BODY SKILL SET
最新医学が導く理想の糖質量
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2024年11月30日

ビジネスパーソンのための体・心の鍛え方を一流の専門家から学ぶ。疲れにくい体でいるために糖質量はどのくらいにすべきなのか? <ゲスト> 北里大学北里研究所病院 院長補佐 糖尿病センター長 山田 悟 慶應義塾大学卒業後、糖尿病専門医として診療に従事。 糖質制限のトップドクターとして、患者の生活の質を高...
「ヨーグルトに蜂蜜をかけるのはNG?」医師が教える血糖値を上げにくい食べ方とは
糖質の取り方を見直すことで、疲れにくい体を手に入れることができるという。ヨーグルトに蜂蜜、フルーツたっぷりのスムージー、和食の定食など、健康的と思われがちな食習慣の中にも「やってはいけない食べ方」が潜んでいるようだ。医師の山田悟氏が、血糖値の急上昇を抑え、疲労を軽減する最新の食事法を解説する。
Q. ヨーグルトに蜂蜜をかけて食べるのは良くないの?
実は避けるべき食べ方です。多くの人が選びがちな低脂肪ヨーグルトは、せっかくのヨーグルトの良さを削ってしまっています。ヨーグルトそのものは悪くなく、高脂肪・高タンパクのプレーンヨーグルトがベストです。
問題なのは蜂蜜。蜂蜜には果糖が含まれており、果糖は血糖値を急上昇させる原因になります。完全に0にする必要はありませんが、あくまで1食20~40gという糖質の範囲内で楽しむ程度にとどめるべきです。健康のために摂取するものではなく、楽しい食生活のために少量摂取するという考え方が大切です。
Q. 果糖が特に危険だというのはなぜ?
果糖は、最も危険な糖質だという概念が主流になってきています。果糖を摂取すると高中性脂肪や肥満を招きやすいのです。
その理由は「果糖生存危機説」で説明できます。普通の糖質(ブドウ糖)は肝臓に約20%、残りの80%は全身、特に筋肉に分布します。しかし果糖はほぼ100%が肝臓で処理されます。肝臓での果糖処理の最初のステップでは、ATPというエネルギー源を使って果糖にリン酸をくっつけるという過程が始まります。
この過程が非常に速いため、肝臓のATPがどんどん枯渇していきます。全身のエネルギー収支としてはプラスなのに、肝臓の中ではエネルギー不足になるのです。肝臓がエネルギー不足を感じると、脳に「エネルギーが足りない、もっと食べろ」という指示を出します。
結果として、空腹感を感じて必要以上に食べてしまいます。また、果糖の貯蔵形態は中性脂肪なので、脂肪が蓄積しやすくなります。ATPが分解されると最終的には尿酸になるため、高尿酸血症や痛風の原因にもなります。

Q. 果物やフルーツジュースを健康のために飲んでいるけど、それも良くないの?
果物の摂取には注意が必要です。「健康と美容のために朝はカロリーを制限するけれど、フルーツをたっぷり使ったスムージーを摂取している」という方が多いですが、これは危険な食べ方です。
生命の歴史において、果糖が摂取できるのは秋の限られた期間だけでした。これは冬眠動物が冬に備えて皮下脂肪を蓄える時期や、渡り鳥が長距離移動に備えてエネルギーを蓄える時期に相当します。果糖は「もっと食べたい」という感覚を作り出し、生存のためにエネルギーを蓄積する仕組みなのです。
スポーツドリンクについても、120分以内の運動であれば水だけで十分です。オレンジジュースなどの果糖は筋肉に回ると思われがちですが、実際には回りません。
果物を食べる際は、ある日の夕食をお酒と肉や魚をしっかり食べて、主食を完全に抜き、その代わりに果物を食べるという形が良いでしょう。
Q. 他にもやってはいけない食べ方はある?
「糖質かぶせランチ」は避けるべきです。おにぎり2個と野菜ジュースという組み合わせは、一見健康的に思えますが、実際には糖質の過剰摂取になっています。コンビニのおにぎり1個で糖質40gもあります。
ラーメンライスも同様に、炭水化物の過剰摂取になります。ラーメンを食べたい場合は、麺が見えなくなるほどチャーシューともやしをたっぷり乗せるなど、タンパク質と野菜を増やす工夫をしましょう。
意外なことに、和食も注意が必要です。和食は世界的に見ると糖質が少なく、塩分が多いという特徴があります。実は日本の47都道府県の栄養素摂取量を見ると、糖質と塩分は比例関係にあり、糖質と油は負の相関関係(一方が増えると一方が減る関係)にあります。油が少ないことは和食の大きな欠点なのです。
例えば、魚と肉じゃがの定食の場合、肉じゃがはお肉だけにした方が良く、焼いた方が良いでしょう。バターソースなどを加えることも一案です。野菜は色々な種類を食べても問題ありませんが、主食である米は減らすべきです。

Q. 糖質疲労を解決する食べ方のルールを教えて
1. タンパク質と油をそれぞれお腹いっぱい食べる
タンパク質を食べるとGLP-1、油を食べるとGIPというホルモンが分泌され、それぞれが血糖上昇にブレーキをかけてくれます。これらは動脈硬化予防や満腹感の創出にも関与する可能性があります。
2. 糖質は最後に摂取する(カーボラスト、オイルファースト)
食べ物が胃にある間に糖質が入ると、ホルモン分泌が間に合わないため、糖質は最後に回すべきです。特にGIPの方が血糖上昇のブレーキ作用が強いとされているので、油を意識して最初に摂取しましょう。
3. ゆっくり食べる
ファストフードは早く食べてしまうため注意が必要です。ゆっくり食べることで、腸から分泌されるホルモンが出てくる時間を稼ぐことができます。ハンバーガーを食べる場合は、通常のものよりチーズとパティがダブルになったものを選ぶとよいでしょう。
4. 適量のアルコールを摂取する
意外かもしれませんが、アルコールはタンパク質や油と並んで、あるいはそれ以上に血糖上昇のブレーキになります。ただし、上質種(糖質を残しているもの)は血糖値を上げる可能性があるため、種類を考慮する必要があります。辛口ワインや糖質ゼロビールは理想的です。ただし、飲みすぎはがんのリスクを上げるため、適量を心がけましょう。
5. 1食の糖質量を20~40gに抑える
1日の糖質量は70~130g程度に抑えるのが理想です。これに加えて、嗜好品として10gの糖質を摂取することも、人生を豊かにするために必要です。
目安としては、肉・魚・野菜をお腹いっぱい食べるとして、そこに含まれる糖質が約20g。主食を通常の半分に抑えれば、1食の糖質量は40g以内に収まります。

Q. これらの食事法を実践するとどんな効果がある?
この食事法を実践すると、体重が減少し、体脂肪率が低下します。また、疲れにくい体になります。運動だけで体重が落ちないということは多くの人が経験することですが、この食事法と組み合わせることで効果的に体重と体脂肪を管理できます。
なお、運動は体重管理というよりも、寿命を延ばしたり病気を予防したりする観点で必要です。食事で血糖値をコントロールし、運動で全身の健康を維持するという組み合わせが理想的です。