
外国人労働者市場の未来。2032年がタイムリミット
岩槻知秀氏が語る、日本の外国人労働者市場の未来と課題
日本の労働市場は大きな転換点を迎えている。少子高齢化による労働力不足が深刻化する中、外国人労働者の受け入れは避けられない現実となりつつある。今回は人材ビジネスの最前線で活躍する岩槻知秀氏に、外国人労働者市場の現状と未来について聞いた。

Q. 今後の外国人労働者市場はどうなっていくと考えていますか?
国民が介護を必要とする時代になると、十分な人材がいない状況になる可能性が高い。そのため、外国人労働者に頼らざるを得なくなるだろう。
現在、1.3人で1名の高齢者を支える状況では、労働者が20万円の手取りを得るために、企業は86万円から100万円程度を支払わなければならない計算になる。これは約7〜8割が国に取られていくことを意味する。
このような状況を変えるためには、外国人労働者の受け入れを拡大する必要がある。供給面では外国からの人材は理論上無限に増やせるので、人材を維持するためには現在の空きポジションを埋めることが重要だ。

Q. 円安の影響で日本に外国人労働者が来なくなるという話がありますが、実態はどうですか?
それは事実だ。2030年頃までに日本に来る魅力が失われるという分析もある。それでも最後まで取り組みたいと考えている。
Q. 現在の外国人労働者の受け入れ状況と今後の見通しはどうですか?
現状は逆に緩すぎる面もあり、犯罪を犯した人の扱いなど、一部では規制が必要だと考えている。しかし、全体としては今後もっと拡大する必要があるし、実際に拡大していくだろう。
外国人労働者が増えると賃金が下落するという懸念もあるが、人材不足が進む中でその心配は少なくなっていくはずだ。むしろ問題なのは、社会保険料や税金を含めた国民負担率が高くなりすぎていることだ。現在でも23歳で額面30万円程度の一般的な日本人の徴収率は50%に達している。この負担を下げていかないと厳しい状況になる。
Q. AIやロボットによる生産性向上で労働力不足はカバーできないのですか?
ある程度はカバーできる。政治家や企業経営者との勉強会で調査したところによると、2040年までに約50%の業務が機械化されるという予測がある。これは比較的ポジティブな見通しだが、残りの50%は人間が必要となる。そこで外国人労働者の支援が必要になってくる。

Q. 外国人材の確保についてどのような取り組みをしていますか?
4月にシアトルのHR企業を買収し、北米市場に進出した。現在は南米と北米の両方を市場として見ている。また、アジアでは日本に来てもらうための学校を作る取り組みも進めている。
世界に出ていく際はソフトウェア分野で勝負したいと考えている。日本は労働力不足からDXの需要が世界で最も発生する国になると思われる。そのため、DXが進んだ日本で開発されたプロダクトは世界に売れる可能性がある。
Q. エンジニア採用市場はどのように変化していますか?
エンジニア不足は続いているが、質的な変容が起きている。AIの登場により、開発工程の30〜50%、テスト工程も同等以上が自動化されている。これにより、これまでそれらの工程を担っていた人材が不要になる一方で、要件定義などの上流工程の需要は増えている。
つまり、コミュニケーション能力の高いエンジニアの需要が今後より高まっていくだろう。技術的なスキルだけでなく、ビジネス要件を理解し顧客と対話できるエンジニアが重要になっている。
Q. 日本のスタートアップ業界で大型のユニコーンが出てこない理由は何だと思いますか?
需要の問題だと思う。日本は人口が減少しているため、成長の天井がつかない。資金調達額も小さくなり、企業価値も大きく伸びない。また、言語の問題でガラパゴス化してしまっている面もある。英語圏であれば、グローバル市場への期待から高い企業評価を得られるかもしれないが、日本ではそれが難しい。

Q. 今後有望なDX市場はどのような分野だと思いますか?
業界特化型のDXが有望だ。その専門領域の人しか知らないような分野に鍵があると思う。一般的な汎用的なDXではなく、専門知識を組み合わせた領域が重要になってくる。
Q. 10年後の日本の経済を明るくするには何が必要ですか?
ほとんど人口問題だと思う。約8〜9割はそこに起因している。人口問題が解決すれば税金の問題も解決されていく。
外国人の方に来てもらえる余地はまだあるし、みんながまだ本気になっていない状況だ。また、出生率を上げるための取り組みも必要で、経済的インセンティブ、法律面の変更、価値観の変更という3つの側面から取り組むべきだ。教育無償化などの施策も進んでいるが、まだ十分とは言えない。
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日本の労働市場は外国人労働者なしには成り立たない時代に向かっている。岩槻氏は、AIによる自動化と外国人労働者の活用、そして専門知識を生かしたDXの推進が日本経済の活性化につながると指摘する。同時に、人口減少という根本的な課題に対しても、多角的なアプローチが必要だと強調している。
