
AIとDXを具体的な行動に移すには、人材育成とインセンティブが鍵となる。
例えば、ある大手商社では2027年から第三者のAI資格がなければ昇格できない制度を導入している。
これは強力なインセンティブであり、企業におけるリスキリングを加速させる。
AIの社会的インパクトは「ハードウェア×ソフトウェア×データ×倫理」で決まるとされ、倫理面の確立も重要だ。
Q. 日本の労働力不足問題に対し、生産性向上と移民受け入れ、どちらが優先されるべきか?
日本の外国人労働者数は1993年以降年率10%で増加し、現在約250万人に達している。
しかし、生産性向上なくしてこのペースでの外国人労働者増大は非現実的だ。
生産性が伸び悩む場合、2050年までに1%成長を維持するには4300万人もの外国人労働者が必要になる試算もある。
この問題は感情論ではなく「算数」で考えるべきである。
政府が外国人労働者の数値目標を定める動きは、企業に生産性向上への投資を促し、改革を加速させる賢明な戦略と言える。

Q. AI時代における日本の勝ち筋は何か?
AI分野で日本が世界をリードする勝ち筋は、大規模言語モデルのような基盤技術開発ではなく「応用力」と「フィジカルAI」にある。
日本はNVIDIAの製品に欠かせない部品を作るなど、ハードウェア産業に強みを持つ。
また、AIを搭載した機械、すなわち「フィジカルAI」(ロボット)の領域は、現状のAIが「頭は良いが手足がない」という課題を解決するものであり、日本が注力すべき分野だ。
経済全体の柔軟性を高めれば、AI導入は雇用を奪うどころか、むしろ増加させることが可能である。

Q. 企業価値を高めるために、コーポレートガバナンス改革は何をすべきか?
コーポレートガバナンス改革はこれまで収益率向上に寄与してきたが、次の課題は「社内の情報伝達の質」である。
取締役会に上がる情報が現場の実態を正確に反映しているかが重要となる。
また、国内市場縮小に対応するため、企業には積極的なグローバリゼーションが不可欠だ。
海外市場で活躍するには、多様な情報を取り入れ、異文化間の交流を促進するマネジメントが求められる。
経営者は「口」よりも「耳」を使うべきであり、物言う株主との建設的な対話を通じて、企業価値を高める必要がある。
Q. 高市政権の成長戦略はどのように評価できるのか?
現政権の成長戦略は、診断や目標設定などの「上流」部分では高く評価できる。
しかし、実際の実行段階である「下流」においては、障壁の認識、特に労働力不足という現実への対応が問われる。
例えば、防衛産業の工場を建設しようとしても、実際に工事を行う人材が不足しているといった具体的問題に直面するだろう。
政策の実施における責任の所在の明確化や、失敗を恐れず軌道修正できるメカニズムの構築も今後の評価基準となる。

Q. 日本は今の逆境をどう成長の機会に変えるべきか?
日本の経済史は「危機→反応→改善→怠慢」というサイクルを繰り返してきた。
現在の日本は労働力不足、地政学リスク、物価変動、技術進歩の加速など、多岐にわたる「危機」に直面している。
これらをまさに改革を断行する「反応・改善」フェーズと捉えるべきである。
危機が起こってから慌てるのではなく、事前に計画を持ち、冷静に対応する姿勢が重要となる。
現政権がこの逆境を乗り越え、構造的な改革をどこまで実行できるか、日本経済の未来がかかっていると言えるだろう。
