
2025年注目の米国株セクター【大山季之×イェスパー・コール】
【話題のマグニフィセント・セブンどうなる?】米国株のプロが教える2025年注目の投資先
投資家の間で注目を集める「マグニフィセント・セブン」。その将来性と2025年に向けた投資戦略について、エコノミストの大山季之氏とイェスパー・コール氏に聞いた。「寝られる銘柄」という独自の視点から選ぶべき企業とは?


Q. マグニフィセント・セブンの今後はどうなる?
年初からマグニフィセント・セブン全体でみると、株価に大きな変化はありませんが、個別の銘柄を見ていくと差が出てきています。その中で最も顕著な株価上昇を見せたのはMetaです。
Metaの成長要因は、AIを活用したインテリジェンスとコスト削減にあります。設備投資を前年比50%増やす計画を発表しており、AIを活用して効率的に収益を生み出す姿勢が評価されています。また、これまで人員削減を進めてきましたが、今回は従業員を10%程度増やす方針を示しました。特にデータセンター建設に人材を投入し、売上拡大と利益効率化の両立を目指しています。
テスラについては、決算が市場予想を下回りましたが、もはや単なる自動車メーカーではなくなっています。AI開発コスト低減の恩恵を最も受けられる位置にあり、引き続き注目すべき銘柄です。
アルファベット(Google)は、広告収入が主力であり、クラウド事業の減速が懸念されています。自動運転部門のWaymoは収益面ではまだ厳しい状況で、大きな経済的変化をもたらすには時間がかかりそうです。
Amazonは、マグニフィセント・セブンの中でアメリカのGDPに最も近い動きを示す企業で、安定した投資先と言えます。また、米国の独占禁止法改革による緩和の恩恵を受け、より強固なポジションを築くと予想されます。
Appleについては、最近の株価上昇の理由が分かりにくい状況です。Apple Intelligenceへの期待があったものの、収益化の道筋が見えず、iPhone販売も特に好調というわけではありません。中国市場でも苦戦しており、トップブランドとしての地位は維持するものの、成長性に疑問符がつく状況です。
NVIDIAについては、DeepSeekのような競合が出てきているものの、AIチップ市場全体の拡大の恩恵を受けると予想されます。AMDなど2番手以下の競合との差は依然として大きく、しばらくはトップの座を維持すると考えられます。
Q. トランプ政権下で伸びる「寝られる銘柄」とは?
2025年のトランプ政権では「Back to Basic」がキーワードとなります。特に注目すべきは規制緩和政策です。20年間で強化されてきた金融規制と環境規制の2つが大幅に緩和される見通しです。
金融業界では、大手銀行、証券会社、決済企業、クレジットカード会社などが規制緩和の恩恵を受けるでしょう。環境・エネルギー分野では、シェールガスや石油開発が促進され、米国のエネルギー自給率向上が進むと予想されます。
「量子コンピューターに投資するとI cannot sleep(眠れない)」という言葉に象徴されるように、専門家は将来性は高くても不確実性の高い分野よりも、確実に成長する「I can sleep(寝られる)銘柄」を推奨しています。
特に注目すべきセクターとして、インフラ関連があります。「ドリル・ベイビー・ドリル」と呼ばれる化石燃料掘削推進政策の下で、パイプライン、タンク、貯蔵施設などのインフラ企業が恩恵を受けるでしょう。米国の鉄鋼会社であるニューコアなどは、環境規制緩和で注文が倍増、3倍になる可能性があります。
また、住宅セクターも注目です。環境規制強化で住宅建設が制限されてきた結果、米国では住宅不足が生じています。規制緩和によって住宅建設が活発化すれば、ホームビルダーやリフォーム会社、ホームデポのようなDIY用品販売店が恩恵を受けるでしょう。日本企業では積水ハウスが米国の大手ホームビルダーとして規制緩和の恩恵を受ける可能性があります。
Q. AI時代を生き残る企業とは?
AI時代を生き残る企業を考える上で重要なのは、AIをどう活用するかという視点です。NVIDIAの顧客である大手テック企業が、AIの活用方法を模索する主役となっています。
製造業の現場では、既存のデータ分析から一歩進んだ「推論」の活用が進むでしょう。例えば、鉱山で稼働するダンプカーのタイヤのすり減り具合を感知し、交換時期を提案するなど、データから予測して先手を打つようなサービスが増えていくと予想されます。これにより生産性向上が期待できます。
AIを活用した企業としては、Palantirが注目されています。防衛分野でのデータ分析に特化した同社は、ライバル企業の台頭まで少なくとも1〜2年はかかると見られています。また、防衛分野という特性上、中国企業などの参入障壁が高く、「アンタッチャブル」な地位を保持しています。
飲食店向けのPOSシステムを提供するToastも、人手不足が深刻化する中で注目されています。トランプ政権下で移民政策が厳しくなれば、労働力不足を補うテクノロジーへの需要が高まるでしょう。

投資戦略の新潮流「スピンオフ銘柄」
事業の選択と集中を進める「スピンオフ」が投資家の間で注目されています。多角経営のメリットはあるものの、「専業でやってくれ」という投資家の声が高まっており、本業に集中することで企業価値が向上するケースが増えています。
例えば、テレビ局と不動産事業を持つフジテレビや、コンビニ、スーパー、金融事業を展開するセブン&アイなど、多角化企業がスピンオフすることで企業価値が向上する可能性があります。
注目すべきはFedExで、事業の切り出しを発表しており、再上場した際に株価上昇が期待されています。世界には「スピンオフインデックス」が存在し、それを参照するETFもあります。このインデックスに含まれる約30社の昨年のパフォーマンスは、S&P500の24%に対して約60%の上昇率を記録しており、スピンオフ銘柄の高いリターンが示されています。

今後の米国株投資の展望
マグニフィセント・セブンのようなハイテク企業は引き続き注目されますが、これらは「テーマ株」として捉え、ポートフォリオの約10%程度に抑えるべきとの意見もあります。それに対し、価値株は50〜60%程度の比率で保有することが推奨されています。
現在の米国市場で割安感のあるセクターは、鉄鋼、インフラ、エネルギーなどです。また、かつては高所得者から敬遠されていたウォルマートも、Eコマース投資によってオンラインでの買い物体験を改善し、富裕層の顧客も取り込むことに成功しています。
テック企業にも安定した成長が期待できる銘柄があります。例えば、リクルートの米国子会社Indeedは、トランプ政権下の雇用政策によって恩恵を受ける可能性があります。
最終的に投資家が考えるべきは、企業がそれぞれの強みに集中し、専門性を高めることで成長する姿を見極めることです。トランプ政権下では「自分の得意分野に集中し、業績を伸ばせ」という方向性が強まると予想されます。
