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【W杯強豪国分析】オランダ:花嫁の脇役、目標はベスト4
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2026年6月8日

W杯の優勝候補である強豪国8カ国(フランス、スペイン、イングランド、ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、ポルトガル、オランダ)。その戦術、特徴、フォーメーション、優勝の可能性を分析する。 <ゲスト> ミムラユウスケ|スポーツライター 2006年7月にスポーツライターとしての活動をはじめ、2009年1月...
「花嫁の脇役」オランダ代表:FIFAランク7位の強豪が抱える意外な弱点と日本の勝機
来るW杯において、日本の初戦相手として注目を集めるオランダ代表。FIFAランキング7位に位置する強豪国だが、サッカー界の一部では「花嫁の脇役」と揶揄される異名を持つ。彼らの輝かしい成績の裏に潜む課題とは何だろうか。
本稿では、オランダ代表の歴史的背景、現体制における戦術的な特徴と弱点、そして日本代表が彼らに対抗しうる具体的な戦略について、識者の見解を基に深掘りする。

Q. FIFAランキング7位のオランダ代表はなぜ「花嫁の脇役」と呼ばれるのだろうか?
オランダ代表は過去11回のW杯出場で準優勝3回、ベスト4を2回記録しているが、一度も優勝を経験していない。この「常に惜しいところで敗れる」という宿命から、「花嫁の脇役」という皮肉な称号がつけられたのだ。彼らは主要大会で結果を残す優勝候補と見なされながらも、重要な局面で勝ち切れないというイメージが定着している。
今回のW杯でも、クーマン監督やチーム幹部が公然と「目標はベスト4」と語るなど、優勝への強い執着が感じられない点は、過去の勝負弱さを払拭できない理由の一つに挙げられる。
現在のクーマン監督第2期政権下では、さらに顕著な課題が浮上している。FIFAランキング25位以内のチームとの対戦成績は3分7敗と、一度も勝利がないのだ。この事実は、上位国の日本代表(18位)にとっては心強いデータとなる。ストライカー不在も深刻な問題であり、かつてファン・ペルシやファン・ニステルローイといった世界屈指の点取り屋を輩出してきた時代と比較すると、現在の得点力は物足りない。デパイもキャリアのピークを過ぎ、若手ストライカーの台頭がないため、攻め手に欠き、勝ち切れない試合が続く要因となっている。
Q. 日本代表がW杯初戦でオランダと対戦する場合、勝機はどこに見出すべきだろうか?
オランダ代表は、試合中にフォーメーションを変化させる可変システムを採用している。守備時には基本的に4-4-2のブロックを敷き、ボールを奪うと右サイドバックのドゥンフリースが最前線まで駆け上がり、3-4-3の攻撃的な布陣に移行する。この可変システムは相手をかく乱する狙いがあるが、同時に守備的な弱点も抱えている。

特に、彼らが苦手とするのは「3-4-2-1」のシステムだ。最終予選でオランダが喫した全4失点は、すべてこのシステムを用いるチームからだった。前線に5人の攻撃的な選手を配置する「3-4-2-1」は、オランダの4バックに対して数的優位を築きやすく、効果的に崩すことができる。日本の現在の戦術的な相性は、意外にも良いと言えるのだ。
オランダは日本を「格下」と見る向きもあり、慣れない5バックを初戦から導入するとは考えにくい。この隙と日本の戦術的相性を活かすことが勝利の鍵だ。可変システムが生む攻守切り替え時(ネガティブトランジション)の不安定さは、日本のカウンター攻撃の格好の狙い目となる。ティンバーのような多才な選手の存在が可変システムを支えるが、主力CBの離脱でセンターバックの層に不安がある現状では、クーマン監督がリスクを冒してシステム変更する可能性は低いと見られ、日本に有利に働く可能性を秘めている。
Q. プレミアリーガーが急増したオランダ代表の戦術と、監督の考えにはどのようなギャップがあるのだろうか?
今大会のオランダ代表は、カタールW杯の3人からプレミアリーグ所属選手が15人に激増している。これはポジティブな要素として捉えられており、特に守備陣の顔ぶれは世界屈指と呼ぶにふさわしい。彼らの守備力はアーセナルのような堅守速攻型のサッカーを可能にするポテンシャルを秘めている。
しかし、クーマン監督は自身の現役時代の経験から「美しく勝つ」という伝統的なオランダサッカーのポゼッション志向を強く持っている。一方で、2014年W杯でファン・ハール監督の下、守備的な戦術で結果を出した選手たちは、「現実的に勝利を目指す」という意識が強い。プレミアリーグで日々厳しい戦いを経験している選手たちは、守備の安定とカウンターを重視する戦い方の有効性を肌で感じているのだ。この監督と選手の間に存在する「理想と現実」のギャップが、チームの戦術の方向性を巡る潜在的な問題となり得る。
Q. 日本代表が特に警戒すべきオランダ代表の選手とその攻略法はありますか?
まず、最も警戒すべきアタッカーはフォワードのマルクス・マレンだろう。今シーズン後半からローマで中央のポジションに起用されて覚醒し、チーム最大の得点源として能力を証明した。デパイの代わりに彼をセンターフォワードで起用すれば、オランダの得点力は格段に向上する可能性がある。ただし、マレンを中央に置くと右ウイングの人選が難しくなるという課題も抱えている。
次に注目すべきは右サイドバックのデンゼル・ドゥンフリースである。「分かっていても止められない」驚異的な空中戦の強さは脅威だ。188cmの長身と身体能力を活かし、左サイドからのクロスにファーサイドから飛び込む動きは危険極まりない。日本は彼を封じるため、左ウイングバック(中村敬斗)と左センターバックによる2人がかりのケアが必須となる。

チームの最終ラインを統率するDFフィルジル・ファンダイクは、世界最高のセンターバックとして君臨し、セットプレーからも得点を奪うなど攻撃面でも大きな脅威である。しかしオランダ代表全体としては、ファンダイクという強力な武器を活かしきれていない現状がある。予選のセットプレーからの得点はPKを除きわずか2点に留まった。キッカーの質やセットプレーのデザインに課題があるのだ。ここが日本にとって、彼らの最大の武器を封じる上での突破口となりうる。
Q. 専門家は今回のオランダ代表を、最終的にどこまでの成績を収めると予想しているだろうか?
専門家は、今回のオランダ代表の最終成績を「ベスト8敗退」と予想する。当初は優勝候補とも見られていたが、詳細な分析を進めるにつれて課題が明らかになり、評価が下方修正された結果だ。勝ち上がりの組み合わせを考慮すると、ベスト8ではイングランドと、あるいはグループリーグを2位で突破した場合には、ブラジルとの対戦が待っており、そこで力尽きるとの見立てである。

下方修正の最大の理由は、彼らが採用する可変システムの構造的な欠陥にある。攻撃時に右サイドバックの選手が高い位置まで上がるため、ボールロスト時に攻撃から守備への切り替え(ネガティブトランジション)のスピードが遅れる傾向がある。その結果、広大なスペースが生まれ、相手のカウンター攻撃に非常に脆弱になるのだ。この弱点は、最終予選でポーランドに突かれ、彼らは可変システムの穴を見事に突いて効果的なカウンターを決めた。日本代表も同様に、徹底したカウンター戦術を駆使することで、このオランダの致命的な弱点を狙うことが可能となるだろう。オランダのW杯での命運は、この可変システムの不安定さをどこまで改善できるかにかかっている。