PIVOT TALK HEALTH
世界最長の統計研究 日本人の健康「最適解」
(359)
2.0万回視聴
2025年4月5日

タバコ・運動不足・ストレスなど、健康の脅威は身の回りにあふれている。健康寿命を伸ばす上での「正解」は何なのか?疫学のエキスパート・大平哲也氏に健康のための習慣を聞いた。
毎日笑うだけで人生が変わる?疫学のエキスパートが語る「健康長寿の秘訣」
笑いと健康の密接な関係が明らかになってきた近年、私たちの日常生活での小さな習慣が健康寿命に大きな影響を与えることがわかってきました。男性と女性で笑いの源が異なることや、運動の適切な量、ストレス対処法など、科学的根拠に基づいた健康法を疫学のエキスパート・大平哲也氏に伺いました。

男性の笑いの源は妻、女性は友達?驚きの研究結果
Q: 笑いと健康の関係について教えてください。
笑いの研究は過去10~20年でかなり進み、多くのエビデンスが出てきた。笑うことで糖尿病リスクが減少したり、寿命や健康寿命が延びたりすることがわかっている。
そして興味深いのは、男性と女性で「最も笑う相手」が異なること。男性は妻との時間に最も笑うが、女性は友達と一緒にいる時に最も笑う。女性にとって夫は「友達の半分しか笑えない相手」というデータがある。
男性の場合、妻がいるかいないかで笑いの頻度が2倍も違う。つまり、男性にとってパートナーの存在が健康に直結している。日本人の60歳以上を対象にした研究でも、男性は配偶者がいるというだけで長生きできることが確認されている。

週150分の運動で十分!激しすぎる運動は逆効果?
Q: 健康のための適切な運動量はどれくらいですか?
運動に関して重要なのは「激しすぎる運動はあまり寿命を伸ばさない」という点。マラソンのようなハードな運動を続けても、健康寿命はあまり延びない。
WHO(世界保健機関)と日本の厚生労働省が推奨しているのは「週150分の有酸素運動」。これが300分程度になるまでは効果が上がるが、それを超えると効果は頭打ちになり、逆に下がるというデータもある。
大平氏自身は週3回の朝のジョギングを実践している。朝の運動は体重が減りやすく、健康にもより良い影響を与えるという研究結果がある。運動は朝食前に行うのが効果的だが、糖尿病の人は低血糖のリスクがあるため食後に行う方が安全。

「仕組み化」で継続できる健康習慣の作り方
Q: 忙しい人でも継続できる運動習慣の作り方はありますか?
働いている人が継続的に運動するには「通勤」を利用するのが最も効果的。自宅から駅までの距離を10~15分程度歩けるところに設定すれば、自然と運動量が確保できる。これより長いと公共交通機関を使いたくなってしまう。
また、なるべく階段を使うことも日常に運動を組み込む良い方法。住む場所や環境設定が健康習慣の「仕組み化」につながる。
タワーマンションについては、高層階だとエレベーターに頼ることになり、自然と階段を使う機会が減ってしまう。低層階なら階段で上り下りできるので、運動量を確保しやすい。また、タワーマンションの高層階は常に微妙に揺れており、これが三半規管などに影響を及ぼす可能性も指摘されている。
40代がピーク!ストレスをポジティブに変える方法
Q: ストレスと健康の関係について教えてください。
ストレスは20代から徐々に増加し、40代でピークを迎え、50代から減少し始める。40代は中間管理職として下からも上からもプレッシャーがかかる時期。
興味深いのは、男女でのストレスの受け止め方の違い。質問すると女性の方がストレスを感じていると答える割合が高く、うつ症状も女性の方が多い。しかし、体への影響は男性の方が大きい。男性はストレスがあることを認めず、我慢してしまう傾向があり、発散方法も少ないため、体に影響が出やすい。
仕事をしている限りストレスはなくならないため、ネガティブなストレスを減らすよりも、ポジティブな要素を増やす方が効果的。具体的には:
1. 小さな目標を設定して達成感を得る
2. 様々な人と交流し、話を聞いてもらう
3. 感謝の気持ちを言葉にする
特に「ありがとう」と言う習慣は健康に良い影響を与える。言われる側だけでなく、言う側の健康度も高くなるというデータがある。
怒りの感情、溜め込まずに発散しよう
Q: 感情コントロールと健康の関係について何かアドバイスはありますか?
怒り、笑い、泣くという行為は、いずれも感情を外に出すという点では同じ。怒りが溜まっているときは、笑ったり泣いたりする機会を意識的に増やすと良い。感情をしっかり出せない場合は、誰かに話を聞いてもらうだけでも気持ちが和らぐ。
タバコを辞めたいなら「禁煙外来」へ行くだけで成功率60%
Q: タバコをやめるコツはありますか?
タバコは親が吸っていると子どもも吸う確率が高くなる。片親が吸っているだけでも喫煙率は上がり、両親が吸っていると更に高くなる。
禁煙したい人にとって朗報は、禁煙外来に行くだけで60%の人が禁煙に成功するというデータ。自分の意志だけでやめられる人は10%しかいないが、禁煙外来では薬の助けを借りることで、タバコを吸いたくなくなる効果がある。
昔は男性の喫煙率が8割に達していた地域もあったが、現在は2割程度まで減少している。タバコの値上げ、メディアでの喫煙シーンの減少、喫煙可能場所の制限などの政策が効果を上げている。

健康習慣は20代30代から始めるべき理由
Q: 若いうちから健康に気を付けるべき理由は何ですか?
若い人は健康をあまり意識しない傾向があるが、日常的な習慣が将来の健康に大きく影響する。20代30代から健康的な生活習慣を少しずつ取り入れることで、自然と健康になっていく。
これは個人の問題だけでなく、社会全体の医療費問題にも関わる重要な課題。若いうちからの健康習慣が、将来の健康寿命を延ばし、社会保障制度の持続可能性にも貢献する。
---
健康長寿の鍵は、笑いを増やし、適度な運動を習慣化し、感情をうまく表現すること。そして何より、人との繋がりを大切にすることが、心身の健康を保つ最も重要な要素かもしれない。