
マネージャーに向く人、向かない人:4タイプの見極め方
2.1万回視聴
2025年3月12日
キャリア採用の増加、価値観や文化の多様化などで、ますます難易度が増すマネジメントの仕事。そこで大切になるのが、マネジメントの技術だ。マネージャーの道標となる「マネジメントの100の型」を、EVeMの長村禎庸社長に聞いた。
「マネジメント100の型」技術を体得する 〜EVeM × PIVOT 共創ワークショップ〜
マネジメントの技術【Q&A】「リーダーは何をするべき?」人のタイプを見極めて適材適所に配置し、最高のパフォーマンスを引き出す方法
マネジメントとは何か?単なる感覚ではなく、体系的な「技術」として学ぶことができる。EVeMの長村禎庸社長が語る「人のタイプ別マネジメント論」を通じて、チームづくりの秘訣を探る。

Q. リーダーはチームメンバーのタイプをどう見極めるべき?
マネジメントは「感覚」や「センス」だけでなく、学べる技術です。チームメンバーに仕事を任せるとき、その人に合った仕事かどうかを判断するのは難しいものです。これを判断する際に考慮すべき要素が「タイプ・ウィル・キャン」の3つです。
「タイプ」は人の性格や思考パターン、「ウィル」はその人が何をしたいのか、「キャン」は何ができるのかを表します。この3要素を掛け合わせることで、その人に最適な仕事が見えてきます。
特に「タイプ」の見極めが重要です。タイプ分けの軸として「自己評価重視 vs 他者評価重視」と「チーム目的思考 vs 自分目的思考」の2つがあります。
- 自己評価重視:自分の評価は自分でする。他人からのフィードバックに依存しない
- 他者評価重視:他人からの評価によって自分の立ち位置を確認する
- チーム目的思考:チームの達成が自分のことのように嬉しい
- 自分目的思考:「私はこの仕事をするためにこの会社にいる」という考え方

Q. 4つの人材タイプとその特徴は?
この2軸から、4つのタイプに分けることができます。
1. パートナー型(自己評価重視×チーム目的思考)
自分で自分を評価でき、チームの成功が自分のことのように喜べる。マネージャーに最も向いているタイプ。
2. マイスター型(自己評価重視×自分目的思考)
自分のことをよく理解し、「これはやりたい」「これはやりたくない」とはっきり言う。「我が道を行く」タイプで、特定の専門分野に強い。
3. プロ型(他者評価重視×自分目的思考)
評価や報酬、自己成長に敏感で、「この仕事をやったら評価されるか」「報酬が上がるか」を常に考える。
4. コントリビューター型(他者評価重視×チーム目的思考)
チームに貢献したいが、周囲から認められないと動けない。日本人に多いタイプ。
Q. 各タイプに適した仕事の任せ方とは?
それぞれのタイプに合った仕事の任せ方があります。
パートナー型には、プロジェクトリーダーや会議運営、数字の取りまとめなど、自分で課題設定しながらチームのために動く仕事が適しています。将来のマネージャー候補としても期待できます。
マイスター型には、一人または少人数で完結でき、その人の強い興味やこだわりを満たせる業務が向いています。こういった仕事を任せると驚くほどの成果を出すことがあります。
プロ型には、目標達成基準が明確な仕事が適しています。「これを達成したらこの評価につながる」という明確な基準があると力を発揮します。反対に、目標が曖昧な仕事は向いていません。
コントリビューター型には、成果が出やすく、周囲から賞賛されやすい業務が効果的です。周囲の評価が動機づけになるため、可視化されやすい仕事で力を発揮します。
Q. マネージャーに向いているのはどのタイプ?
マネージャーに最も向いているのは「パートナー型」です。チーム目的思考があり、自分で自分を評価できるので、チーム全体のパフォーマンスを向上させる役割に適しています。
次に向いているのは「コントリビューター型」です。チーム目的思考があるため、チームのためにという視点を持っています。
一方、「マイスター型」をマネージャーにすると危険な場合があります。マイスター型がマネージャーになりたいと言う場合、「マネジメントという仕事がしたい」という自分目的であることが多いからです。
そのような人がマネージャーになると、「自分のやりたいマネジメント」にこだわり、上司との調整を嫌い、好きなメンバーと嫌いなメンバーを明確に分けたりするなど、チーム全体のパフォーマンス向上という本来の目的から外れた行動をとることがあります。

Q. 人のタイプは変わるのか?
基本的に人の根本的なタイプは変わりません。しかし、「演じる」ことはあります。
例えば、マイスター型の人が会社や上司のために「パートナー型」を演じることがあります。ただし、これは長続きしないことが多いです。
また、コントリビューター型の人が、継続的に成果を出し、周囲から賞賛されることで自信がつき、パートナー型に近づくこともあります。しかし、根本的な部分は変わりにくいため、長期的にはやはり元のタイプに戻ることが多いです。
縦軸(自己評価重視vs他者評価重視)は仕事で自信がつくことで変化することもありますが、横軸(チーム目的思考vs自分目的思考)は変わりにくい傾向があります。
Q. イノベーションを生み出すのはどのタイプか?
興味深いことに、イノベーションを生み出すのはどちらかというと「自分目的思考」のタイプ(マイスター型やプロ型)です。
チーム目的の人はチームに馴染むことが得意で組織運営には向いていますが、突出したことをするのは苦手な傾向があります。
一方、マイスター型の「絶対これをやりたい」という強い思いや、プロ型の「これをやれば評価が上がる」という動機が、これまでにない新しいものを生み出す原動力になることがあります。
そのため、組織から自分目的思考の人を排除してしまうと、イノベーションが生まれにくくなる可能性があります。組織には多様なタイプの人がバランスよく必要なのです。
Q. どうすれば人のタイプを正確に判断できるか?
人のタイプを判断するには、実は6つの質問に答えてもらうことで判定できます。ただし、本人に直接聞くと社会的に望ましい回答をしがちなため、周囲の観察者が判断する方がより正確です。
例えば「チームに貢献できることと自分のやりたい仕事ができること、どちらに喜びを感じますか?」といった質問で傾向が見えてきます。
複数の人(上司やHR担当者など)が同じ人のタイプを判断し、結果を突き合わせることで、より客観的な判断ができます。
組織設計の観点から見たタイプ分けの重要性
組織の中では、特に経営層にパートナー型がいることが重要です。スタープレイヤーやマイスター型の人が自動的に昇進して経営層になってしまう組織は危険です。
例えば、メディア業界やエンジニア組織などでは、優秀なプレイヤー(記者やエンジニア)が管理職に昇進するケースが多いですが、これが組織の不調につながることがあります。
マネジメントに向いていない人がマネージャーになる道しかないという状況を避け、スタープレイヤーはスタープレイヤーとして評価される仕組みを作ることが大切です。
また、管理職になることの意義や具体的な業務内容を明確にすることで、「マネージャーになりたい人」を増やすことも組織運営において重要なポイントです。
