PIVOT TALK FOOTBALL
W杯展望:日本代表、ベスト8は可能か?
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2026年6月7日

6月15日に初戦のオランダ戦を迎える日本代表。史上初のベスト8を達成できるのか?世界を驚かす日本人選手は誰か?6人の論客に展望してもらった。 <ゲスト> ミムラユウスケ|スポーツライター 2006年7月にスポーツライターとしての活動をはじめ、2009年1月にドイツへ渡る。ドイツを中心にヨーロッパで...
ワールドカップ特別展望:日本代表の勝機と伏兵たち
ワールドカップ本番が迫る中、日本代表への期待は日増しに高まっている。今大会、日本はグループリーグをどう戦い、どこまで勝ち進むのか。そして世界を驚かす新星は現れるのか。識者たちの徹底的な分析と見解を基に、日本代表の挑戦を紐解く。

Q. 日本のワールドカップグループリーグ、どう予測されるか?
専門家の間では、日本のグループリーグ結果予測は「1勝1敗1分け」と「2勝1分け」に分かれている。いずれのシナリオでも、勝ち点4を獲得できればグループ突破の可能性は高まるとの共通見解である。日本の戦い方は、相手のスタイルに大きく依存する傾向にあると多くの識者が指摘した。
強豪オランダ戦ではリアクションサッカーが奏功する可能性がある一方、主導権を握る必要があるチュニジア戦では苦戦する展開も予想される。この相手との相性が、日本のグループリーグ突破を左右する要因となるだろう。
また、グループリーグ第3戦の対戦相手スウェーデンには、予選での不振が原因で劣悪な環境のキャンプ地を選定せざるを得なかったこと、そして控え選手の層の薄さが懸念材料として挙がった。そのため、スウェーデンは大会終盤にかけて疲弊し、コンディション面で日本が有利に戦える可能性があると分析されている。これは日本のグループリーグ突破に向けた追い風となるかもしれない。
Q. 複雑な3位通過のルールは日本の戦略にどう影響するか?
今大会の3位通過には特有の複雑なレギュレーションがある。全グループの3試合が終了するまで、上位8チームに残れるか、そして誰と対戦するかが確定しないのだ。これは移動や戦術的な準備に大きな支障をきたす可能性があり、チームにとって非常に不安定な状況を生み出す。多くの識者がこの不確実性を避けるため、可能な限り2位以内での突破が理想的だと強調した。
FIFAの試算では、日本が3位通過した場合の相手はフランスになる確率が80%と高く、あくまで統計上の可能性の一つであるとされ、最後まで対戦相手が予測不能な点は大きなデメリットである。
Q. 冨安健洋のコンディションと起用法、守備戦術への影響は?
日本の守備の要である冨安健洋のコンディションは、今大会最大の不確定要素と言えよう。度重なる怪我により、彼は「時限爆弾」と評されるほどリスクを抱えている。識者たちは、アイスランド戦での彼のプレーを見て、「7割程度の力」でプレーしていたと分析した。万全な状態ではない中で、グループリーグの序盤から先発フル出場させるのは、再負傷のリスクが大きすぎると指摘する声が多数派であった。

そのため、限定的な起用や、より重要な局面である決勝トーナメントでの投入が現実的な選択肢となると考えられている。例えば、オランダの強力な右ウイングバック(WB)ダンフリース対策として、日本の左WBに守備固めとして冨安を起用する策は、彼の身体能力と戦術眼を活かせる有効な一手になり得るとの見方も提示された。スリーバックの一角だけでなく、柔軟な起用法が求められる。
Q. オランダ戦の鍵を握るセットプレー対策とファン・ダイク攻略とは?
今大会、日本代表の躍進には「セットプレーの守備」が最大の鍵となるだろう。特にグループリーグ初戦の相手、オランダの世界最高のセンターバック、ファン・ダイクをいかに抑えるかが日本の命運を分けることは確実だ。彼の対人守備やパス精度もさることながら、攻撃時のセットプレーにおける能力は、データ上の少なさとは裏腹に、非常に脅威的であると専門家は強調した。
ファン・ダイクの最大の強みは、その場で高く飛ぶ「両足でのスタンディングジャンプ」と、ボールを振らずにミートさせる正確なヘディング技術である。通常のDFが走り込んでジャンプするのとは異なり、彼の場合、落下地点に頭を置くだけで得点に結びつけることが可能である。これに対応するためには、彼をマンマークで完全に封じる選手(渡辺剛や佐野海舟が候補となるだろう)と、その周りをゾーンでカバーし、こぼれ球や別のターゲットを弾き返す「二段構え」の守備組織が不可欠となる。これはまさにGKがファン・ダイクと競り合う覚悟を持たねばならないほどの脅威である。
日本のセットプレー守備は、基本的にマンツーマンと3人ゾーンの組み合わせで行われている。イングランド戦でのセットプレーの反省から、ゾーン守備への比重を高める議論も交わされたが、直近のアイスランド戦では従来の守備形態であった。クーマン監督率いるオランダがセットプレーに対してどこまで力を入れるかにもよるが、日本は本番でいかなる対応を見せるかが注目される。
Q. 異例の直前準備は日本代表にどのような影響をもたらすか?
日本代表は今大会、メキシコのモンテレーで「暑熱対策」を優先し、他国との練習試合を1試合のみとし、国内のU-19との対戦を除けば、本番前の国際親善試合を行わないという異例の準備を進めている。これは日本がこれまで行ってきたワールドカップ前の準備とは大きく異なる方針であり、専門家の間でもその効果とリスクについて議論が交わされている。
この異例の準備方針に関して、森保監督のアイスランド戦後の会見での苦々しい表情が波紋を呼んだ。「言いたいことがあるが言えない」と取れる監督の様子から、この準備は監督自身の本意というよりは、フィジカルコーチの理論を強く尊重した結果ではないかという憶測が広まっている。これにより、チームの準備プロセスにおける意思決定の一貫性に不安が残る形となった。
懸念されるのは、この暑熱対策が必ずしも日本代表に有利に働かない可能性がある点だ。グループリーグの試合は冷房完備のスタジアムや夜間キックオフが多く、過度な暑熱対策が必要なかった場合、無駄な疲労蓄積に繋がりかねない。2014年ブラジルW杯でのコンディション調整失敗を想起させるこの状況は、選手たちが休養明けにもかかわらずメキシコの暑い環境でいきなりハードな練習を強いられるため、疲労が抜けないまま本番を迎えるリスクも指摘された。
練習試合がないことで、三笘選手の負傷という不測の事態に対して、新たな戦術や選手の組み合わせを試す機会を失った点は大きなマイナスだ。U-19との試合ではW杯レベルの強度を試すことはできないため、選手の試合勘や連携面に不安を残す。もし初戦で結果が出なかった場合、チーム内に「準備のやり方が間違っていたのでは」という不信感が生まれ、チームの結束が揺らぐ危険性がある。この異例の準備が吉と出るか凶と出るか、日本代表の命運を左右する重要な要素となるだろう。
Q. 今大会、世界を驚かせる日本のキープレイヤーは誰か?
世界を驚かす日本の選手として、4人の名が挙がった。

中西氏は「田中碧選手」を挙げた。彼は親友である三笘の思いと背番号7を背負い、精神的な支柱としての活躍が期待されている。プレミアリーグでの経験とその得点感覚で、中盤からチームを牽引し、スペイン戦のような活躍を再現する可能性があるだろう。久保選手も田中碧の献身性を評価し、「彼がいるからパスを預けやすい」とコメントしており、周囲の選手を輝かせる潤滑油のような役割も担う。

レオザ氏とミムラ氏は「佐野海舟選手」を推した。「中盤のルンバ」と称される彼の最大の魅力は、ブンデスリーガで見せる驚異的な運動量とボール奪取能力である。アンカーとしてピッチを隅々まで掃除し、相手の攻撃の芽を摘むそのプレーはまさに圧巻。守備だけでなく、馬力のある持ち上がりや攻撃の起点となるパスも進化を遂げ、現代的なフィジカル系ボランチとして高く評価されている。佐野は既に日本人選手として最高の市場価値を誇り、W杯での活躍次第でプレミアリーグのビッグクラブへの移籍も現実味を帯びる。

小澤氏と垣内氏は「鈴木彩艶選手」を挙げた。「日本にこんなキーパーがいたのか」と世界を驚かせるポテンシャルを秘めた選手だ。シュートストップ、ポジショニング、ハイボール処理といった基本的なGK技術が高いレベルで安定していることに加え、その正確かつ驚異的な飛距離を誇るキックは、攻撃の新たな戦術オプションとなる。PKにも強く、決勝トーナメントでPK戦になった際には、日本を勝利に導く救世主になる可能性を秘めていると彼らは見ている。彼のキックについては、あえて情報を隠している可能性すら指摘された。

木崎氏は「塩貝健人選手」を選出した。相手DFを吹き飛ばすほどの圧倒的なフィジカルコンタクトの強さは、これまでの日本人FWにはない規格外の武器である。しかし彼は、ただ身体能力が高いだけでなく、自身のプレーを客観視できる冷静さと知性を併せ持つ。特に彼の「重心を低く保ちながら軸を崩さない」体の使い方は、コンタクトプレーにおいて非常に効果的であり、相手を簡単に吹き飛ばす。得点が欲しい場面で投入され、そのフィジカルで相手守備陣に「カオス」をもたらすジョーカーとしての役割が期待されており、彼が前線で動くことで他の選手に決定機が生まれるという戦術的な価値も高いと評価された。