PIVOT TALK LIFE
働きすぎを防ぐ70%で働く思考法
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2026年8月7日

成長を義務付けられた現代で、自分をすり減らさずに成果を出す方法とは?AI時代にどうキャリアの主導権を握るべきか?退職学の研究家でありキャリア相談の専門家である佐野創太氏に聞いた。 <ゲスト> 佐野創太|退職学研究家 慶大卒。大手転職エージェント会社で求人サービスを業界3位へ育てる。介護離職を機に2...
「頑張りすぎ」からの卒業:「70%稼働」で築く持続可能なキャリア戦略
現代社会において、個人は仕事で常に100%以上のパフォーマンス発揮を求められている。仕事だけでなく育児や介護など複数の責任が重なると、心身が疲弊し、限界を感じる人は少なくない。仕事への「頑張り」が日常となる中で突発的なライフイベントが重なると、持続可能な働き方を見失うことも多い。
このような現状を打破し、自己のキャリアと人生を両立させる新たな思考法が「70%稼働」だ。自身の人生と仕事に意図的に余白を生み出すことで、真の生産性と幸福を追求するこの考え方を提唱するキャリア研究家の佐野創太氏の見解をもとに、なぜ「頑張りすぎ」が生じるのか、そしてどのように「余白」を創造するかに迫る。

Q. 働き方における「70%稼働」とは一体どのような考え方だろうか?
キャリア相談の専門家である佐野創太氏は、意図的に3割の余白を残す「70%稼働」の思考を提唱する。自身の介護や子育てで燃え尽き、常に全力では続かないと痛感したためだ。平時7割稼働で緊急時の増産を可能にしたアイリスオーヤマの工場事例から着想を得た。100%を維持せず余白を持つことは、不測の事態への対応力と持続可能な成長に繋がる。これは単に楽をするのではなく、弾力性を確保する賢明な戦略である。
Q. 誰もが「頑張りすぎ」の状態に陥ってしまうのはなぜか?
人々が「頑張りすぎ」に陥る背景には、企業の成長を義務付ける仕組みがある。学校から社会人まで、常に成果と成長を求められ、達成すれば更なる目標が課される。企業は利益追求の「怪物」であり、その要求に身を委ねれば疲弊は避けられない。
このサイクルから抜け出すには、会社のKPIとは別の「自分自身の目標」を最上位に置くべきだと佐野氏は説く。個人的な動機を原動力とし、数値目標だけでなく内面的な定性目標も設定し、自身の軸を保つことが「頑張りすぎ」を防ぐ鍵となる。
Q. 自身の「頑張りすぎ」の状態に気づくための具体的なセルフチェック法はあるか?

自身が「頑張りすぎ」に陥っていないか、体と心の両面から客観的にチェックすべきだ。一つは「カレンダーの色分け」である。Googleカレンダーなどで仕事(赤)、プライベート(黄)、自分時間(青)のように色分けし、週単位で俯瞰する。カレンダーが「赤」一色という現実に気づくだろう。
もう一つは「自分の声を録音して本音を探る」方法だ。スマホで「最近どう?」と自問自答を録音し、焦りによる早口や声のトーン変化、「やるしかない」といった諦めの口癖に注目する。これらのチェックは、自覚なき心身のSOSを察知するのに役立つ。
Q. AIのような最新技術は、多忙な現代人に「余力」を生み出す助けとなるか?
AIなどの最新技術は、業務効率化を通じて「余力」を生み出す強力なツールだ。佐野氏が支援した営業担当者は、AIを使いデザイン提案を効率化し、顧客とのすり合わせ時間を削減した。これは「営業スキル向上」ではなく、「働き方自体」を変えることで負担を減らした好例である。
しかし、AIで生まれた余力を新たな仕事で埋めてしまうと、結局業務総量が増加する。佐野氏自身はAIに執筆を学習させ、「AI失業」とも言える効率化を図り、余力を創造的な「企画や判断」に振り分けた。この余白は、個人の成長やプライベートに活用する意識が重要だ。
Q. 「頑張らされている」状態から抜け出し、働き方の主導権を取り戻すにはどうすればよいか?

「頑張らされている」状態から抜け出すには、まず現状認識が重要だ。この状態の特徴は、孤立し、常に多忙で、助けを求められないこと。自発的な「頑張る」と外部要因の「頑張らされている」の違いを認識し、突然の不調に陥る前に変化を起こす必要がある。
佐野氏は、転職のような大きな環境変化を焦らず、まずは「自分自身の業務改善」から始めることを勧める。日々の仕事の中で、「好物のプリンを食べる」など小さな達成感を意識的に積み重ね、自己効力感を回復させる。自信を取り戻し、自分と現状との戦いに勝利することが、より良い外部環境への第一歩となるだろう。
Q. 定年後のキャリアまで見据え、「余白」が人生にもたらす本質的な価値とは何だろうか?

「70%稼働」は長期的なキャリアと人生の豊かさに貢献する。会社一筋で力を注いだ人ほど、定年後に「何者でもなくなる症候群」に陥るリスクがある。自己の存在価値を仕事に依存しすぎる結果だ。これを避けるには、仕事以外の「青色の活動」(趣味、自己研鑽)をカレンダーに組み込み、複数の自己(アイデンティティ)を育む必要がある。
また、「肩書き」に囚われず、自身の経験を「職務」に分解して理解すべきだ。「アナウンサー」ではなく「複雑な情報を咀嚼・編集する能力」のように、具体的な職務能力にブレイクダウンすれば、転職先の可能性が広がる。自分の強みや価値を多角的に言語化することで、市場価値を正確に把握できるようになる。
人間関係においても、強みだけでなく、趣味や弱みなどの「人間味」を開示することが、周囲とのエンゲージメントと信頼関係を築く上で極めて有効だ。会社での立場を「緩める」ことは、自己の可能性と人間関係の質を高め、「70%稼働」は豊かな人生を送るための必須戦略となる。
Q. 結論:頑張りすぎから抜け出し、豊かな人生を創造するにはどうすればよいか?
常に完璧を求められ、頑張りすぎがちな現代において、「70%稼働」思考法は立ち止まり、内省する機会を与える。意図的に3割の余白を生み出し、それを単なる「休息」ではなく「成長のための余力」として捉え直すべきだ。これにより、個人は心身ともに健全な状態を保ちながら、持続可能なキャリアを築き、人生の主導権を取り戻せるだろう。無理に「振り子を止める」のではなく、一度振り切って戻ってくる体験を通じて、最適な「良い働き方」を発見することが、真に豊かな未来を創造する鍵となる。