
FRB&FOMC 超入門/3月FOMCプレビュー【唐鎌大輔】
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2025年3月10日
EXIT・りんたろー。と国山ハセンが株・保険・住宅など資産運用にまつわるスキルセットを学ぶ。今回は3月開催のFOMCに先駆けて今さら聞けないFRBとFOMCの仕組みやFOMCの注目ポイントについて唐鎌大輔氏が解説 <ゲスト> 唐鎌大輔(みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト) 著書「弱い円の正...
今さら聞けない「FRB&FOMC」 - 投資の根本を理解する
投資をしていても、ニュースで頻繁に出てくる「FRB」や「FOMC」という言葉の意味を正確に理解していない人は多いのではないだろうか。これらは投資の世界における基本中の基本であり、世界経済の動向を左右する重要な存在だ。今回は、みずほ銀行チーフマーケットエコノミストの唐鎌大輔氏に、初心者にもわかりやすく解説してもらった。

Q: FRBとは何ですか?日本の日銀と同じものですか?
FRBは「連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)」の略で、アメリカの中央銀行制度を指します。日本の日銀と対比して報道されることが多いので銀行だと思われがちですが、実際には銀行ではなく、制度として存在しています。
この制度の下、アメリカには12個の「連邦準備銀行」があり、それぞれの地区で金融政策を実施しています。FRBが決めたことを、これら12の銀行が各地域で実施するという仕組みです。FRBは銀行ではありませんが、各地区の連邦準備銀行は実際の銀行として機能しています。


Q: FOMCとは何ですか?どのように開催されるのですか?
FOMCは「連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee)」の略で、アメリカの金融政策を決定する会議です。日本の日銀における金融政策決定会合のアメリカ版と考えると理解しやすいでしょう。
FOMCは年に8回、約6週間に1回のペースで開催されます。特に3月、6月、9月、12月の会合では、経済予測も一緒に発表される特別な会合となります。この予測は「サマリー・オブ・エコノミック・プロジェクション(SEP)」と呼ばれ、FRBが向こう1-2年の経済・物価情勢をどう見ているかを示します。
Q: FOMCのメンバーは誰で構成されていますか?
FOMCは合計12人のメンバーで構成されています。そのうち7人は「神セブン」と呼ばれることもある常任メンバーで、FRB議長、副議長、5人の理事が含まれます。残りの5人は12の連邦準備銀行の総裁から選ばれます。
ただし、ニューヨーク連邦準備銀行の総裁は常に委員を務め、残り4つの席を他の11の連邦準備銀行の総裁が輪番制で埋めることになっています。つまり、ニューヨーク連銀は特別な存在として認識されているのです。

Q: ドットチャートとは何ですか?なぜ重要なのですか?
ドットチャートは、FOMCの各メンバーが今後の政策金利をどう予想しているかを示したグラフです。具体的には、12人のメンバーがそれぞれ、今年末、来年末、再来年末の政策金利をどの水準と予想しているかをドット(点)で表示します。
このドットチャートは、市場参加者にとって重要な指標となります。例えば、多くのメンバーが今年中に3回の利下げを予想している場合、市場はそれを受けて「FRBは3回利下げするだろう」と判断し、投資行動に反映させることがあります。
ただし、唐鎌氏によると、このドットチャートの信頼性は高くないとのこと。FRBのメンバーも完璧に将来を予測できるわけではなく、3ヶ月後に発表されるドットチャートが全く異なることもあります。あくまで「現時点での見解」であり、約束ではないことを理解しておく必要があります。
Q: なぜFRBやFOMCは世界経済にとって重要なのですか?
FRBが決定するアメリカの政策金利は、世界の資本コストの基本となるからです。アメリカの金利が動けば、世界中の株式市場や債券市場、為替市場も連動して動きます。
つまり、全ての起点となっているのはFRBの政策運営であり、「世界の経済がここにある」と言っても過言ではありません。投資をする上でも、経済を分析する上でも、FRBの動向を理解することは基本中の基本なのです。

Q: 中立金利とは何ですか?どのように決まるのですか?
中立金利とは、その国の経済にとって引き締めにもならず、緩和にもならない「ちょうどいい」金利水準のことです。理論的には「自然利子率」と「予想物価上昇率」を足したものとなります。
自然利子率は、その国の実力(潜在成長率)を表します。一方、予想物価上昇率は、多くの中央銀行が目標としている2%程度と考えられています。
例えば、アメリカの自然利子率が1%だとすると、予想物価上昇率2%を足して、中立金利は3%となります。これが意味するのは、政策金利が3%になれば、アメリカ経済は「ちょうどいい」状態になるということです。
ただし、自然利子率は正確に測定することが難しく、「お化けを推計するようなもの」と表現されることもあります。そのため、中立金利の水準については常に議論があります。
Q: アメリカと日本の中立金利はどう違いますか?
アメリカの中立金利は現在約3%とされています。一方、日本の自然利子率はマイナス1%からプラス0.5%程度と言われており、これに予想物価上昇率2%を足すと、日本の中立金利は1%から2.5%程度となります。
この差は、各国の生産性の違いによるものです。生産性は「1時間あたりの実質GDP」で測られ、アメリカはコロナ以降、特に高い生産性を示しています。
興味深いことに、日本の生産性は一般に言われるほど低くなく、むしろドイツやフランスよりも高いことがデータから示されています。「日本の生産性は低い」というのは、実はデータに基づかない誤った認識かもしれません。
Q: 3月のFOMCでは何が注目されますか?
2024年3月18-19日に開催されるFOMCでは、政策金利の据え置きが予想される中、ドットチャート(政策金利見通し)と中立金利の予測値が注目されます。
特に中立金利の予測が引き上げられると、「利下げはあまり必要ない」というメッセージとなり、株式市場にはネガティブな影響があるかもしれません。一方、アメリカの金利が高いままだとドルへの投資が増え、為替相場に影響する可能性もあります。
また、ほぼ同じタイミングで日銀の金融政策決定会合も開催されるため、両者の影響を合わせて考える必要があります。
Q: 投資家はFRBとFOMCの情報をどう活用すべきですか?
投資家にとって、FRBとFOMCの情報は非常に重要です。特にドットチャートなどの見通しは、短期的な相場動向に大きな影響を与えることがあります。
ただし、これらの見通しは完全に信頼できるものではなく、状況によって大きく変わることも理解しておくべきです。あくまで「現時点での見解」として参考にし、他の情報と合わせて判断することが重要です。
FRBとFOMCの基本的な仕組みを理解し、情報を適切に解釈できれば、投資の世界への「入り口に立つ」ことができるでしょう。
