
在日中国人増のリスクと懸念
「日本の中の中国」──中国からの移民が日本経済に与える影響と今後の展望
日本在留中国人の実態と今後の動向について、中国事情に詳しい専門家・中島恵氏に聞いた。中国政府の締め付けが厳しくなる中、日本への移民はさらに増加すると予測。日本社会との融合や経済への影響、そして予想される課題について語った。

Q. 今後も中国から日本への移民は増えるのでしょうか?
中国からの移民は今後も増えるでしょう。最大の理由は中国政府の締め付けがますます厳しくなっていることです。それに関連して、共同富裕政策の影響や、子どもに中国の教育を受けさせたくないという親の意向、医療問題、老後の不安などがあります。また情報統制や財産管理のリスクヘッジといった問題も関係しています。これらの問題は今後も緩和される見込みがなく、むしろ厳しくなると予想されるため、出国できる人は出国し、その一部が日本に来ることになるでしょう。
Q. 中国の「黄金時代」は終わったと考えますか?
中国の黄金時代は終わったと思います。経済状況が良くなく、労働人口も減少し始め、少子高齢化が進んでいます。表現の自由も以前より制限されています。中国の繁栄のピークは2010年代、あるいは2000年代後半から2010年代にかけてだったでしょう。不動産に依存しすぎた経済構造の脆弱さや少子高齢化、自由経済の後退などが要因です。
Q. 中国人移民が日本に来る理由は何ですか?
中国人がアメリカに行けなくなってきている状況で、日本は中国人にとって魅力的な移住先となっています。エリート層は言論の自由や政治的自由を求めてきますが、労働者層も厳しい労働環境から逃れるために来日します。中国の長距離運転手は北京から関東州まで運転するような過酷な状況がありますが、日本では東京から九州までが「長距離」で、労働環境も整備されています。
また中国では戸籍制度があり、出身地によって家の購入に制限がありますが、日本にはそのような制限がありません。中国社会の階級差別も、日本では緩和されます。上海出身者と農村出身者の間の差別意識などが、日本では「チャラ」になり、新しい繋がりが生まれています。
Q. 中国からの移民は日本経済にどのように貢献しますか?
中国からの移民は全体として日本経済に貢献すると考えられます。中国人のビジネスや投資への情熱は日本人が真似できないほど強く、小さな商売でも非常に熱心です。例えば、ある中華料理店の女性店主がぶどう狩りに行く際、100kgのぶどうを買って販売するとSNSで告知していました。また、コロナ禍でマスクが不足した時も、小さな数でも販売や譲渡をしていました。
日本の株式市場で投資活動をしている中国人も多く、そのような活動だけで生計を立てている人もいます。企業のグローバル採用と同様に、異なる環境で育った人々が入ることで新たな発想やアイディアが生まれ、ビジネスが活性化します。異なる才能が集まることで、新たな事業や文化が生まれやすくなるのです。
Q. 日本在留中国人の実態はどのようなものですか?
現在、日本には約82万人の中国人が住んでいます。特に東京の江戸川区、江東区、新宿区、板橋区などに多く居住していますが、多くの日本人はその存在をあまり認識していません。中国人コミュニティは独自のネットワークを持ち、日本人とは異なる情報空間で生活しています。
また、中国系の企業で働く中国人は、日本語ができなくても中国語で仕事ができるため、日本にいながら中国にいるのと同じような環境で生活することが可能です。このように、日本の中に「見えない中国」が形成されつつあります。
Q. 中国からの移民が増える中での課題は何ですか?
中国からの移民が増えることで、文化的衝突や反発が生じる可能性があります。特に防衛面でのリスクも考慮する必要があります。現在、様々な日本企業に中国人が就職しており、重要な立場に就くケースも増えています。中国系ビジネスの拡大により、日本企業に採用されなくても中国人コミュニティ内で商売をして生活するという形態も増えています。
また、WeChatなどの中国のデジタルプラットフォームを使用することで、日本の法規制の枠外で活動することも可能になっています。例えば、白タク(無許可タクシー)問題では、WeChatで予約と決済を完結させることで日本の警察による取り締まりが難しくなっています。
このような状況に対応するためには、土地取引の規制や雇用制度の整備、デジタル空間でのルール作りなど、様々な対策が必要です。また、中国人コミュニティの「見える化」を進め、正確な情報を共有することも重要です。
Q. 中国からの移民の子ども世代はどうなっていくのでしょうか?
移民の子どもたちは日本社会に同化していく傾向があります。親が教育熱心なケースが多く、中には日本人以上に日本語が上手になる子どももいます。将来的には作家や小説家など、様々な分野で活躍する人材が出てくるでしょう。
親の教育方針は様々で、家では中国語、学校では英語を使い、日本語は週に一度塾で学ぶという家庭もあれば、日本の一流校に入れるために家庭内でも100%日本語を使うという家庭もあります。親のDNAを受け継ぎながらも日本のネイティブとして育った第2世代、第3世代が、様々な商品開発やビジネスを生み出していくことが期待されます。
