
婚活に恋は必要ない【植草美幸】
「恋は婚活中不要」「専業主婦は夢の職業」結婚難時代を生き抜く婚活アドバイザーの提言
日本の未婚化は深刻な社会問題となっている。最新のデータが示すように、50歳時点で一度も結婚していない人の割合は男性で約28%、女性で約18%に達する。
この背景には一体何があるのか。累計2万件以上のカウンセリング実績と成婚率80%を誇る婚活アドバイザー、植草美幸氏が、その現場からの視点で現代の婚活が抱える課題と、成婚への具体的な戦略を語る。
氏は「婚活中に恋は不要」「専業主婦は夢の職業」といった厳しい言葉で現実を突きつけ、結婚を「感情ではなく技術」として捉えるべきだと主張する。
本稿では、植草氏が語る現代婚活の真実をQ&A形式で掘り下げていく。

Q. なぜ日本の未婚化が進んでいるのか?
日本の未婚化が進む最大の要因は「恋愛離れ」である。データによれば、現在の若者の約4割に恋人がおらず、約3割は交際経験が一度もないという衝撃的な実態が浮上している。スマートフォンやSNSの普及により、一人で完結する娯楽が増加し、対面でのコミュニケーションが希薄になったことが大きい。特にコロナ禍におけるリモートワークの増加は、この傾向に拍車をかけ、人々はさらに会話力を失ったと植草氏は指摘する。

恋愛離れの背景には、多すぎる選択肢と女性の社会進出も挙げられる。女性が高学歴化し社会で活躍する場が増えた結果、仕事やキャリアを優先し、婚期を遅らせる傾向がある。一方、男性も「独身貴族」という言葉に代表されるように、趣味や個人的な生活を享受し、結婚を後回しにするケースが目立つ。結果的に男女ともに年齢を重ねてから結婚を意識し、選択肢の幅が狭まり、結婚が難しくなる現象が発生している。
Q. マッチングアプリは婚活を容易にしたのではないか?
現代にはマッチングアプリという手軽な出会いのツールが存在するが、これは婚活を必ずしも容易にはしないと植草氏は断言する。アプリは確かにアプローチの機会を増やすものの、実際の「会う」という段階に進むまでに多くの障壁がある。
多くの人がアプリ上で「いいね」を交換するが、そこから実際にデートへと繋げられる人は少ない。対面でのコミュニケーション能力が不足しているため、メッセージのやり取りから実際の約束をするところでつまずいてしまうのだ。植草氏の結婚相談所に訪れる会員の約6割は、マッチングアプリを試したが成果が出なかったと語っている。
さらに、アプリには信頼性の問題も潜む。独身証明書の提出が不要なサービスでは、既婚者が紛れ込んでいるリスクも存在し、真剣な出会いを求める利用者にとっては不利益となる可能性がある。手軽さの裏にある課題を認識しなければ、アプリだけでは成婚に至るのは難しいのが現状である。
Q. 若年層のコミュニケーション能力低下は婚活にどう影響するのか?
コミュニケーション能力の低下は婚活のみならず、ビジネスの現場にも深刻な影響を及ぼしている。植草氏の会社でも新入社員の中に「電話が怖くて出られない」者がおり、顔の見えない相手との会話を極度に恐れる傾向がある。この問題は年々悪化しているという。かつては職場でもごく自然に行われていた電話応対すら困難になっていることは、社会全体のコミュニケーション基盤の脆弱化を示していると言えるだろう。

昭和世代と令和世代を比較すると、恋愛や仕事に対する「情熱」の差は歴然としている。昭和世代は「二度と会えないかもしれない」という状況に対し、積極的にアプローチする情熱と行動力を持っていた。しかし、現代の令和世代は、失敗して傷つくことを恐れ、行動をためらう傾向が強い。「優しい」という美点がある反面、それが「打たれ弱さ」にもつながっているのだ。
婚活においては、この「優しさ」が過剰な配慮となり、相手に断られることを恐れるあまり、デートの約束すら進められない事態を招くことがある。相手の状況を考えすぎて「今連絡しては迷惑だろうか」と踏み出せず、関係が自然消滅してしまうケースも珍しくない。このようなコミュニケーションスタイルの変化は、幼少期の核家族化や共働きによる対話機会の減少も一因として挙げられる。
Q. 現代の婚活において「専業主婦」を望むことは不利になるのか?
過去10年で婚活市場の価値観は大きく変化した。かつて女性の目標だった「専業主婦」というライフスタイルは、現代においては「夢の職業」であり、婚活においてはむしろ不利に働く。植草氏のカウンセリングでは、「専業主婦になりたい」と希望する女性に対して「これは苦戦する」と伝えるという。
今や年収2000万円や3000万円といった高所得の男性ですら、パートナーには何らかの形で仕事を持つことを望んでいる。単に経済的な理由だけでなく、社会との接点を持ち「外の空気」を家庭に持ち込むことや、仕事の大変さを理解し分かち合える対等な関係性を求めているのだ。不動産におけるペアローンが当たり前になるなど、夫婦で協力して家計を支えることが現代のスタンダードとなり、男性のパートナー像も変化している。
一方で、女性がパートナーに求める年収基準はほとんど変わっていないのが現実である。多くの女性は、自身の年収の1.5倍から2倍を相手に期待する。この男女間の意識のギャップこそが、婚活のマッチングをさらに困難にしている要因の一つだ。男性が女性に社会性を求めるようになった一方で、女性は依然として経済的な面で男性に依存しようとする意識のずれが横たわる。
Q. 婚活において「恋愛感情は不要」とする考え方はなぜ必要なのか?
植草氏は、婚活中には「恋は不要」であり、「結婚してからご主人や奥様と恋をしてほしい」と主張する。これは「感情無用の法則」とも言われ、感情に流されず戦略的に結婚を捉えることの重要性を説いている。
婚活中に恋愛感情が入ると、人は冷静な判断力を失う。例えば、本来年収700万円のパートナーを望んでいた女性が、容姿の良い年収300万円の男性に「キュン」として結婚してしまうケースがある。しかし、数年後には経済的な問題や価値観の相違から離婚に至る結果となることが多い。植草氏のもとには、まさにこのパターンで再婚相談に訪れる人々が後を絶たない。
成功する婚活の鍵は、自身の「未来予想図」を明確に描き、それに合致するパートナーを見つけることだ。これは、計画性を持って目標に向かう「頭の良さ」に通じる。一時的な感情に左右されず、人生設計の観点から冷静に相手を見極めることで、結婚生活の質と持続可能性を高めることができるのである。
Q. 婚活を成功させるために身につけるべき「技術」とはどのようなものか?
選ばれる人には共通の特徴がある。まず第一に「感じが良いこと」。お見合いでは最初の6秒、つまり「パッと見て、顔から足元までを一巡りする時間」で印象が決まるという。この第一印象が7割を占めるため、清潔感、笑顔、姿勢、話し方、ファッションといった外見的な要素を磨くことが必須だ。

次に求められるのは、揺るぎない「人間力」である。これは、具体的な人生の「未来予想図」を描き、そこに到達するための計画を立て、感情に流されず進む能力を指す。植草氏は、婚活を成功に導くために「頭の良さ(計画性)」「素直さ(アドバイスを受け入れる力)」「根性(振られても立ち直る力)」の3つを挙げている。
これら三つの力は、目標設定から行動、そして挫折からの回復というサイクルを回す上で不可欠な要素である。結婚という人生の大きな目標達成に向けて、論理的な思考と強い意志、そして他者からの学びを取り入れる柔軟性を兼ね備えることこそが、現代の婚活を乗り切るための「技術」である。
Q. 婚活の課題から日本の社会問題の縮図が見えるとはどういう意味か?
婚活における成功者の特徴(強い意志、計画性、やり遂げる力)は、ビジネスで成功する人の特徴と酷似している。これは、結婚もまた、明確な目標設定と戦略的行動を要する人生のプロジェクトであることを示唆する。しかし、個人の努力だけでは解決できない根深い社会問題が婚活を複雑にしている現実がある。
少子化の背景には、晩婚化だけでなく、社会構造的な問題が大きく横たわる。地方からは女性が大学進学や就職で都市部に流出し、地元に残った男性との間にミスマッチが生じる。都市部では高額な家賃、子育て支援の不備などが、結婚後の出産・子育てを困難にしている。保育園問題だけにとどまらず、住居、教育費、そして女性がキャリアを諦めずに働ける社会システム全体を変革しなければ、少子化の波は止まらないだろう。
婚活の現場から見える課題は、まさに現代日本が抱える社会問題の縮図だ。個人の幸福追求の裏側には、社会構造が個人に与える影響が大きく、婚活を通じて日本の未来像が見えてくるのである。植草氏の言葉は、単なる婚活ノウハウを超え、より良い社会のあり方を問うメッセージとなっている。
