
高市政権で日本経済は復活する。カギは防衛テックと製造業
日本再浮上のカギは?激変する世界で大人が学ぶべき戦略とは
世界は今、地殻変動とも言える激しい変化の渦中にある。米国の孤立主義回帰、中国経済の停滞。この大きな転換期は、日本にとって再浮上の絶好の機会となると多くの専門家が指摘する。シンガポール国立大学教授の田村耕太郎氏が、長年の国際的な視点から、世界経済の新たな潮流と、日本がその中でいかに存在感を示すべきかを深く分析した。本記事では、この変化を捉え、日本の未来を切り拓くための戦略的視点について田村教授の見解を紹介する。

Q. 日本はなぜ今、再浮上するチャンスを迎えているのか?
現在の国際情勢は、日本にとって歴史的な転換点であり、再浮上の大きなチャンスと捉えることができる。最大の要因は米国の孤立主義への回帰だ。米国は歴史的に見てその半数以上の期間が孤立主義の時代であり、この動向は自然なものと解釈される。
同時に、米国はビジネスと経済における「一人勝ち」を揺るがすつもりはなく、その影響力を維持しようとするだろう。この文脈において、日本は米国のパートナーとして極めて重要な位置を占めるようになる。
さらに、中国をはじめとする新興国の経済が長期的な停滞期に入る可能性が高い点も、日本の再浮上を後押しする。中国は「中心国の罠」に陥り、豊かな国になる前に多くの問題に直面する見込みだ。こうした中で、日本は自身の強みを再認識し、新しい日米関係の下で世界における存在感を高める好機を迎えている。
Q. AI時代において、日本の製造業が再び脚光を浴びるのはなぜか?
約30年前、日本がハードウェアで米国に迫るも、その後インターネットやソフトウェアの時代に遅れをとり、デジタル赤字に苦しんだ歴史がある。しかし、AIの進化は、この流れを再び変える可能性がある。

AIはソフトウェアの「最終形態」であると同時に、これからは「身体性」を伴うようになる。ロボットやドローンといった動くものにAIが搭載される時代において、ハードウェアの重要性が再認識されつつある。
米国の中枢にいる専門家たちも、米国がソフトウェア国家となったことは「誤りだった」と公言し始めている。ソフトウェアはあっても、それを動かすハードウェアがなければAIの進化は行き詰まる。この時流が、日本の製造業に新たな光を当て、追い風となっているのだ。
Q. 日本の製造業の真の強みは具体的にどのような点にあるのか?
日本の製造業の強みは、単なる「ものづくり」の伝統だけではない。特に、精密機械、素材、中核部品の分野において、他国の追随を許さない圧倒的な技術力を持つ。F1グランプリで全てのチームが日本企業製のホイールを採用していることや、日本製鉄の「薄く、強く、軽い」鉄鋼は別次元の品質を誇る。
この高品質な製品は、EVやヒューマノイドロボット、インフラ、さらには防衛テックにまで不可欠な存在だ。中国からの部品調達が困難になる中、世界が日本の製造業の軍事的な、また経済的な重要性を再認識している。
そして、日本人の「芸風」とも言える完璧主義と集団での緻密な作業は、まさに高品質なものづくりに最適な特性だ。この特性を活かし、他が真似できない高付加価値分野に資源を集中することが、日本が世界で勝ち抜く戦略となるだろう。

Q. 高市政権が日本の成長を加速させるために最も注力すべきことは何か?
高市政権が日本の成長を加速させるには、アベノミクス初期の政策からの転換が不可欠だ。当時のデフレ経済下で有効だった金融緩和や財政出動は、現在の円安・インフレ環境では物価対策を無に帰す恐れがある。
代わりに注力すべきは、アベノミクスで「第三の矢」として掲げられたものの、不十分であった「岩盤規制改革」だ。地方の深刻なタクシー不足に対しライドシェア導入が阻まれた事例は、日本の規制改革の遅れを象徴する。

農業における株式会社化の遅れも同様であり、こうした既得権益の「しがらみ」を断ち切ることが重要となる。国民が自民党に突き付けた課題の本質は、まさに「政治と金」だけでなく、この「団体とのしがらみ」にある。高市氏には、組織票に依存しない「B2C政治」へと転換し、国民生活最優先の改革を断行する使命があると言える。
Q. 日本の国力や豊かさを測る上で、なぜGDPだけでは不十分なのか?
「GDPでドイツに抜かれた」「インドに抜かれる」といったニュースに一喜一憂しがちだが、国の力を所得(GDP)だけで測るのは間違いだ。個人の豊かさを年収だけでなく総資産で測るように、国の豊かさも「GDP」「家計資産」「対外純資産」の3つの指標で評価すべきだ。
これらの総合力で見ると、日本は依然として米国に次ぐ豊かな国である。バンコクのような新興国の首都は華やかだが、日本の地方都市に存在する揺るぎないインフラ、学校、公衆衛生といった社会資本の蓄積は圧倒的だ。
新興国の旅行客が東京や大阪の次に地方都市を訪れ、その発展ぶりに驚嘆するのはそのためだ。この地方にこそ宿る、一朝一夕では築けない社会資本こそが日本の真の底力なのである。
Q. 日本国内で自国を過小評価する傾向にある一方で、世界からの日本への評価はどのように見られているか?
過去10年以上にわたり、日本国内では「日本はもうダメだ」という自虐的な言説が横行し、自信喪失が進んできた。しかし、海外から見ると、日本の評価は上がり続けているのが実情である。この内外の評価のギャップは非常に大きい。
海外では、日本のポップカルチャー(ポケモン、コナン)、食文化、四季折々の美しい風景は旅行先として圧倒的な人気を誇る。また、サッカーや野球といったスポーツでの活躍、相次ぐノーベル賞受賞といった科学技術の成果も、日本への尊敬と憧れの対象となっている。
このような客観的な事実が、海外で育つ日本人子女のプライドを強く育んでいる。自国を過小評価するのではなく、調子に乗らずかといって過大評価もせず、バイアスを取り除いて日本の国力を客観的に正しく認識することが、今後の成長戦略の第一歩となるだろう。
Q. 中国による台湾武力侵攻は、地政学的に現実的なシナリオと言えるか?
地政学のプロとして、中国による台湾への武力侵攻の可能性は低いと考えるのが現実的だ。現代戦のコストは膨大であり、武力侵攻は中国財政を破綻させ、国際的な孤立を招くだけだ。これは習近平氏が最も理解しているはずである。

また、中国軍には実戦経験が乏しく、一人っ子政策で育った兵士が多い。大規模な戦死者が出れば、母親たちの怒りが体制を揺るがす国内反乱につながるリスクも無視できない。島国である台湾を武力で占領し続けるコストは天文学的であり、経済合理性に欠ける自殺行為と言える。
中国の伝統的な戦略は武力による直接支配ではなく、影響力を行使する「冊封体制」だ。サイバー攻撃やSNSを通じた情報戦、政治家への工作といった「人治戦」こそが中国の主要な戦術となるだろう。過度に戦争を恐れるのではなく、日米同盟を基軸に軍事バランスを保ち、中国を牽制する現実的な備えが求められる。
