
W杯大会展望:優勝国とMVPは?
W杯優勝国とMVP、新星は誰か?識者が徹底分析する過酷な新時代の大会展望
史上最大規模で開催されるワールドカップは、大会形式の変更や広大な開催地の環境により、これまで以上に予測困難な要素をはらむ。識者は、今大会の行方を「決勝カードと優勝国」、「大会MVP」、そして「世界を驚かすニュースター」の三つのテーマから読み解く。激変する大会形式とそれに対応する強豪国の戦略、そして酷暑や高地といった過酷な環境が、試合の質や選手たちのパフォーマンスにどのような影響を与えるのか。本稿では、専門家たちの白熱した議論に基づき、ワールドカップの全体展望を深掘りする。

Q. 今大会のワールドカップはどのような大会形式で、強豪国はどのような戦略をとるのか?
今大会は決勝まで8試合と試合数が増加し、グループリーグでは3位でも決勝トーナメントに進出できる可能性が高い。この新形式は、強豪国が序盤戦で主力を温存し、ターンオーバーを行う戦略を取りやすいことを意味する。イングランドは、選手を交代してもチームの戦術が変わらない「再現性」の高い選手選考を導入しているとされ、8試合という長丁場を乗り切るための計算された戦略が見える。

一方、開催地のアメリカ大陸における酷暑、高地、長距離移動は欧州勢にとって大きな試練となるだろう。例えば、メキシコシティの高地での試合は、適応に時間のかかる欧州勢には特に不利に働く可能性がある。このため、南米勢には地の利があるとの指摘が多く、過酷な環境下での「生命力」や順応性が勝敗を分ける隠れた要因となるとの見方も浮上している。
Q. 優勝候補として有力な国はどこか?
識者の間では、優勝候補としてフランス、イングランド、アルゼンチン、ブラジル、スペインといった強豪国の名が挙がった。フランスは圧倒的な選手層と、移動負担が少ない東海岸に試合が集中しているため、コンディション面で有利な立場にあるという指摘が多い。イングランドもタレントが豊富で選手層が厚く、中西氏は「機が熟した」と優勝への期待を示す。一方、ブラジルは南米からの地の利に加え、精神的支柱であるネイマールの復帰がチームの一体感を高めると期待される。アンチェロッティ監督が国民や選手の待望論に応えた采配が吉と出るか注目される。
アルゼンチンは南米からの地の利に加え、アメリカ大陸開催のコパ・アメリカでの優勝経験も強みだ。酷暑などタフな環境での「生命力」は、技術戦を超えた勝負で大きな武器となると見られている。スペインは、従来のポゼッションサッカーに加えカウンター対策を強化した点で進化が見られるが、移動距離の長さや、酷暑が予想される昼間の試合日程が懸念材料として挙げられた。さらに、ダラスなど試合数の多い密閉型ドームの芝の状態も懸念されている。太陽光や風が不足するため根付きが悪く、大会が進むにつれてピッチが荒れ、選手の怪我リスク増大やパスサッカーの質の低下を招く可能性があるとの専門家の見解だ。
ポゼッション志向の強いチームにとっては、特に注意が必要となるだろう。このような環境的要因が、各国の戦術選択や選手起用にも大きく影響を与え、最終的な勝敗を分ける重要な要素となることが予想される。
Q. 今大会のMVP候補として注目すべき選手は誰か?

MVP予想は優勝国予想と深く連動する。イングランドが優勝すればハリー・ケインが、アルゼンチンならリオネル・メッシが、スペインが頂点に立てばラミン・ヤマルが有力候補として名前が挙がる。特に、サッカー人生のピークを今大会に合わせているケイン、MLSに移籍し地の利も味方につけたメッシは、チームが彼らを「勝たせる」べく結束すれば、決定的な役割を果たすだろう。
一方で、現代サッカーでは「両利き」の選手が大きなトレンドとなっている。デンベレや久保建英に代表される選手たちが駆使する「逆足でのキャンセル(シュートフェイント)」は、ディフェンスを欺き、ゴール前で決定的な差を生み出す究極の武器と称される。利き足でない方の足でフェイントを入れることで、相手DFは予測不能な状況に陥り、対応が非常に困難になるのだ。この技術は訓練によって習得可能であり、日本サッカーの未来にとっても、機動力と組み合わせることで世界を相手にする強力な武器となると指摘されている。この新潮流の体現者である選手たちがMVPに輝く可能性も大いに考えられる。
Q. エムバペは今大会で輝くことができるか?彼のパフォーマンスや周囲の環境はどうか?
エムバペについては、その高い個人能力を評価しつつも、懐疑的な見方が多く示された。レアル・マドリード関係者からは「練習嫌い」という暴露があり、ピッチ内外での振る舞いが問題視されている。彼の自己完結型のプレーは、チームメイトを輝かせることができず、むしろ周囲に悪影響を与える可能性がある。昨シーズン、レアル・マドリードではベテランのボス不在により規律が緩み、「幼稚園」と揶揄される事態に陥った。このクラブの混乱が影響し、スペイン代表にレアル・マドリード所属選手が一人も選出されないという異例の事態を招いたことも指摘されている。

エムバペが今大会で再び輝けるかは、デシャン監督が彼のメンタル面をどう管理し、チームに統合できるかにかかっている。ブラジル代表のヴィニシウスも同様で、レアルではエムバペとの低次元な主導権争いで守備を怠ることがあったが、代表では献身的にプレーするという対照的な一面がある。エムバペが代表という特別な舞台で、クラブでの課題を克服し、チームプレーに徹することができるかが、フランス代表の命運を分けるカギとなるだろう。
Q. 次世代を担うニュースター候補たちとその特徴とは何か?
今大会は、エムバペに代わる新時代の幕開けを予感させる若き才能が多数登場する。まず、トルコのアルダ・ギュレルは、レアル・マドリードでプレーし、プレッシャーの中でも冷静に自分を保つ精神力を持つ。多彩な回転のキックを蹴り分ける「バリエーション豊富な左利き」として、彼の活躍が期待される。ドイツのアレクサンダー・カールは、懐の深いドリブルと戦う姿勢を両立した現代的なテクニシャン。彼がサイドで仕掛けることでチーム全体が活性化するため、ドイツの命運を握る存在となり得るだろう。
アルゼンチンからは、メッシの「ポスト・メッシ」候補とされるニコ・パスが注目される。メッシの控えや共存も可能であり、特にグループリーグでメッシを温存する際には、右ウィングとして重要な役割を担う可能性が高い。エジプトのハムザ・アブデルカリムはバルセロナ下部組織所属の18歳。まだ無名だが、生まれ持った規格外のバネとフィジカルを持ち、世界を驚かせる隠し玉となるかもしれない。スペインのビクトル・ムニョスも同様に、パワーとスピードを兼ね備えたドリブラー。主力ウィングが不調の際に「秘密兵器」として登場し、大会で一気にスターダムにのし上がる可能性を秘めている。そしてブラジルのエンドリッキは、母国で絶大な人気を誇る若き才能で、スーパーサブとして試合の流れを変える活躍が期待されており、大会の新人賞候補と目される。これらの選手たちは、エムバペの「課題」とは対照的に、若さと才能でチームを牽引し、サッカー界の未来を形作っていく可能性を秘めている。
