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【決勝トーナメント展望:アルゼンチン】メッシ絶好調。連覇はあるか?
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2026年7月3日

6月29日から始まったW杯の決勝トーナメント。優勝候補に挙がる8カ国の強豪チームについて最新分析してもらった。 <ゲスト> 木崎伸也|スポーツライター 1975年、東京都生まれ。2002年夏にオランダへ移住。翌2003年から6年間、ドイツを拠点に欧州サッカーを取材。スポーツ誌『Number』はじめ...
アルゼンチン代表、メッシの“歩く”サッカーの真髄とは?優勝候補の秘訣を徹底解説
世界のサッカーファンを熱狂させる舞台で、決勝トーナメントが白熱する。そんな中、圧倒的な強さで注目を集めるチームの一つがアルゼンチン代表だ。
“神の子”リオネル・メッシを擁し、グループリーグを完璧な内容で突破した彼らの戦術には、現代サッカーの常識を覆す多くの秘密が隠されている。
今回は、その独特なプレースタイル、メッシの起用法、そして宿敵ブラジルとの対戦が予想される決勝トーナメントの展望まで、専門家の分析を交えながら深掘りする。

Q. グループリーグはアルゼンチンにとってどのような戦いぶりだったか?
アルゼンチンはグループリーグを全勝で突破し、文句なしの出来栄えを示した。
専門家からは「100点満点」との高い評価を受けている。
特に3戦目では主力のターンオーバー(温存)にも成功し、メッシも後半から出場して得点を挙げるなど、決勝トーナメントに向けた最高の調整ができたと言えよう。
さらに、決勝トーナメントの組み合わせも非常に恵まれており、準決勝で強豪のブラジルかイングランドと対戦するまでは、比較的楽な道のりが予想されている。
Q. チーム全体の走行距離が少ないにもかかわらず、アルゼンチンが強さを見せる秘密は何だ?
アルゼンチン代表の大きな特徴は、チーム全体の走行距離とスプリント回数が大会出場国の中で非常に少ない点だ。
メッシに至っては、出場選手中最も走行距離が少ないというデータもある。

しかし、彼らがそれでもなお圧倒的な強さを見せる秘密は、相手のハイプレス(ゲーゲンプレス)を個人の高い技術で巧みに回避し、ボールをほとんど失わない「奪われない」能力にある。
これは、体力や運動量に依存するのではなく、むしろ技術と戦術を駆使した「省エネ」とも言える独特なプレースタイルである。
Q. アルゼンチンが駆使する独特のプレースタイル、「騙してイナす」や「お団子サッカー」とは具体的にどのようなものか?
アルゼンチンの攻撃の肝となるのは「騙してイナす」技術と「縦パス&レイオフ」のコンビネーションだ。
ボールを持った選手が細かいフェイクで相手の動きを惑わせ、空いたスペースへ素早く縦パスを通す。そして、縦パスを受けた選手がワンタッチ、もしくはツータッチで落とす「レイオフ」を使い、一気に中央突破を図る。
また、彼らはサイドに広く開く「ポジショナルプレー」とは異なり、中央のペナルティエリア幅に選手が密集する「お団子サッカー」のような形を取る。
これは一見、非効率に見えるかもしれないが、選手間の距離が近いためパスコースが格段に増え、短い距離でのパス交換と「パス&ゴー」を全員が徹底することで、スムーズなボール前進を可能にする。
ブラジル発祥の「リレーショナルプレー」のように、選手間の関係性で状況を打開する戦術であり、個々の高い技術とチームとしてのアイデア共有が結びついた現代サッカーにおける新たな到達点と言えよう。
Q. チームの心臓であるメッシ選手が好調を維持する秘訣と、彼の「歩く」プレーがチームに与える影響は何だ?

メッシの今大会での絶好調ぶりは、所属クラブのインテル・マイアミでワールドカップに向けた「俺流調整」が許されたことに起因すると考えられる。
欧州トップリーグでの消耗を避け、特別なトレーニングを積むことで、39歳という年齢でありながら最高のコンディションを維持できている。
彼の「歩く」ようなプレーは決して手を抜いているわけではなく、戦術的な意図が込められている。
動き回らないことで味方が彼を見つけやすく、「北極星」のように常にパスの受け手となることで、攻撃の起点として絶対的な安定感をもたらす。
さらに、走らないことは体力消耗を防ぐだけでなく、技術のブレを最小限に抑え、ここぞという局面で最も正確かつ決定的なプレーを可能にするのだ。
相手ディフェンスを引きつけ、味方のスペースを作り出す効果も大きく、アルゼンチンにとって欠かせない存在だ。
Q. 決勝トーナメントの組み合わせはアルゼンチンにどのような影響を与えるか?
アルゼンチンは決勝トーナメントの組み合わせにも非常に恵まれている。
準決勝で宿敵ブラジル、あるいはイングランドといった強豪と対戦するまでは、比較的戦いやすい相手が続くと予想される。
これは、疲労蓄積を抑えつつ、徐々にチームとしての完成度を高めていける点で大きなアドバンテージとなるだろう。
Q. ブラジルとの準決勝で予想される智将アンチェロッティ監督のアルゼンチン対策とはどのようなものか?
もし準決勝でブラジルとの南米対決が実現すれば、これは事実上の決勝戦と言ってよい。
ブラジルを率いる名将カルロ・アンチェロッティ監督は、アルゼンチンに対し2つの主要な対策を講じてくる可能性が高いと予測される。

一つは、徹底したマンツーマンディフェンスによる「メッシ潰し」だ。
ゾーンディフェンスを敷きながらも、メッシには執拗にマークをつけ、彼を苛立たせることでミスを誘う狙いがあるだろう。
もう一つは、アルゼンチンチーム全体の身長の低さを突く空中戦術だ。
日本戦でも見せたように、高さのある選手を投入し、クロスボールからの得点やセットプレーで揺さぶりをかける可能性がある。
アンチェロッティほどの監督であれば、アルゼンチンの得意とする中央突破に対しても何らかの秘策を用意しているに違いない。
Q. これらの要素を踏まえると、アルゼンチンの優勝確率は最終的にどの程度だと予想されるか?
大会前はブラジル優位という見方があったが、グループステージを経てアルゼンチンの評価が大きく高まった。
しかし、専門家の最終的な予想では、ブラジルが日本に勝利し勢いを増したことや、アンチェロッティ監督の策がアルゼンチンに効果を発揮すると考えられるため、状況は再度変化するだろう。
現在の優勝確率は、ブラジルが40%、アルゼンチンとフランスがそれぞれ20%と見ている。
南米勢には「下馬評が低い方が力を発揮する」というジンクスがあると言われ、アルゼンチンの評価が高まりすぎたことで、逆にブラジルが足元をすくう可能性があるという予測だ。
ブラジルが日本戦での勝利を通じて団結力を高め、戦術的な柔軟性を見せることで、アルゼンチンを上回るのではないか。