
2025年を総復習 激変する日本&世界情勢
激動の2025年:米国への依存、ポピュリズム、揺れる日本政治の深層
2025年は世界と日本において激動の一年であった。国際秩序の根幹が揺らぎ、国内政治も変革期を迎えたのだ。
米国の求心力、地政学的紛争の長期化、そして国民感情が主導する政治の台頭は、既存の枠組みでは捉えきれない変化をもたらしている。
本稿では、この2025年を振り返り、現代世界と日本が直面する主要な課題をQ&A形式で深掘りする。有識者たちの分析に基づき、来る2026年以降を見据えるための羅針盤を提示するものである。

Q. 激動の2025年、世界と日本に何が起きたか?
2025年は、まさに歴史に刻まれる激動の一年であった。国際情勢においてはトランプ政権の登場が米国と国際社会の関係を一変させ、地政学的リスクは増大の一途を辿った。日本では安倍一強体制が崩壊し、自公連立が解消されるという画期的な政治構造の変化が進行したのだ。
欧州でのポピュリスト政党台頭の流れが日本にも波及し、従来の政治構造では捉えきれない新たな局面が始まったと評価されている。ウクライナ戦争の長期化、中東情勢の緊迫化など、世界の分断と対立が深刻化する中で、各国が安全保障と経済の両面で自国の針路を模索する一年となった。この揺れ動く世界の中で、各国は自律的な行動の必要性を痛感させられたのである。

Q. トランプ政権の登場は、安全保障の秩序をどう変えたのか?
トランプ政権の登場は、安全保障における各国の米国依存を再認識させる結果となった。米国が「世界の警察官」の役割から退こうとする姿勢を見せた時、日本やNATO加盟国は大きく動揺した。これは、これまで米国が主導する安全保障体制に過度に依存してきた各国の脆弱性を浮き彫りにしたのである。
一方で、ガザやウクライナにおける紛争解決において、米国が動かなければ事態が進展しないという現実も明らかになった。米国を巡る言説では「影響力の低下」が語られがちだが、実際にはその重要性が逆説的に際立った年ともいえる。
欧州諸国はウクライナ戦争を経て自主防衛への舵を切ったが、アジア諸国では中国の存在を理由に米国がこの地域から手を引くことはないだろうとの楽観的な見方が根強く残っている。しかし、米国が中国とのディールによってアジアにおけるコミットメントを突然変更する可能性は常に考慮すべき現実となっている。
Q. ウクライナ戦争の現状は「膠着状態」と言うが、その実態はどのようなものか?
ウクライナ戦争は、2025年においても「ロシア優勢の膠着状態」として特徴づけられた。戦術レベルではロシア軍が局地的に進軍する一方で、戦略的レベルで見れば戦線全体に大きな変化はなく、両軍ともに決定的な攻勢をかけられない状況にある。これは両国が国外からの物資・資金援助に大きく依存しているためである。

ロシアは北朝鮮から多量の弾薬を調達し、G7の制裁下で値崩れした原油をインドなどに販売することで戦争を継続している。一方、ウクライナも欧米諸国からの軍事・財政支援なしには戦争を戦い抜けないのが実情だ。
この戦争は軍事的な衝突の長期化だけでなく、両国の経済的・政治的体力、そして支援国の意図を巡る「我慢比べ」の様相を呈している。2026年以降もこの状況が続くならば、両国および支援国の持続可能性が問われることになるだろう。
Q. トランプ大統領の「脅し」を多用する外交スタイルにどう向き合うべきか?
トランプ大統領の外交スタイルは、軍事力や経済力を背景に他国を「脅し」、米国に有利な条件でディールを結ぶ点に本質がある。彼は軍隊を戦争の道具ではなく、「脅しの道具」として活用すると明言した経緯もある。この強硬な外交戦術は、ロシアやインドのように簡単には屈しない大国に対しては成果が上がりにくい一方で、米国に安全保障を依存する同盟国に対しては特に有効であった。
日本や欧州は関税交渉などでトランプ政権の要求を受け入れざるを得なかった事例が多発した。この状況は、第二次世界大戦後に米国が構築した同盟国を保護する国際秩序が揺らぎ、「自国ファースト」の原則が優位に立つ時代への転換を示唆する。同盟国は、米国の「コスト削減」という一貫した目的を理解し、単に脅しに屈するだけでなく、自国の戦略的な選択肢を増やす必要に迫られている。
Q. 日本は米国に「屈している」という見方があるが、これは国益に資する行動なのか?
現在の国際情勢において、日本が米国に対して「屈している」ように見える状況は、安全保障面での強い米国依存が背景にある。中国、ロシア、北朝鮮という核保有国に囲まれた環境で、米国が提供する「核の傘」は日本の防衛戦略に不可欠な要素である。この構造的要因が、日本が米国側の要求を受け入れざるを得ない大きな理由となっているのだ。
しかし、真の問題は、こうした「屈する」姿勢が果たして日本の国益に真に貢献しているか、そしてそれを国民が納得できるかどうかである。米国からの一方的な要求に譲歩を重ねる状況が「米国にしてやられた」という国民感情を高めれば、右派と左派に共通して存在する反米感情が結びつき、日米同盟の基盤を揺るがす深刻な事態に発展しかねない。政府は、対米協力が日本の長期的な国益にどのように結びつくかを、より明確かつ説得力のある形で国民に提示する必要がある。憲法改正や防衛費増額といった国内議論も、この文脈の中で進められるべきだ。
Q. 高市新政権の発足は、日本政治の何を変えたか?
高市新政権の発足は、2025年の日本政治における重要な転換点であった。彼女の高い支持率は、主に「積極財政」や「国益重視」といった政策主張が、従来の閉塞感を打ち破るという期待と、日本初の女性総理としてのメッセージ性によるものであると分析されている。若年層や女性層からの支持も厚い。
しかし、同時に政治構造の不安定化も進んでいる。参政党が「反グローバリズム」「日本人ファースト」を掲げて躍進し、自民党はこれまでになく右派からの突き上げを受けるようになった。従来の自公連立が解消され、日本維新の会との連携も不安定な閣外協力に留まる中、高市政権は強い求心力を保てず、多方面からの圧力をマネージする難しい舵取りを迫られることになった。今後、高市政権が国民の期待に応え、安定した政権基盤を築けるかは依然不透明である。
Q. 世界中でポピュリズムや極端な言説が支持を集める背景には何があるのか?
世界中でポピュリズムや極端な言説が支持を集める背景には、現状への強い不満と既成政治への幻滅がある。経済格差の拡大、社会の閉塞感、地政学的不安定さが重なり、有権者は従来の「中道」的な政治では解決できないと感じているのだ。このため、「本音」を語ると称する政治家や、科学的根拠に乏しいながらも耳障りの良い「極論」が注目されやすくなる。

彼らは「今までのメディアや政治家は嘘ばかり」と批判し、シンプルで過激な解決策を提示する。しかし、これらの極端なアプローチが実際の成果を生み出せなければ、支持はすぐに低下し、反対勢力への揺り戻しが発生するだろう。
現代社会では、有権者が求める成果のスピードが加速する一方、政策が効果を出すまでには時間を要するという構造的なギャップがある。このミスマッチが、地道で本質的な「改善」ではなく、手っ取り早く聞こえる「変革」や「極論」が支持されやすい土壌を形成しているのである。社会の中心軸で動いている地味だが重要な部分への関心が薄れている点が、現状の政治の危うさを示している。
2025年は、米国中心の国際秩序の再編、長期化する紛争、そして内政におけるポピュリズムの台頭という複数の地殻変動が同時に進行した年である。各国は安全保障と経済、そして自国の政治的アイデンティティを巡る困難な選択を迫られている。
特に日本は、米国への構造的依存を背景に外交と安全保障政策の根本的な見直しが求められ、国内政治も安定を欠く状況に陥った。この不安定な時代を乗り越えるには、短絡的な感情論や表面的な解決策に飛びつくことなく、複雑な現実を深く理解し、長期的な視点と強固な国民的合意に基づいた戦略を構築することが不可欠である。本質的な「改善」の追求こそが、激動の時代を生き抜く鍵となるだろう。
