
アメリカ大統領選 株価への影響は【壁谷洋和】
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2024年9月2日
株・保険・住宅など資産運用にまつわるスキルセットを一流のプロの講義を受けて学ぶMONEY SKILL SETの応用編。今回は大和証券・壁谷洋和氏を講師に大統領選が米国株・日本株に及ぼす影響について学ぶ <ゲスト> 壁谷洋和(大和証券 エクイティ調査部長 チーフストラテジスト) https://ww...
アメリカ大統領選がアメリカ株に与える影響とは?専門家が解説する投資の心得
米国大統領選を控え、アメリカ株の動向に注目が集まっている。大統領選はアメリカ経済や株式市場にどのような影響を及ぼすのか。また、投資家はどのように対応すべきなのか。市場の混沌としたシグナルの中で、長期的な視点から米国株投資について専門家の見解を聞いた。

Q. 大統領選の年の米国株はどう動く傾向がありますか?
大統領選挙は世界的に注目される大きなイベントですが、株式市場への影響を考えると、短期的な材料に過ぎない面があります。歴史的なデータを見ると、大統領選の90日前の株価動向は、通常の年と大きく変わりません。
一般的に、夏場から秋口にかけては、大統領選の年でもそうでない年でも、株式市場の動きは少ない傾向があります。これはアメリカ市場の季節性によるところが大きく、夏場は「サマードル」といわれるように、相場が落ち着く時期です。そのため、大統領選に向けての期間は方向感が出にくいというのが予想される動きです。
興味深いのは、大統領選後の株価動向です。選挙後約半年間は、どの候補が勝利しても、株価は基本的に上昇する傾向があります。これは「選挙は買い」というセオリーの表れで、新政権への期待や政策への期待が市場を押し上げるためです。
Q. 共和党と民主党、どちらが勝った方が株価にプラスなのでしょうか?
歴史的なデータを見ると、選挙後1年程度経過すると、民主党政権の方がパフォーマンスが良いという結果が出ています。しかし、これは単なる統計であり、例えばトランプ政権時代は非常に高いパフォーマンスを示していました。政党だけで判断するのは難しいでしょう。
選挙後半年程度はどちらの政党が勝っても株価は上昇する傾向があります。しかし、それ以降は政策の具体的な実行により、市場の反応も変わってきます。例えば、トランプ前政権では法人税減税という政策が実際に実行され、株価を押し上げる要因となりました。
ただし注意したいのは、政策の中でも特に対中政策です。トランプ前政権は2017年に法人税減税を実施した後、2018年から対中強硬路線に転換し、関税を引き上げました。その影響で株価は下落しました。アメリカと中国という世界の2大国の対立の深刻化は、株式市場にとってマイナス要因になる可能性が高いと考えられます。
Q. 大統領選のタイミングで投資を考えるべきでしょうか?
大統領選の結果を予測して投資判断をするのはリスクが高いと言えます。過去を振り返ると、マーケットの予想は大統領選に関して外れることが多いのです。例えば、2016年のトランプ対ヒラリー・クリントンの選挙では、多くの人がヒラリーの勝利を予想していましたが、実際にはトランプが勝ちました。また、トランプが勝てば株価は下がると予想されていましたが、実際には上昇しました。
同様に、2020年のトランプ対バイデンの選挙でも、市場はトランプの勝利を予想していましたが、バイデンが勝利。そしてバイデン勝利後は株価が下がると予想されていましたが、実際には上昇しました。
このように、専門家が頭を悩ませて考えた予想でさえ裏切られるのですから、個人投資家が大統領選の結果を予測して投資判断をするのはあまりお勧めできません。
Q. アメリカ株への長期投資は有効なのでしょうか?
長期投資の観点から見ると、アメリカ株は非常に魅力的な投資先と言えます。興味深いデータとして、投資期間別のリターンを見ると、5年や10年といった比較的短期・中期の投資では、タイミングによってはマイナスになることもあります。例えば、2007年や2008年のリーマンショック前の高値で買った場合、5年後のリターンはマイナスになっています。
しかし、15年という長期で見ると、過去のどのタイミングで投資してもマイナスになったことがないのです。これは、長く持てば持つほど、アメリカ株の投資の有効性が高まることを示しています。
アメリカの株式市場は様々なショックを経験しながらも、長期的には上昇トレンドを維持してきました。「アメリカは強かった」という一言に尽きるかもしれません。
Q. 投資スタイルについてアドバイスはありますか?
投資スタイルは人それぞれですが、年齢や目的に応じて選択することが重要です。若い投資家であれば、ボラティリティ(価格変動)が大きくても成長性の高い銘柄に投資する余地があります。一方、年齢が上がるにつれて、リスクを抑えた投資へとシフトしていくのが一般的なセオリーです。
指数に連動する投資信託(ETF)であれば、S&P500に投資するのが手堅い選択と言えます。個別銘柄を選ぶ場合は、成長性が見込める企業に注目するとよいでしょう。ただし、個別銘柄選びは難しい面もありますので、自分の知識や情報収集能力に合わせて判断することが大切です。
近年は、インターネットやAIの発達により、海外の情報も取りやすくなっています。海外ニュースを自動翻訳で読んだり、専門家のレポートを参考にしたりすることで、より情報に基づいた投資判断ができるようになってきています。
Q. 株価が下がった時、どう対応すべきですか?
株価が下がった時こそ、投資家として重要な判断が求められます。基本的には「じっと我慢する」ことが大切です。特に長期投資を前提としている場合、短期的な下落に一喜一憂する必要はありません。
もっと積極的な姿勢をとるなら、「下がった時こそ買い」という考え方もあります。歴史的に見ると、ショックと呼ばれる時期に買った株は、長期的には上昇していることがほとんどです。
新NISAなどで始めたばかりの投資家が、短期的な株価下落に不安を感じるケースもありますが、NISAは長期投資を前提としています。10年というスパンで考えれば、途中の下落は投資プロセスの一部と捉えることができます。
Q. 投資のタイミングはいつがよいのでしょうか?
「安いところで仕込もう」という発想は自然ですが、実際には「順張り」が原則と言えます。つまり、上昇トレンドが確認できてから投資する方が安全です。逆張りで無理に買う必要はなく、トレンドが出てきてからでも遅くないのです。
本当に長期的な成長が見込める企業であれば、すでにある程度上昇した後でも、さらに上昇する可能性があります。例えば、NVIDIAやAppleなどは「もう遅いかな」と思われたタイミングからさらに大きく上昇しました。
アメリカ株に関しては、長期的に保有すればするほど、投資の有効性は高まります。短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、じっくりと時間をかけて投資していくことが重要です。
