
W杯強豪国分析:アルゼンチン。優勝確率は20%
ディフェンディングチャンピオン・アルゼンチン代表に連覇の可能性はあるか? 「ダークホース」から見る最強国の秘策
アルゼンチン代表がワールドカップ連覇という困難な偉業に挑む。ディフェンディングチャンピオンとして迎える今大会は、過去のジンクスや他国の躍進も注目されるが、その実力は依然として計り知れない。識者による徹底した戦力分析を通じて、アルゼンチンが抱える強みと課題、そして「ダークホース」としての可能性を探る。

Q. ディフェンディングチャンピオンであるアルゼンチン代表の連覇の可能性はどうか?
現在、アルゼンチンのW杯連覇の評価は決して高くない。しかし、このチームは「ダークホース」として優勝する可能性を秘めている。スカロニ監督が前回大会から大幅なメンバー変更を行わず「継続性」を重視している点は大きい。これは前大会で台頭した若手選手が4年間で成熟し、チームの地力が大きく向上したためだ。メッシ不在でブラジルに大勝した経験もこれを裏付ける。また、アルゼンチンは「優勝候補」と称されることを嫌う国民性があり、低い前評判こそが優勝へのカギとさえ捉えている節がある。
Q. 前回大会から大きく変わらないフォーメーションの中、キープレイヤーは誰か?

スカロニ監督は「良い選手が揃い、良いパフォーマンスをしているため変える必要はない」との方針を貫く。中核はリオネル・メッシとデ・パウルのコンビだ。デ・パウルはメッシの運動量を献身的な守備で補う重要な存在であり、両者はW杯に向けクラブでも特別調整が許されるほどチームの鍵となる。左サイドは負傷のニコ・ゴンサレスの代わりにアルマダが入る可能性もある。さらに、前大会にはなかった長身FWホセ・マヌエル・ロペスがオプションとして加わり、戦術の幅を広げている。
Q. チームに存在する守備面の不安要素にどう対処するのか?
アルゼンチンは前回大会同様、守備に不安要素を抱える。特にセンターバックのオタメンディは加齢による衰えが見られ、ロメロは負傷中である。サイドバックには専門職の選手が少なく、特に左サイドが手薄だとの指摘がある。しかし、前回大会もこれらの懸念をチーム全体の連携と走力で乗り越え、優勝を成し遂げた。今回も同様に、チーム一丸となってカバーする戦い方が鍵となるだろう。加えて、PK戦での絶大な強さを誇る守護神エミリアーノ・マルティネスの存在は、トーナメント戦において計り知れない心理的優位性をもたらす。
Q. 攻撃を牽引するメッシは39歳となるが、彼のパフォーマンスやチームにおける役割はどのように変化するのか?

39歳になるメッシは年齢的な衰えは多少あるものの、未だ決定的な仕事ができる切れ味を持つ。全試合を90分間戦い抜く場面は減るかもしれないが、チームの中心でありエースであることに変わりはない。チーム全体が「メッシのためのチーム」として機能する構造は健在だ。彼自身がモチベーションを高く維持している背景には、憧れであるアイマールコーチの存在も大きいとされている。若返りを図ったネイマールの代表復帰とは異なり、メッシはチームの「切り札」として機能し続けるだろう。
Q. スカロニ監督の選手起用や戦略、その手腕について具体的に聞かせてほしい。
暫定監督から昇格したスカロニ監督は、選手の声に耳を傾ける対話型のマネジメントを実践している。「不満はすぐに言ってくれた方が良い」と公言し、チームの一体感を醸成している点が特徴だ。戦術面では「戦略家」としての手腕が光る。彼は相手に合わせて戦術を柔軟に変化させ、特に敵の弱点をピンポイントで突くのが得意だ。前回大会のフランスとの決勝では、ディ・マリアを左サイドに配置し、フランスの右サイドバックの守備への可変性の穴を狙わせる奇策で勝利に貢献した。
Q. アルゼンチン代表は今大会、どのようなサッカーを展開すると予想されるか?

今大会のアルゼンチンは、前回大会と同様にカウンターを主体としたサッカーを展開するだろう。メッシ以外の選手が献身的な運動量でスペースを埋め、ボールを奪取した際には素早くメッシに預け、彼の打開力に懸ける。南米特有の鋭いカウンター攻撃を基軸とし、不要なポゼッションにはこだわらない。ボールを持っても無理に横パスを回さず、メッシが中央に侵入してくれば、その能力で局面を一瞬にして打開し、効率的に得点を狙うスタイルを貫くと予想される。
Q. 北中米開催となる今大会、アルゼンチンの優勝確率をどう見るか?
アルゼンチンの優勝確率は約20%と見ている。現実的な目標はベスト4だが、準決勝で優勝確率60%と目される最大のライバル、ブラジルとの対戦が予想される。この一戦が事実上の決勝戦となり、ブラジルを撃破すれば優勝の可能性は一気に高まるだろう。北中米でのW杯は南米勢にとって地の利がある。過去の同大陸での大会で欧州勢が優勝したのは2014年のドイツのみであり、ブラジルとアルゼンチンを合わせた南米勢の優勝確率は80%に達するとの見方もできる。
Q. アルゼンチンのW杯連覇の行方に注目だ。
継続性によるチームの成熟、メッシを中心とした求心力、そしてスカロニ監督の巧みな采配がアルゼンチン代表の強さの根源だ。南米大陸での地の利を得て、「期待されると弱い」というジンクスを乗り越えることができるか。リオネル・メッシのラストダンスとなる可能性も示唆される中、彼らが再び世界の頂点に立つかどうかに注目が集まる。
