
世界の富裕層たちの時間活用術【田中渓】
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2025年3月3日
EXIT・りんたろー。と国山ハセンが株・保険・住宅など資産運用にまつわるスキルセットを学ぶ。今回のゲストは元ゴールドマンサックス証券に17年勤続し、マネージングディレクターを務めた田中渓氏が億以上を稼ぐ富裕層が持つマインドを伝授
富裕層はどうお金と時間を使う?元ゴールドマン田中渓氏に聞く本音の資産活用術
元ゴールドマンサックス証券のマネージングディレクターを務めた田中渓氏が、「富裕層のお金と時間の活用術」を大公開。一般人には知りえないお金持ちの生態から、意外と質素な消費生活、投資の考え方まで、リアルな話が満載だ。「フェラーリを買うのは見栄のためじゃない」、「朝3時45分起きが効率的な理由」など、驚きの習慣の数々を紹介する。

富裕層はなぜ「損失回避バイアス」に惑わされないのか?
Q: 富裕層の方々は投資において、どのような心理的な特徴を持っていますか?
富裕層の人たちは相場の変動に惑わされずパニックを起こさないことが特徴的です。一般の人が陥りやすい「損失回避バイアス」から自由です。
例えば「90%の確率で100万円儲かるが、10%の確率で500万円損する」というギャンブルを考えてみましょう。多くの人はこの提案を受けないでしょう。計算上は90万円-50万円=40万円の期待値があるにもかかわらず、500万円という損失の可能性に恐怖を感じてしまうのです。
人間は一般的に、少しの利益よりも損失の可能性を過大に恐れる傾向があります。富裕層はこの心理的バイアスを理解し、確率論的に有利な判断ができます。
2010年代、SNS会社が携帯ゲーム事業に進出した時期がありました。その後、コンプリートガチャという仕組みが景品表示法違反で規制され、関連企業の株価が暴落しました。その中で田中氏は、ゲーム事業にあまり力を入れていなかった企業の株を購入。他の投資家がパニックになる中、冷静な判断で大きなリターンを得ることができました。
富裕層の投資ポートフォリオは段階によって変化する
Q: 富裕層の投資スタイルはどのようなものですか?初心者のような投資もするのでしょうか?
富裕層の投資スタイルには段階があります。普通の人が想像するような「特別な情報だけで儲けている」という実態はありません。
最初は誰もが安定的な投資、例えばインデックス投資などから始めます。そして安定収入が得られてくると、少しずつリスクの高い投資にシフトしていきます。仮想通貨を始めたり、最終的にはスタートアップのエンジェル投資などに移行していくのが一般的なパターンです。
ゴールドマンサックスで田中氏が一緒に働いていた投資チームの人たちも、基本的にはバランスの取れたポートフォリオを組んでいます。一般的なインデックス投資に加えて、不動産投資、未上場株への投資、太陽光発電所への投資など、多様な資産クラスに分散しています。
富裕層は基本的な生活資金や、家族がいる場合は学費などをしっかり安定資産で確保した上で、残りの一部をリスクの高い投資に充てるという構成が一般的です。一般的なイメージとは異なり、基礎はしっかり固めているのです。
「フェラーリを買う理由」、富裕層の意外な消費習慣
Q: 富裕層はどんな高級品を買い、どうお金を使うのですか?
フェラーリなどの高級車を購入する理由は、一般的に考えられているのとは異なります。単に「カッコいいから」「見栄のため」ではなく、資産価値に着目している場合が多いのです。
フェラーリは供給台数が厳密にコントロールされており、お金があっても必ずしも買えるわけではありません。そのため、多くのモデルは時間とともに価値が上がっていく傾向があります。また、オーナーズクラブに入ることで富裕層同士のネットワークが広がり、そこでしか得られない情報交換や、次の希少モデルを購入できる権利を得られるなどの特典があります。
食事についても、単に予約の取りにくい高級レストランに行くというよりは、本当に美味しいものを求める傾向があります。近年増えている「なんちゃって三つ星」と呼ばれる予約困難な小規模店については、ビジネスモデルを見抜いていることも多く、本当に価値のあるものとそうでないものを見分ける目を持っています。
富裕層は質素に暮らしている方も多く、自分が本当に欲しいもの、食べたいものだけを選び、他人に見せるためや承認欲求を満たすための消費は控える傾向があります。むしろケンタッキーが食べたいと言って高級弁当を断るような例もあるようです。
驚愕の時間管理術:「朝3時45分起き」の効果とは?
Q: 富裕層の方々は時間をどのように管理して活用していますか?

田中氏自身、6年前から朝3時45分に起床するという習慣を続けています。この早朝の時間を使って25kmのランニングや60kmのサイクリング、7,000mの水泳などのトレーニングを行っています。
特筆すべきは、身体を動かしている間に頭の中で仕事のメールや予定、アイデアが自然と整理されていくという効果です。メールを見て内容を確認した後、運動している間に脳がオートパイロットで処理し、2時間ほど走った後に帰宅すると、返信内容やその日のスケジュールが頭の中で整理されているとのこと。
この方法は試験勉強にも通じる理論で、問題を一度見てから別の作業をすることで、潜在意識が解答を準備してくれるという効果があります。午前中にアウトプットを終わらせ、午後はインプットや人と会う時間に充てるというサイクルが効率的だとのことです。
驚くべきことに、この「早朝活動」の習慣は富裕層に共通して見られる特徴のようです。田中氏が海外の会議で朝4時頃にホテルのジムで走っていると、次々と会議の参加者が現れ、最終的に5人ほどが集まったというエピソードもあります。
習慣化のコツと時間の価値
Q: 早起きなどの良い習慣を続けるコツはありますか?
習慣化のポイントは「意思の力をなるべく使わないようにする」ことです。前日に服や靴、飲み物などを準備しておき、朝起きたらただそれを着て外に出るだけという流れを作ります。また、「作業興奮」という概念も重要で、どんな作業も最初の5分が最も辛いものの、始めるとだんだん楽になるという現象を理解しておくことが大切です。
「5分だけやろう」と決めて始めれば、多くの場合そのまま続けられるようになります。また習慣化には、身体的なものと思考回路を変えるものでは必要な時間が異なります。3ヶ月かかるものもあれば、もっと長期間必要なものもあるので、短期間で諦めないことが大切です。
そもそも時間の価値を理解することが重要です。「20兆円の資産を持つ87歳になるか、現状のままでいるか」と問われれば、多くの人は現状を選びます。それほど時間には価値があるのです。何も運用しないことは「日本円一択で全力投資している」のと同じで、「年を取るリスク」を100%取っているということになります。

富裕層のビジネススタンス7つの特徴
Q: 富裕層に共通するビジネス上の特徴はありますか?
1. メールの返信が早い: 単にスピード感があるだけでなく、相手の心理を考えて対応する。「読みました」「いつまでに返します」など、簡単な返事でも相手を安心させる効果がある。こうした人は仕事の依頼も多く受け、好機も多い。
2. 情報提供や人の紹介を惜しまない: 成功している人は基本的に「ギブギブギブ」の精神で、情報やネットワーク、信頼できる人に対しては惜しみなく与える。これによって相手も返したいという気持ちになる「返報性の法則」が働く。
3. 時間軸の整理が明確: 会議の最後に「今日はこういう話だった」「次はいつまでに誰が何をやる」と30秒〜1分でまとめる。時間管理とToDoの管理が頭の中に常にあり、オーケストラの指揮者のように全体を見渡せる。
4. チームの稼働率を100%にできる: メンバーがアイドリング状態にならないよう、作業の流れを考え、次の行動ができるようにする。メールは夜中にまとめて返すのではなく、日中にやり取りして作業を進められるようにする。
5. 判断・決断はその場で結論出す: 「持ち帰ります」と言うだけでなく、自分なりの仮説を相手に伝えた上で持ち帰る。それにより相手との対話が意味のあるものになる。
6. 相手の立場が理解できている: 自分が伝えたいことではなく、相手が知りたいことを考える。同じ内容でも相手によって伝え方を変え、次に情報を伝える相手のことまで考慮した資料作りをする。
7. 責任感・オーナーシップを持って仕事する: プロジェクト全体を理解し、自分の役割だけでなく、全体の中で誰かがボールを落としたときにヘルプできる状態を作る。会社全体の事業内容や売上規模を把握することも重要。
FIRE(経済的独立・早期退職)は本当に幸せなのか?

Q: 経済的に独立して早期退職する「FIRE」は現実的な目標ですか?
FIREのモデルケースとして、4,000万円の資産から5%(200万円)の配当収入を得て、生活費の安い国に移住して暮らすというプランがあります。しかし、こうした国々はインフレリスクが高いこと、また10年という期間の中で突発的な出費(手術や子どもの進学、親の介護など)が発生する可能性を考えると、現実的には厳しいケースが多いです。
より現実的なアプローチは、小さくても収入源を確保しておくことです。月に100万円程度の収入があれば、資産を切り崩す速度を抑えられます。また、完全にリタイアすると社会から断絶されてしまうリスクもあります。40代という、それまでに積み重ねてきたスキル・経験・人脈をアウトプットする時期に、それらを活かせないのはもったいないという側面もあります。
豊かさは必ずしも良いことばかりが起こることではなく、「記憶の配当」という考え方も重要です。旅行の思い出も、観光名所より「パスポートを忘れて急いで取りに帰った」などのトラブルの方が印象に残り、後に笑い話になります。人生も同様で、山あり谷ありの方が豊かな記憶になるのではないでしょうか。
人生の半分くらいの時点でFIREを目指すより、投資を続けながら、その過程での上がり下がりも含めて人生を楽しむという考え方も良いでしょう。投資の経験と記憶そのものが、将来の「記憶の配当」になるのです。
