
AIを圧倒する思考法 マップ
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2025年1月31日
ボスコンを経てサーチファンドを立ち上げた嶋津紀子氏。 思考の出発点を定義することはビジネスだけでなく、自分の人生をよりよく生きることにもつながると説く。AI時代にも必要なコンサルの思考技術に迫る。 ※エグゼクティブサマリーは該当回のYouTubeの概要欄からご覧ください <ゲスト> 嶋津紀子|Ja...
インタビューガイド(エグゼクティブサマリーのURLは後編の詳細をご覧ください)
ノーススターを見失わない成功者の思考法とは?高松智史×嶋津紀子が語る
どんな会社や個人でも、継続的に成長し、ステークホルダーに価値を還元するというゴールから逆算して行動している。しかし、多くの人が途中で本来の目的を見失い、小さな目標だけに固執する「本末転倒」に陥る。この問題をどう回避するのか、そしてビジネスと人生のバランスをどう取るべきか—プロフェッショナルの思考法を紐解いていく。

Q. 「ノーススター」とは何か?なぜそれが重要なのか?
ノーススターとは、自分の行動や判断の基準となる最も大切な目標や価値観のことだ。例えば、企業では「継続的に売上と利益を上げる」「ステークホルダーをハッピーにする」「社会に価値を還元する」などが挙げられる。
問題は、このノーススターからさまざまな具体的な目標に分解していく過程で、いつの間にか本来の目的を忘れてしまうことだ。例えば「コストを下げるために出張費を削減しよう」という部分最適化の議論に陥り、「社員のモチベーションが下がり、離職が増え、結果的にコストが上がる」という全体像を見失うケースがある。
真のプロフェッショナルは、常に大きな視点(ノーススター)を持ちながら、状況に応じて視野を広げたり狭めたりする能力を持っている。これは仕事だけでなく人生全般においても重要な考え方だ。
Q. 企業で見られる「本末転倒」の事例とは?
企業ではコスト削減を目的にした施策が典型的な本末転倒を引き起こすことがある。例えば、出張費を削減するという目標だけに固執すると、短期的には数字は改善するかもしれないが、長期的には社員のモチベーション低下や顧客満足度の低下につながり、結果として業績悪化を招くことがある。
このような本末転倒は、目の前の数字や短期的な成果だけを追いかけ、会社全体の目標や価値観(ノーススター)を見失うことで生じる。部分最適化が全体最適を損なうことになるのだ。
組織の中でパートナーやリーダーの役割は、時に「大論点に立ち返る」ことを促し、目先の成果だけではなく、組織全体の方向性や長期的な利益を見据えた判断を促すことにある。
Q. サーチファンドの事例から見る「本末転倒」とは?
サーチファンドとは、経営者になりたい人に資金を提供し、買収する会社を探してもらうビジネスモデルだ。このモデルでも本末転倒が起きやすい。
多くの人が「経営者になること」自体を目的化してしまい、「なぜ経営者になりたいのか」という本質的な問いを忘れてしまう。単に「社長と呼ばれたい」「偉くなりたい」といった動機では、本当の経営者として成功することは難しい。
真に価値のある動機は、「課題解決が好きで、チームで動きながら責任を持って物事をやり遂げたい」といったものだ。このような本質的な動機がない場合、いざ会社を買収して経営者になっても、自分が好きでもない事業を経営するという本末転倒が起きてしまう。

Q. 人材採用において「エネルギー量」と「モチベーション」の違いは何か?
人材を評価する際、「モチベーション」と「エネルギー量」は別の要素として考える必要がある。モチベーションは「どの方向に進みたいか」という方向性を示すのに対し、エネルギー量は「どれだけ力強く進めるか」という量を示す。
特にサーチファンドのようなビジネスでは、会社探しの過程で多くの困難や断られ続ける経験をするため、高いエネルギー量を持った人が重要になる。これは、一度落ち込んでも立ち直れる力、粘り強さ、集中力といった要素に表れる。
また、ある人が何かに集中すると周囲が見えなくなるほど没頭する、考え始めたらしつこく考え続ける、といった内在的なエネルギーの高さも成功に不可欠な要素だ。

Q. 思考の質を高めるためにインプットはなぜ重要か?
AIのようにインプット、処理、アウトプットの流れで考えた場合、多くの人は処理とアウトプットに注目しがちだが、実は軽視されがちなインプットこそが最も重要だ。
例えば、工場見学に行っても、ある人は「大きな工場でした」程度の感想しか持たないが、別の人は多くの課題や改善点、素晴らしい点に気づく。この違いは、同じものを見ていても、何をどう認識するかというインプットの質に大きく左右される。
言語哲学では「世界は私の世界である」「言語の限界が世界の限界である」という考え方がある。つまり、自分が認知できること、言語化できることでしか世界を捉えられないということだ。言語能力や認知能力を高めることで、より広く深い世界を見ることができるようになる。
Q. 時間軸の調整や「マップの広げ方」はどう実践するか?
思考のマップ(視野)を広げるには、時間軸と空間軸の両方で考える必要がある。短期的に見れば失敗や挫折と感じることも、2年後や人生30年という視点で見れば小さな出来事かもしれない。
一方で、常に広い視野だけを持つのではなく、状況に応じて意図的に視野を狭め、特定の課題に集中することも重要だ。例えば「今この1時間でこの問題を解決する」と時間軸を短くすることで、集中力と効率が高まることがある。
重要なのは、広い視野(ノーススター)を忘れないまま、状況に応じて視野を調整する柔軟性を持つことだ。常に全体像を意識しながらも、時には目の前の課題に全力を注ぐ—この切り替えが成功者の思考法の特徴と言える。

Q. 「愛する」ことがビジネスでも重要な理由は?
愛することは技術であり、練習によって上達する。これはエリヒ・フロムの「愛するということ」の核心的なメッセージだが、ビジネスにも大いに関係する。
サーチファンドの経営者たちが集まった際にも「結局、愛することが大事」という結論に至ったという。これは事業を愛する、社員に愛を持って接する、日々の仕事に愛情を持って向き合うといった姿勢を指す。
愛するということは、単に自然に湧き上がる感情ではなく、意図的に人や物事の良い面を見つけようとする態度や、見返りを求めない無条件の尊重といった要素を含む。このような愛情に基づいた姿勢がビジネスにおいても成功をもたらす重要な要素となる。
