
日経平均 急落は買いだ
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2026年10月26日
AI革命により株式市場の二極化がかつてない規模で加速している。AI時代に生き残る「AIレジスタンス銘柄」とは何か。そして、絶大な人気を誇るS&P500やオルカンに潜む残酷な罠とは。これからの時代を勝ち抜く最強のポートフォリオ戦略について、投資の専門家である藤野英人氏に徹底解説してもらった。 <出演...
日経平均10万円時代を見据える投資戦略:AI時代の有望セクターとインデックス投資の盲点
人工知能の急速な進化と世界的なハイテク株の高騰は、株式市場の景色を一変させた。
多くの個人投資家が米国の巨大ハイテク企業やインデックス投信に熱狂する一方で、市場には見過ごされがちな歪みや新たな投資チャンスが急速に生じている。
ブームの陰で割安に放置された伝統産業、AIの進展によって逆に価値が高まる非テクノロジー領域、そして社会の構造変化がもたらす不可逆な特需を見逃してはならない。
本稿では、激変する市場環境を生き抜くための銘柄選定ロジックと、広く普及したインデックス投資に潜む盲点を多角的に紐解いていく。

Q. AI時代の到来において企業価値を見極めるための基本的な分類軸は何か?
市場を正しく捉えるには、全上場企業を『AIネイティブ』『AIレジスタント』『AIトランスフォーム』という3つのカテゴリーに大別して分析する視点が有効だ。
第1のAIネイティブは、AIそのものが事業の成長エンジンとなっている企業群を指す。
米国であればOpenAIやAnthropic、日本国内であれば半導体製造装置を手掛ける東京エレクトロンやメモリ関連のキオクシアなどが代表格である。
第2のAIレジスタントは、AIとは一見無関係に見える体験型ビジネスやリアルな文化・エンタメ領域である。
旅行や生のお笑いライブ、観光地での宿泊といった人間独自の身体的体験は、AIが進化しても代替されないどころか、人々の余暇時間が増えるほど希少価値が高まる。
好例が将棋界であり、10年前に名人がAIに敗れた際は危機と叫ばれたが、AIによる形勢判断の可視化によって初心者の参入障壁が劇的に下がった。
結果として20代から30代の女性ファンが急増し、高度に訓練された棋士を応援する『推し活』市場を生み出して大復活を遂げた。
第3のAIトランスフォームは、既存の産業にAIを道具として導入し、業務効率や付加価値を一新する企業である。
あらゆる事業体がこの3つのいずれかの形でAIと対峙しており、どの軸で成長機会を掴むのかを見極めることが投資判断の根幹となる。
Q. 海外のAIブームが生み出した富を日本の産業へ還流させる勝算はどこにあるか?
米国では巨大ハイテク企業のIPOや株高により、100億円以上の純資産を手にするニューリッチが数多く誕生している。
重要なのは、彼らの成功を単に傍観したり嫉妬したりするのではなく、彼らが築いた莫大な富をいかに日本国内で消費させるかという事業視点を持つことだ。
ハワイの最高級リゾートなどに集う富裕層の日常的な会話は、キャピタルゲインや次なる投資先で占められている。
彼らが次に求めるのは、金銭では容易に買えない至高の余暇体験であり、その有力な行き先として日本は世界屈指の人気を誇る。
たとえば九州の温泉地などで1泊100万円規模の超高級旅館やプライベートな観劇ツアーを整備すれば、莫大なインバウンド消費を呼び込むことが可能である。
日本固有の文化資本やホスピタリティを高付加価値化し、グローバルマネーを吸い上げる構造を構築することこそが、今後の日本経済における最大の勝機といえる。
Q. 日本のエンタメ産業において構造変化と投資機会はどのように生じているか?

かつて国内市場中心だった日本のアニメやエンタメ産業は巨大化を続け、主要エンタメ企業の時価総額合計が自動車産業の主要企業を逆転するという歴史的転換点を迎えた。
一方で、目下の市場ではAI関連株へ資金が集中した結果、ソニーグループや任天堂といった優良エンタメ株が需給要因で一時的に売られる現象が起きている。
ソニーグループはゲーム、音楽、映画に加え、半導体センサーまで自社で網羅しており、需給の歪みで調整している局面は長期保有の好機となり得る。
また、体験価値を提供するテーマパーク事業では敷地面積の制約が課題となるが、オリエンタルランドのように豪華客船クルーズへ進出して富裕層向けの新たな空間需要を開拓する動きが加速している。
さらにアニメ制作現場では劇的な地殻変動が生じている。
IPを保有していても映像やグッズへ具現化するクリエイターが圧倒的に不足しており、従来の製作委員会優位から、現場の制作スタジオが価格交渉権を握る構図へとシフトした。
優れた制作ラインと実績を抱える制作組織の価値は、今後10年スパンで極めて高く評価されることになる。
Q. 株高に伴う格差拡大が防犯関連ビジネスにどのような影響を与えるか?
日経平均株価の上昇やインフレ進行は資産を保有する層に恩恵をもたらす反面、資産を持たない層との経済的格差を不可避的に拡大させる。
歴史的にも格差の拡大は治安悪化を招く傾向があり、日本国内でも匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の台頭など社会不安の萌芽が見られる。
この不穏な社会情勢を裏付ける象徴的な現象が、過去30年にわたり増え続けてきた約100兆円ものタンス預金が史上初めて減少へ転じた点である。
新NISA等による投資へのシフトに加え、自宅に多額の現金を保管することに対する強盗・盗難リスクへの警戒が高まった結果といえる。
治安の悪化は本来望ましくない事態だが、現実問題として富裕層が集まる超高層マンションやゲーテッドコミュニティの需要は今後確実に高まる。
これに伴い、セコムやALSOKのような大手警備会社のセキュリティサービスに対する需要は中長期的に増大し続ける構造にある。
Q. 衛生陶器大手のTOTOが半導体関連の有力銘柄として買われる背景は何か?

TOTOは一般にウォシュレットや陶器トイレの印象が強く、典型的なAI非関連銘柄と認識されがちである。
しかし同社は、先端半導体の製造工程においてウェハを真空中で吸着・固定する『静電チャック』と呼ばれる高精度セラミックス部材の開発で突出した技術力を誇る。
AIサーバー向け先端半導体の需要爆発に伴い、この部材の供給元として海外機関投資家から再評価され、株価が急騰する場面が見られた。
同社は本業のトイレ事業という安定したキャッシュカウを維持しながら、先端技術の部材供給を通じて半導体市場の恩恵を直接享受している。
伝統的な老舗企業の中にも、自社の保有技術を先端分野に転用した『隠れAI関連銘柄』が多数眠っている。
市場が短期的な調整局面にある時こそ、こうした事業構造の複合性に目を向けたリサーチが重要になる。
Q. オルカンやS&P500のインデックス投資に依存する姿勢にはどのようなリスクがあるか?

インデックス投信は幅広い銘柄群に均等分散された安全な金融商品と考えられがちだが、時価総額加重平均という指数の性質上、重大な歪みを抱えている。
S&P500やオール・カントリー(オルカン)の上位構成比率は一部の巨大AIハイテク企業に極度に集中しており、実態は『AI銘柄の塊』を購入している状況に近い。
そのため、ハイテク分野にバブル調整が生じた場合、指数全体が予想外の急落に見舞われる集中リスクが存在する。
加えて、長らく続いたデフレからインフレ基調へと転換した日本経済においては、企業の利益成長率が米国を上回る局面も現れ始めている。
米国一辺倒の運用を漫然と継続するのではなく、割安な日本株やTOPIX連動型投信をポートフォリオへ組み入れることがリスク分散の観点から欠かせない。
さらに、割安な小型成長株を狙うアクティブ運用や、未上場から上場後まで跨いで出資するクロスオーバー投資など、多角的な選択肢を組み合わせることが資産防衛につながる。
インフレと株高が進む新時代において最大の生活リスクは『株を全く保有しないこと』であり、長期目線で適切なアセットへ分散投資を続ける姿勢が求められる。
