
【今はオルカンよりS&P500】大型IPOで変わる投資信託の中身
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2026年8月31日
誰もが推奨するS&P500だが、その強さの本当の理由とは?巨大IPO企業がすぐには組み込まれない厳格な基準とは?インデックスファンドの裏側と残酷な現実について、松井証券シニアファンドアナリストの海老澤界氏に聞いた。 <ゲスト> 海老澤界|松井証券シニアファンドアナリスト 日本証券アナリスト協会認定...
巨大IPO時代に再考する!あなたにとって最適な投資信託とは?
近年、SpaceXのような巨大企業の新規株式公開(IPO)が市場に大きなインパクトを与えている。これに伴い、私たちが日常的に積立投資をしている投資信託の中身も絶えず変化する。
指数に連動するインデックスファンドは、果たして常に「放ったらかし」でよいのだろうか。今一度、各指数の特性を理解し、自身のポートフォリオ戦略を見直す機会とする。

Q. 巨大IPOが投資信託の中身に与える影響は何か?
SpaceXなど時価総額の大きな企業が上場すると、投資信託、特に時価総額加重平均型インデックスファンドの構成銘柄や比率が変動する。これは、インデックスファンドが市場の動向を追随する特性を持つためだ。
市場に新規銘柄が加われば、既存のファンドもそれを組み入れる動きを見せるが、その対応は指数プロバイダーごとに異なる。そのため、自身が投資するファンドの採用基準を把握しておく必要があるのだ。
Q. なぜS&P500はSpaceXを組み入れなかったのか?

SpaceXのIPO時、MSCIやNASDAQ100などがこれを早期に組み入れた一方で、S&P500は採用を見送った。これはS&P500が設定する厳格な採用基準によるものである。
S&P500には、上場後12ヶ月の取引実績、浮動株比率10%以上といった要件があるが、最も厳しいのは財務健全性に関する基準だ。具体的には、過去4四半期の合計純利益と直近四半期の純利益が黒字であることを必須とする。
S&P500側はSpaceXへの注目度が高いことから基準緩和を検討したものの、結局は厳格な基準を維持した。これは指数の信頼性を担保する姿勢と見なされ、「男を上げた」と評価される場面もあった。また、S&P500には指数委員会による人間の判断も採用プロセスに含まれている点が他の機械的な指数と異なる。
Q. 従来のインデックスファンドは今後コスト高となる可能性があるか?
インデックスファンドの運用コストは長らく低廉なことが強みであったが、その背景には指数プロバイダーに支払うライセンスフィーの存在がある。
近年、このライセンスフィーは上昇傾向にある。これにより、将来的にファンド運営会社が投資家へ運用手数料としてコストを転嫁する可能性が指摘されている。
インデックスファンドの低コスト神話が終わりを迎えるかもしれない見立てもある。
Q. S&P500やオールカントリー以外に注目すべきインデックスファンドの選択肢はあるか?

時価総額加重平均型だけでなく、多様なインデックスファンドが存在する。例えば、NYダウは評判の高い30銘柄で構成される歴史ある指数だ。
NYダウは委員会によって選定された企業が組み入れられ、業種のバランスも考慮されている。
意外にもNYダウは500銘柄からなるS&P500と比べてボラティリティが低く、リターンをリスクで割った効率性ではほぼ同水準の結果を出す時期も多い。アメリカ市場への期待がある場合、S&P500に固執せずNYダウも有効な選択肢となり得る。
Q. 国内株式市場における投資信託の魅力的な選択肢は何か?
国内株のインデックスファンドには、TOPIXや日経平均に加え、新しく「読売333」がある。読売333はNISAの積立投資枠にも対応した、読売新聞社が算出する指数だ。
最大の特徴は333銘柄にそれぞれ0.3%ずつ均等に配分する点にある。リバランスの際には、上昇した銘柄を売り、下落した銘柄を買う「逆張り効果」が期待できる。また、時価総額の小さい銘柄やバリュー株にも均等に配分するため、長期的な視点での小型株効果やバリュー効果が発揮され、TOPIXを上回る効率性を見せるというシミュレーション結果がある。
しかし、均等ウェイトのため、ファンド規模が1兆円を超えると時価総額の小さい銘柄を十分に買い集められなくなり、運用に支障をきたす可能性が指摘されている。
Q. 高配当株投資信託を選ぶ際に重要な視点とは何か?

単に分配金の額のみに着目するのではなく、配当の質や継続性を重視すべきである。
日本では投資信託の分配金が必ずしも原資産からの配当収益と一致しないため、目的に合った選択が重要だ。
注目したいのは「オールカントリー高配当株」といったファンドで、これはMSCI高配当株指数に連動を目指す。このようなファンドは、配当の質や継続性を評価基準に取り入れているため、単なるバリュー株ファンドに陥らず、本来の高配当株の強みを活かした分散効果も期待できる。
Q. 複雑化する投資信託の中から、最適なポートフォリオを構築するためのポイントは何か?
投資信託は多岐にわたるが、ポートフォリオはシンプルにまとめることが重要である。
推奨されるのは、人間が把握しやすい3つ程度のファンドに集約する考え方だ。例えば、コアとなる投資対象としてNYダウ(米国)とTOPIX(日本)、さらにリスク分散や守りの観点からゴールドETFなどを組み合わせる形である。
自身の投資目的やリスク許容度に応じて、各ファンドへの配分比率を調整し、定期的に見直すことで「放ったらかし」にせず適度にコミットできる投資環境を構築できる。
「攻め」の部分を取り入れたい場合は、ファングプラスのような個別要素の強いファンドを組み込む選択肢もある。最適な組み合わせは人それぞれ異なるが、自身の理解度を越える数には手を広げないことが賢明だ。
