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市場の乱高下に直面し、多くの投資家が方向性を完全に見失っている。プロは自らの資金をどこに投じているのか?暴落時に取るべき最強の行動とは何か?ニッセイ基礎研究所 研究理事の井出真吾氏に聞いた。 <ゲスト> 井出真吾|ニッセイ基礎研究所 研究理事・チーフ株式ストラテジスト - 1993年東京工業大学卒...
トップストラテジストが明かす資産運用のリアル:株式比率9割と「分散不要論」の真相
資産形成の世界では「長期・分散・積立」がお題目のように唱えられ、教科書通りの均等配分が正解と信じ込まれがちだ。
しかし、第一線で市場を分析し続けるトップストラテジストの実践する運用法は、そうした世間の常識とは大きく異なる。
資産の9割を株式に傾斜させ、時には未知の未来技術株でテンバガーを狙いながら、教科書的な分散を大胆に削ぎ落とす独自の投資哲学が存在する。
市場の暴落を乗り越えて資産を飛躍的に成長させるための本質的な思考法と、自らの性格に合わせたポートフォリオの構築術を解き明かす。

Q. 第一線で活躍するストラテジストの実際の資産配分はどのような構成になっているのか?
運用の内訳を直視すると、保有資産の実に9割が株式で占められている。
具体的には外国株式が全体の70パーセントを占め、日本株が20パーセントという極めて攻めの配分だ。
国内債券の保有比率はゼロであり、外国債券は過去の確定拠出年金で試験的に購入した新興国債券が5パーセント残る程度にすぎない。
残りのわずか4パーセントを国内REITが占めているが、これもパフォーマンスの観点からは決して芳しいものではない。
プロだからといって、万人が模倣すべき完璧な正解を最初から知っているわけではない。
どの資産が将来最も伸びるかは事前に予見できるものではなく、後から振り返って初めて判明する性質のものだ。
だからこそ、教科書的な分散の枠組みに無理に自分を当てはめる必要はない。
長期運用を前提とするならば、低利回りの債券や低迷する不動産に資金を縛り付けるよりも、成長のエンジンである株式へ圧倒的に資金を配分することが合理的となる。
Q. なぜゴールドや暗号資産、債券を排除して株式中心の構成にこだわるのか?

投資判断を下す上での確固たる規律として、フェアバリュー、すなわち理論価格が論理的に算定できる対象にしか手を出さないという姿勢がある。
株式であれば企業の稼ぎ出す純利益と期待PERによって理論的な現在価値を冷静に割り出すことができる。
一方で、ゴールドやビットコインなどの暗号資産は、長期的に上昇する可能性は否定できないものの、何をもって適正水準とするかの客観的な物差しが存在しない。
適正価格が測定不能な資産に大切なお金を投じることは、投資ではなく推測の域を出ないためポートフォリオからは明確に除外される。
また、過去の運用の実体験からも、債券やREITが株式の総合的なリターンに及ばないことは明らかだ。
新興国債券の利回りやREITの分配金利回りがどれほど魅力的に見えようとも、長期で複利成長を遂げる株式の推進力には到底対抗できない。
企業活動が生み出す利益成長の裏付けこそが、長期資産形成において最も頼るべき唯一の拠り所である。
Q. コア・サテライト戦略において未知の未来技術株を組み入れる狙いとは何か?
外国株式7割の中心となるコア部分は、S&P500などの強固なインデックスファンドで盤石に固められている。
インデックス積立は資産形成の王道であり極めて手堅いが、感情面においてはどうしても退屈さを伴う。
そこで退屈さを補い投資の知的好奇心を満たすために機能するのが、全体の1割未満を充てるサテライト戦略だ。
ここでは量子コンピューターや核融合エネルギーといった、国家戦略にも位置付けられる次世代分野の未知なる個別銘柄へ少額投資を行う。
サテライトで狙う銘柄は、1銘柄あたり5万円程度の余剰資金で割り切って買い付ける。
10銘柄に種をまいて1銘柄でも大化けすれば十分という発想であり、微細な企業調査に膨大な時間を浪費する必要もない。
実際に防衛テックのパランティアや半導体材料のコヒレントのように、購入後に数倍から10倍近く急騰しテンバガーを達成する果実も生まれている。
盤石なコア資産があるからこそ、途中で株価が半値に落ち込んでも10年後を見据えて泰然と構えていられる。
Q. 相場の暴落局面に直面した際になぜ狼狽売りを避けるべきなのか?

株式市場は本質的に、激しい乱高下を繰り返しながら長期的に右肩上がりで成長を遂げる生き物だ。
歴史を振り返れば、リーマン・ショック時にS&P500はわずか半年余りで58パーセントも暴落した。
しかし、元の株価水準を回復するのに約5年半を要したものの、底打ちから13年後には下落前の水準から約10倍にまで達している。
チャイナ・ショックやコロナ・ショックを含め、過去のあらゆる金融危機で回復しなかった相場は一度たりとも存在しない。
株価が急落した際に最もやってはならない愚行が、恐怖に駆られた狼狽売りだ。
一度市場から退場してしまうと、次の買い戻しタイミングを計ることはプロであっても極めて困難になる。
自らの資産ではなく数百年続く一族の財産を預かっているという、ヨーロッパ貴族のような超長期の視座を持つことが求められる。
暴落時こそ絶好の仕込み場と捉え、何が起きても市場に踏みとどまり続けた者だけが、その後の莫大な上昇益を享受できる。
Q. 「長期・分散・積立」のなかでなぜ分散投資は必須ではないと言い切れるのか?
資産運用において本当に欠かせない唯一の要素は長期保有であり、分散や積立は万人にとっての必須条件ではない。
なぜなら分散投資の真の目的はリスクの低減、すなわち値動きをマイルドにすることにあり、それは同時に得られるはずのリターンを放棄することを意味するからだ。
年金を運用するGPIFのように国内外の株式と債券へ均等分散すれば、下落幅は抑えられるものの長期的な運用益は株式集中運用に比べて大幅に見劣りしてしまう。
若者はリスクを取りシニアはリスクを抑えるべきだという通説も、実態は単なる都市伝説にすぎない。
投資手法の選択は年齢で画一的に決めるものではなく、個人の生まれ持った性格とリスク許容度によって決定されるべきだ。
仮に資産が半減しても平気でいられるなら高齢者でも株式100パーセントで攻めてよいし、不安で眠れないなら若者でも債券中心で構わない。
自分が背負えるリスクの大きさを冷静に見極め、他人の常識ではなく自己の納得感に従って配分を決める姿勢が不可欠となる。
Q. 未成年口座を活用した超長期の複利運用にはどのような資産形成効果があるのか?

時間を最大の味方にできる未成年口座での運用は、想像を絶する複利の恩恵を次世代にもたらす。
例えば0歳の段階から毎月1万円を株式インデックスに積み立て、年利6パーセントで運用を継続したとする。
30年後の元本360万円は約1000万円へと膨らみ、年利8パーセントであれば1400万円規模に達する計算だ。
子どもが20歳を迎えた時点ですでに数百万円の資産が形成されており、同世代との間に圧倒的な経済的余裕が生じることになる。
さらにこの運用を70年間継続させた場合、元本840万円に対して資産規模は1億円から3億円を超える試算となる。
早期に将来の老後資金の目処が立っていれば、若者は人生の貴重な時間を過度な金銭不安に奪われることなく、自己研鑽や人間関係、挑戦したい仕事に没頭できる。
親や祖父母が次世代へ手渡すべき最大の支援は、現金を預金で眠らせることではなく、時間を味方につけた複利運用の仕組みそのものだ。
