
ケガなく速く 厚底シューズでの正しいランニング
体幹を「エンジン」にしよう!厚底シューズを活かす最強走法と怪我なく速くなるトレーニング
厚底シューズが主流になった今だからこそ、正しい走り方が重要になっています。ランニングの第一人者が教える「体感ランニング」の極意と、タイムアップのための効果的なトレーニング方法を紹介します。

Q. 厚底シューズでの正しい走り方とは?
ランニングは誰でもできるスポーツですが、正しく走れている人は意外と少ないものです。カーボンプレート入りの厚底シューズが一般的になった今でも、体幹を使うことが最も重要なポイントです。
ランニングの基本はジャンプの連続です。体全体を使ってジャンプするためには、背骨がS字カーブを作っていることが必要です。猫背だと背骨のバネが使えず、力を効率的に伝えられません。姿勢を良くして胸を開き、骨盤を立てることで、体幹のバネが活用できるようになります。
足で走っているように見えますが、実は体幹をしっかり使うことが大切です。これによって足への負担も減ります。また、走る際は体がブレないことも重要です。腕を振る時に肩がブレブレになると、ジャンプの際に空中でブレて歩幅が小さくなってしまいます。ブレないことで、より遠くに飛べるため歩幅が大きくなります。せっかくカーボンプレートで歩幅が大きくなっても、ブレてしまってはもったいないのです。
Q. 体の前傾と着地位置はどうするべき?
体の前傾もランニングにおいて非常に重要です。前傾にはいくつか方法があり、体全体を前に倒す方法と骨盤だけを前傾させる方法があります。骨盤が前傾すれば重心がしっかり重力に向かって下に働くので、その前傾すること自体が前に進む推進力になります。前傾を保つときには腹筋を使います。
着地は重心の真下に来ることが大切です。多くの人が思い違いをしていますが、着地はかかとではなく、足の真ん中より少し前(ミッドフット)から行うのがベストです。かかとから着地すると設置時間が長くなりすぎてブレーキになってしまいます。せっかく前に進もうとしているのに、ブレーキがかかって再度体を前に進めなければならなくなります。ミッドフットで着地すれば、そのままスムーズに前に進めます。

Q. 腕振りはどうすればいい?
腕振りについては、肩に力が入りすぎないようにすることが重要です。肩を上げないようにして、下げた状態を保ちます。肩が上がってしまうと、腕振りの動きと下半身が連動しなくなり、バラバラに動いてしまいます。
腕の角度はさまざまでよいですが、少し伸ばすと肩が下がりやすくなり、一回一回の動きが強くなります。また、角度をつけて振ると早く振れるというメリットもあります。頭は理想的には前傾に少し活用し、かつ気道を開けるために顎を少し前に出すとよいでしょう。

Q. どのような練習頻度・方法が初心者に適していますか?
初心者ランナーの練習頻度としては、週3日が基本です。例えば東京マラソンに初めて出場することを目標とする場合、週末の土日に2日間走り、平日に1日追加することが理想的です。平日の練習は時間が短くても構いません。30分程度でも効果があります。
週末だけの練習では、せっかく体が向上しても、5日間何もしないと元のレベルに戻ってしまいます。少しずつレベルアップするためには、週の中にも短時間でも練習を入れることが大切です。例えば坂道ダッシュなどは短時間で心臓も鍛えられ、筋力も向上し、動きも大きくなる万能のトレーニングです。
初心者は距離ではなく時間を基準に走るべきです。距離を決めると早く終わらせたくなり、能力以上に早く走りすぎて怪我をしたり、疲れすぎたりする危険があります。時間を基準にすれば「1時間とにかく走ればいい」と考えて、できるだけ楽に走ろうとするため、長距離のトレーニングに適しています。
上級者になってきたら、今度は距離を基準にして何分で走れたかを測るように切り替えるとよいでしょう。

Q. マラソンで30km以降に失速しないためには?
フルマラソンは4〜5時間走り続けるものですが、普段週に3回、1時間しか走っていない人がいきなり4〜5時間走るのは当然きついものです。失速を防ぐには、たまに3時間連続で走るなど、長時間のトレーニングを取り入れることが効果的です。
これはLSD(ロング・スロー・ディスタンス)と呼ばれるトレーニングで、単に足の筋力をつけるだけでなく、体脂肪を燃焼できる体質に変わっていく効果があります。体脂肪はエネルギー源として豊富にあるため、こうした体質になれば後半のエネルギー切れを防いで走り続けることができます。これは体質改善のようなものです。
長時間のウォーキングでも効果があります。ある程度の早歩きで心拍数を100程度に保てば、同様の効果が得られます。
Q. 怪我なくタイムを上げるためのトレーニングは?
カーボン入りの厚底シューズの反発に耐えられる筋力が必要であり、適切なウォーミングアップも欠かせません。以下の3つのトレーニングが特に効果的です:
1. 筋力トレーニング:特に下半身と体幹を中心に、強烈な反発に耐えられる筋肉をつけるための筋力アップが必要です。例えばVシットは腹直筋の下部、中部、上部すべてを使うトレーニングです。脚からの衝撃はシューズや足でも受けますが、腹筋でも受けることが重要です。
2. 動的ストレッチ:走る前には静的ストレッチではなく、動的ストレッチを行うことが大切です。静的ストレッチは筋肉の動きを鈍くしてしまいますが、動的ストレッチはこれから使う筋肉を準備します。例えば、高膝のような動きで、太もも、腹筋、お尻、大腿筋などを瞬間的に使う動きが効果的です。
3. 腰回りの柔軟性を高めるエクササイズ:仙腸関節(骨盤の骨と背骨をつなぐ関節)の柔軟性を高めるトレーニングが有効です。例えば背中全体を丸くしてマットの上でコロコロと転がるようなストレッチを行うと腰が楽になります。
トレーニングを行う際は、ただ回数をこなすだけでなく、どの筋肉を使っているかを意識することが大切です。疲れてくると違う筋肉を使ってしまいがちですが、それでは効果が減ってしまいます。
また、股関節が硬い人向けには、足を大きく前に踏み出しながら同時に肩甲骨も動かす連動ストレッチや、うつ伏せになって反対側に足を回すような動きも効果的です。このような柔軟性があると、楽に走ることができます。
最後に、筋トレばかりやっていても走り方は変わりません。実際に走りながら意識して改善していくことが必要です。自分の姿をガラスなどに映して確認しながら、体感をエンジンとして使えるように練習しましょう。
