
なぜコンサルより商社マンが凄いのか
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2025年1月24日
事業承継を希望する人材への投資を行うサーチファンド代表で元BCGの嶋津紀子氏。一流を探す中で見つけた、コンサルタントにはない商社マンの凄さについて、PIVOT新MC高松智史が聞いた。 <ゲスト> 嶋津紀子|Japan Search Fund Accelerator代表 東京大学経済学部卒、スタンフ...
インタビューガイド(エグゼクティブサマリーのURLは後編の詳細をご覧ください)
サーチファンドとは?投資と人材発掘の最前線
高松氏と嶋津氏による対談から、サーチファンドの本質と人材選びの秘訣を紐解く

Q. サーチファンドとは何ですか?
サーチファンドは、事業承継のスタートアップと言えます。従来の投資ファンドが企業に投資するのに対し、サーチファンドはまず「サーチャー」と呼ばれる優秀な人材に投資します。サーチャーは自らの意思で経営したい会社を探し、ファンドの力を借りて買収し、社長になることを目指します。
サーチファンドの世界では、サポーター側の存在感が強くなりがちですが、中心はサーチャーであり、彼らが企業家として事業承継を行うことが本質です。サーチャーを中心に据え、彼らがアントレプレナーとして活躍できる環境を作ることが重要です。

Q. サーチファンドはどのように説明すると分かりやすいですか?
「事業承継のスタートアップ」という表現が最も分かりやすいでしょう。事業承継では資金が必要ですが、個人や素人には手が出しにくい世界でした。サーチファンドは、お金を別途手当てすることで、資金のない人でも事業承継に挑戦できる仕組みを提供しています。
ジャパン・サーチファンド・アクセラレーター(JSFA)が行っているのは、事業承継のスタートアップへの投資、つまり事業承継のVCと言えるでしょう。
Q. サーチャー(経営者候補)はどのような基準で選ばれるのですか?
サーチャー選びで最も重視されるのは「エネルギーレベル」です。これは人間としてのエネルギー総量を指し、どの方向に発揮されるかを示す「モチベーション」とは区別されます。経営者には特に高いエネルギーレベルが求められます。
また、メンタルの強さも重要です。「痛いけれど前に進める人」、つまり困難に直面しても諦めず歩き続けられる人が評価されます。賢さも必要ですが、それ以上に人を巻き込む力や人に好かれるチャーム、そして何より狂気的に物事をやり切る実行力が求められます。

Q. エネルギーレベルとは具体的にどういうものですか?
エネルギーレベルとは、人間が生まれ持った活動エネルギーの総量のことです。例えば、仕事も頑張り、トライアスロンもこなし、子育てにも積極的に関わり、趣味も充実させるなど、あらゆる方向に高いパフォーマンスを発揮できる人がいます。
このエネルギーレベルは、モチベーションの方向性とは別物です。モチベーションはエネルギーがどの方向に向かうかを決める「角度」の問題であり、エネルギーレベルはその「量」の問題です。エネルギーレベルが高ければ、どんな困難があっても前に進み続けることができます。

Q. サーチファンドにおける実際の選考プロセスはどのようなものですか?
サーチャー候補には「どんな会社をどうしたいか」を必ず質問します。回答の具体性は様々で、特定の業種や会社名を挙げる人もいれば、「B2B営業で伸ばせる会社を徹底的に強くしたい」など機能面に焦点を当てる人もいます。
サーチャーは必ずしも特定の業界への強い思い入れから始めるわけではなく、「経営者になりたい」という意思から始まることも多いです。これは恋愛に例えると、大恋愛から結婚に至るパターンもあれば、結婚生活を望んで婚活から始めるパターンもあるようなものです。
Q. サーチャーの真価はどこで判明しますか?
サーチャーの真価は「サーチ期間」(会社を探している期間)に明らかになります。この期間に、どれだけ積極的に会社にアプローチし、オーナーとの関係を構築できるかが試されます。
サーチャーには、電話やメールを駆使して潜在的な売却先にアプローチし、返信がなくても諦めず継続的に働きかける粘り強さが求められます。中には約束なしで遠方まで足を運んだり、オーナーと関係を築くために創意工夫をしたりするサーチャーもいます。こうした「狂気的」とも言える行動力が、最終的に結果を生み出します。
Q. なぜコンサル出身者はサーチャーとして少ないのですか?
サーチファンドを立ち上げた当初はコンサル出身者の応募を期待していましたが、実際は少数派でした。その理由として、コンサルタントは「奢侈行(支援する側)」に偏りすぎており、自ら実業に飛び込む覚悟が少ない傾向があるからではないかと考えられます。
サーチャーに多いのは「勝者」タイプの人材です。決めたらすぐ行動し、機動力に優れた人たちです。一方、コンサル出身者は分析や戦略策定には長けていても、行動に移す際のエネルギーや覚悟が不足している場合があります。
Q. 実業とコンサルティングの関係をどう考えますか?
実業こそが本質的に重要です。監督やコーチ、サポーターばかり増えても、プレイヤーがいなければ勝てません。新卒時には「入るのが難しい場所に入ること」が価値あるように思えますが、実際には虚業(支援側)よりも実業(プレイヤー側)の方が世の中に与える影響は大きいのです。
高級オフィスに拠点を構えるコンサルティングファームやVCよりも、実際に事業を展開する企業こそが尊重されるべきです。優秀な人材がプレイヤーではなくサポーター側に集まりすぎている現状は、バランスを欠いています。
Q. ビジネスにおいて狂気や情熱はどのような役割を果たしますか?
「狂気が色気を生み、色気がお金を生む」という表現があります。何かに狂気的に取り組むことで、その人から独特の魅力や色気が生まれ、それがビジネスチャンスへとつながります。
サーチャーが会社のオーナーを説得する際も、この「狂気的」なまでの熱意と行動力が相手の心を動かします。例えば、断られても諦めずにアプローチを続けたり、オーナーの興味に合わせて特別な体験を提供したりする創意工夫が、最終的な成功につながります。この「色気」とも言える魅力を持つ人は、人を巻き込む力に長けています。
