健康新常識
体臭の原因/体の内側から防臭/肉と甘いものが臭いを悪化/洗いすぎの悪循環/臭わないサラサラ汗に変える方法
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2026年7月9日

ケアをしているはずなのになぜ体臭は消えないのか。原因は腸内の腐敗と皮膚の常在菌破壊にあった。肉や甘いものが体臭を悪化させ、洗いすぎがより強い臭いを発生させる。内科医・桐村里紗氏が防臭戦略を内側・外側から徹底解説する。 <出演> 桐村里紗 内科医/認定産業医/天籟株式会社 代表取締役医師 三田友梨佳...
「洗いすぎ」は逆効果?体の内側から臭わない体を作る防臭戦略
体臭の悩みを抱える人は多く、その対策法は誤解されていることも少なくない。「洗いすぎ」や「殺菌しすぎ」といった表面的な対策が、実は逆効果になるという衝撃的な事実がある。
本記事では、体の内側から匂いの元を断つ根本的な「防臭戦略」について解説する。皮膚、腸、そして心の健康を総合的にケアするアプローチを通じて、本当の意味で匂わない体を手に入れる方法を学ぶことができるだろう。

Q. 過剰な洗浄が体臭を悪化させるメカニズムとは何か?
体臭が気になるあまり、洗浄力の強いボディソープや殺菌成分入りの製品でゴシゴシ洗いすぎる行為は逆効果を生む。皮膚には多くの常在菌が存在し、皮膚を外的刺激から守る皮脂膜と共に重要なバリア機能を担っている。

過度な洗浄や殺菌は、この大切な常在菌や皮脂膜を根こそぎ奪い、皮膚の乾燥を招く。乾燥した皮膚は、その状態を補おうとしてかえって皮脂を過剰に分泌してしまう。一度失われた皮脂膜が完全に回復するには約20時間を要するとされ、日に何度も洗うことで、皮膚は常に無防備な状態に晒されてしまう。
この皮脂の過剰分泌が、ミドル脂臭や加齢臭といった皮脂由来の体臭をさらに悪化させる悪循環を生み出す。特に男性向けの洗浄製品には洗浄力が高いものや殺菌成分が強いものが多く、注意が必要である。さらに、ナイロンタオルやボディブラシでの強い摩擦も皮膚の角質を傷つけ、乾燥や色素沈着(黒皮症)の原因となるため避けるべきだ。
Q. 健やかな皮膚を保つための正しい洗い方と外出時の汗対策とはどのようなものか?
皮膚の常在菌と皮脂膜を守り、健やかな皮膚環境を維持するためには、洗浄方法を見直す必要がある。まず、石鹸やシャンプーを使った全身の洗浄は1日1回で十分である。日本人は清潔を好むが、海外と比較しても毎日石鹸を使うのは一般的ではない場合も多い。
洗浄剤は殺菌成分が含まれていない、アミノ酸系などマイルドな製品を選ぶのが賢明である。ゴシゴシこするのではなく、たっぷりの泡を立てて優しく手でなでるように洗うか、泡で出るタイプのソープを利用すると良い。

もし一日に二度洗いたい場合や、大量の汗をかいて気になる場合は、「湯シャン」で十分だ。40度以上の少し熱めのお湯であれば、余分な皮脂は溶けて流れるため、洗浄剤なしでも効果がある。お湯のみで洗っても、皮膚のバリア機能は保たれやすくなる。
外出先で汗をかいた際には、乾いたタオルではなく「濡れタオル」や「アルコール・殺菌成分フリーの汗拭きシート」を使用するのが望ましい。濡れたもので拭き取ると、匂いの元となる成分をしっかりと除去できる上、気化熱で体温を下げる効果もあり熱中症対策にもつながる。
Q. 足の匂いは変えられない?体質と効果的な対策法について教えてほしい。
足の匂いは体質的な要素が強く、不健康だから匂うというわけではない場合が多い。実は、足裏の常在菌の種類は幼少期(3~6歳頃)までにほぼ決まり、その菌の種類によって匂うかどうかが左右される。特定の菌を持つ人は、誰でも納豆のような強い匂いが発生する可能性を秘めている。
靴を履いた足は、「高温多湿・高栄養」という菌にとって最高の培養環境である。皮膚の角質が菌のエサとなり、この時期に菌が急増しやすい。そのため、最も効果的な足の匂い対策は、菌を増殖させないように「汗の発生を予防する」ことである。外出前に足専用の密着性の高い制汗クリームを塗布することで、一日を通して汗を抑え、菌の繁殖を防ぐことができるだろう。
さらに広義の「菌活」として、幼少期の子供を持つ親は、過度な除菌を避けることを意識すべきだ。人間の皮膚や腸、口腔内に共生する常在菌の多様性が免疫や健康全般に影響を与えるため、様々な菌に触れる環境が健全な体を作る土台となる。99%の菌は私たちと共生可能であり、体を守る存在であることを理解し、「菌と共に暮らす」という視点が、長期的な体臭対策、ひいては健康増進にもつながる。
Q. 体臭を根本から断つ「内側からの防臭戦略」の具体的な方法とは何か?
体臭の根本的な解決には、表面的な対処療法ではなく、体の内側から匂いの発生源にアプローチする「防臭戦略」が不可欠である。この戦略の三つの柱は「腸内環境」「精神環境」「皮膚環境」だ。体の内側から匂い分子が発生していることを意識し、これらの環境を整えることが真の対策となる。
最も重要なのが腸内環境である。体内で発生する匂いの元を断つためには、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを整えることが重要だ。特に、善玉菌のエサとなる「多糖類」を積極的に摂取すると良い。これには食物繊維、オリゴ糖、難消化性でんぷん、難消化性タンパク質が含まれる。
具体的な食材としては、冷やご飯(難消化性でんぷん)、そばや酒粕(難消化性タンパク質)、キノコ、海藻類、漬物など、日本の伝統食材に多く見られる。腸内の良い菌(ビフィズス菌や酪酸菌)を増やすことで、匂いの元となるアンモニアなどを減らせる。皮脂の酸化を防ぐビタミンE(ナッツ類など)とそれをサポートするビタミンC(柑橘類など)、乳酸対策に効果的なクエン酸(梅干し、酢)も有効である。例えば、「キノコをたっぷり入れた粕汁」と「梅干し入り冷やご飯のおにぎり」は、匂い対策として理想的な組み合わせと言えるだろう。

一方で、避けるべき「NG食材」も存在する。最も体臭にとって最悪なのが甘いもの、特にジュースや加工食品に多く含まれる「果糖ブドウ糖液糖」だ。これは肝臓に負担をかけ、匂い成分の分解能力を低下させる。また、皮脂分泌を促し、疲労臭や皮脂臭の両方を悪化させる。動物性脂肪やアルコールも同様に肝機能に負担をかけ、皮脂増加の原因となる。
さらに、糖質制限などによって肉食に偏った食生活も注意が必要だ。肉類中心の食生活は腸内を発酵ではなく「腐敗」に傾け、悪臭の原因物質を大量に生み出す。これらの悪臭成分は体臭や口臭として現れることがあるため、おならや便の匂いがきつい場合は腸内環境が悪化しているサインと捉え、食生活全体の見直しを検討すべきである。
Q. 精神状態が体臭に与える影響とその対策はどのようなものか?
体臭は腸や皮膚だけでなく、精神環境にも密接に関わっている。過労、睡眠不足、精神的ストレスが蓄積すると、体から独特の「疲労臭(アンモニア臭)」や「ストレス臭」が発せられることがある。これは肝機能の低下により、体内のアンモニアが十分に分解されず、体外に排出されてしまうためだ。
自分自身でアンモニア臭を感じる場合は、体が発する限界のサインであり、直ちに休息が必要な状態と言える。ストレスは交感神経を優位にし、皮脂の酸化を促進することで、加齢臭やミドル脂臭といった皮脂由来の体臭を悪化させる。また、ストレス性の発汗は足裏などにも起こり、足の匂いをさらに強める要因にもなるため、精神的な負担は複合的な体臭の原因となる。
したがって、匂い対策には生活リズムを整え、質の良い睡眠を確保し、ストレスを適度に解消することが極めて重要である。他者の体臭も、その人が「頑張りすぎている」「疲れている」というSOSサインである可能性を認識することで、職場や人間関係における配慮にもつながるだろう。
Q. 「良い汗」をかく体質になるにはどう汗腺を鍛えるべきか?
匂わない体質を目指す上で、汗腺を鍛え「良い汗」をかくことも重要である。良い汗とは、水分が99%以上でサラサラしており、ほとんど無臭の汗を指す。一方、ベタついて匂う「悪い汗」は、体内のミネラル分が多く含まれているのが特徴だ。
汗は血液を濾過して作られるが、汗腺の機能が高いと、汗の中のミネラルを体内に再吸収し、水分だけを効率よく排出できるようになる。これにより、菌のエサとなるミネラルが少ない良い汗が生成され、結果として匂いが発生しにくくなる。
汗腺は使わないと衰えてしまうため、能動的に「汗をかく習慣」を通じて鍛えることが可能である。具体的な方法としては、適度な有酸素運動(ウォーキングやジョギング)、毎日40度程度の湯船に浸かる、サウナや岩盤浴などが挙げられる。現代社会ではエアコンの利用などで汗をかく機会が減少しているが、汗腺の再吸収機能を高めるためには、意識的に発汗を促すことが大切だ。
質の良い汗をかけるようになることで、逆説的に体臭の悩みが軽減される。また、速乾性や防臭効果のある機能性インナーを着用することも、汗を効率的に処理し、匂い成分をキャッチする有効な手段となるだろう。