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CxO転職市場のリアル
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2026年9月22日

CxO市場が拡大する一方で、企業が外部人材に求めるハードルは高くなっている。バックグラウンドに関係なく求められる人間力とは何か?打席に立った数が生み出す知恵の正体とは?オープンワークおよびBNGパートナーズ代表の大澤陽樹氏と、同社取締役の古西智海氏に聞いた。 <ゲスト> 大澤陽樹|オープンワーク/...
急拡大するCxO市場のリアルとプロ経営者に求められる「専門性×人間力」の条件
ビジネス界において「CxO」という役職への注目度がかつてない高まりを見せている。

求人数は過去5年で倍増し、年収1500万円を超えるハイエンドなポジションのオファーも急増中だ。
しかし、その実態や具体的な採用基準、水面下で動くマーケットの全貌を知る者は決して多くない。

本稿では、ハイクラス転職市場の最前線に立つ有識者の知見から、CxO市場の現状とプロ経営者として抜擢される人材の条件を解き明かす。
Q. CxOキャリア市場が急速に拡大している背景にはどのような構造変化があるのか?
CxOの求人数はこの5年間で2倍以上に跳ね上がり、明確な成長トレンドを形成している。
年収1500万円以上の求人数は2.2倍に達し、全体の約6割が年収2000万円以上を提示されているのが実態だ。
この急伸の背景には、産業構造の劇的な転換と企業が直面する課題の高度化がある。
生成AIの普及やDXの急速な進展により、特定領域の課題を専門的かつ迅速に解決するリーダーが渇望されている。
さらに活況を呈するM&A市場において、事業承継に伴う後継経営者を外部から招聘する動きも活発化している。

少子高齢化で経営人材の絶対数が不足する一方、新規産業や事業の数は増え続けており、需要過多の状態が続いているのだ。
Q. 取締役などの役員とCxOは何が異なり、なぜその求人は一般に非公開なのか?
取締役や執行役が会社法に基づき経営の監督や法的な執行責任を担うのに対し、CxOは企業が独自に定める呼称である。
法的な縛りはないものの、実態としては「特定領域において全社的な最終責任を背負う存在」と位置づけられる。
これほど市場価値の高いポストでありながら、一般の転職サイトで見かける機会は極めて少ない。
その理由は、CxOの採用が企業の最高機密である経営戦略そのものと直結しているからだ。
例えばM&A先のトップや新規事業を統括するCxOの募集を公にすれば、競合他社に戦略の全貌が露呈してしまう。
また、外部から新たなCHROを迎える計画を社内に公開すれば、現職幹部の動揺を招く恐れもある。
それゆえCEOから特命を受けたヘッドハンターが、水面下で非公開案件として候補者を探し出す形が主流となるのだ。
Q. 現在特に需要が急増しているCxO領域と、求められる企業フェーズの実態は何か?
CxO採用の決定案件を見ると、約5割がスタートアップ、約25%が上場ベンチャーを占めており、成長企業が全体の8割以上を牽引している。
直近で最も需要が急拡大している職種は、最高AI責任者(CAIO)や最高情報セキュリティ責任者(CISO)、最高データ責任者(CDO)といったテクノロジー・データ特化型だ。
AIを業務にどう実装して生産性を高めるか、膨大なデータ資産をどのように保護し活用するかという設計段階から統括できる人材が圧倒的に不足している。
加えて、IPO準備企業からのCFO需要や、開発組織を牽引するCTO、プロダクトをリードするCPOへの募集も絶え間なく続いている。

従来は内部昇格が基本だった大企業においても、自社育成が追いつかない専門領域では、巨額の報酬を用意して外部登用に踏み切るケースが珍しくなくなっている。
Q. CxOに求められる「専門性」と並び重視される「人間力」の本質とはどのようなものか?
CxOには担当領域における深い専門知識と、それを事業価値向上へと転換した実績が前提条件として求められる。
営業経験のないCOOや、技術選定・開発組織のマネジメントができないCTOが通用しないのは言うまでもない。
だが、どれほど高い専門性を誇っていても「人間力」が欠落している人材が登用されることはない。
ここで言う人間力とは、単に愛想が良いとか話しやすいといった人当たりの良さを指すのではない。
過酷な修羅場や苦しい事業の撤退戦を経験し、それを乗り越える過程で培われた人間的な深みや影響力のことだ。
壁を突破するために自らの限界を知り、他者の協力を引き出すリスペクトの精神や感謝を行動で示せるかどうかが問われる。
最終責任を背負い、多様な仲間を巻き込んで組織を前進させるリーダーには、苦境の経験からにじみ出る人間的器量が不可欠なのだ。
Q. CxOを次々と輩出する企業にはどのような共通点があるのか?
CxOを数多く世に送り出す企業には、組織構造と事業モデルの双方に明確な共通項が存在する。
第一の特徴は、オープンワークのクチコミデータ等でも顕著に表れる「人事評価の適正感」の高さだ。
年功序列の順番待ちが存在せず、高い視座と意欲を持つ実力者を年齢に関係なく大胆に抜擢するカルチャーが根づいている。
第二の特徴は、資本を活かして多角的に新規事業へ積極投資を行う経営戦略を採っている点である。
単一の製造設備などに投資を集中させる企業では年功に応じた熟練が合理的な選択となるが、新規事業を次々と立ち上げる企業では必然的に新たなリーダーポストが量産される。
事業の立ち上げや撤退といった打席に何度も立ち、覚醒と挫折を繰り返す修羅場の環境が構造的に用意されている企業こそが、卓越したCxOを育てる土壌となるのだ。
Q. いかなる環境でも結果を出すプロ経営者が備えるべき必須の条件とは何か?
プロ経営者とは、知識を現場の実践知に変え、いかなる業種や事業フェーズであっても組織を立て直して伸ばせる人材を指す。
経営の現場で起きる突発的な危機の多くは、過去に経験した修羅場の蓄積と打席数によって解決可能となる。
そして何より不可欠な条件は、トップライン(売上)とボトムライン(利益)を引き上げ、企業価値を最大化するための手札の多さだ。
不測の事態に直面した際、外部環境を言い訳にせず結果を出し切るためには、マーケティングやテクノロジーを含む多様な引き出しが必要となる。
さらに、自身の専門職種を問わず、財務(ファイナンス)や会計(アカウンティング)の基礎知識は経営陣との共通言語として絶対に外せない。
人事施策や技術投資が自社のP/Lや企業価値にどう寄与するかを語れぬ者は、真のCxOとは呼べないのだ。