
NASDAQ100は今後さらに急騰か/S&P500の上昇も続く/日経平均は7万円へ
NASDAQ100は今後さらに急騰か/S&P500の上昇も続く/日経平均は7万円へ
2026年後半の株式市場は、複雑な要因が絡み合う局面を迎えている。地政学リスク、政治情勢、インフレ動向、そして日本独自の構造変化。これらの要素が日米の市場にどのような影響を与え、投資家はどのように動くべきか。本記事では、専門家の見解を基に、日米株式市場の将来性と潜在的リスクを深掘りしていく。

Q. アメリカ株式市場はイラン情勢から既に回復局面にあると見ているか?
米軍の攻撃後、S&P500が7.8%下落した。しかし、これは過去の米軍が攻撃を開始した際にS&P500が同様の動きを見せるパターンと一致している。ベトナム戦争など過去の戦時相場では、攻撃開始から30日以内に株価は底を打ち、その後V字回復して緩やかな右肩上がりのトレンドに戻る傾向があった。今回の状況も同様に既に最悪期を脱し、株価の底入れが確認されたとみて良いだろう。
Q. イラン情勢が長期化しないと見られる政治的背景は何があるか?
トランプ大統領がイラン情勢の早期終結を望む背景には、主に4つの要因が存在する。第一に、国内のガソリン価格高騰は、過去の傾向から大統領の支持率低下に直結する。今年11月に中間選挙を控えるトランプ政権にとって、これは避けたい事態である。第二に、過去の軍事行動では指導者の支持率が上昇する「起爆効果」が見られたが、今回のイラン攻撃では逆に支持率が低下したため、戦争継続のメリットが失われた。第三に、米10年債金利が4.5%に接近すると株価が暴落する傾向がある。現在の金利水準は4.43%と4.5%の閾値に近く、これ以上の金利上昇とそれに伴う株価の下落を回避したい思惑が働く。第四に、イラン攻撃によって上院選挙の賭けサイトでの共和党勝利確率が一時的に民主党優勢に傾いたことも、強硬姿勢を弱める圧力となった。これらの要因から、トランプ大統領は現実路線に転換し、紛争の幕引きを急いでいると推測できる。
Q. 今後アメリカ株式市場は上昇トレンドに入ると考えられるか?
今後のアメリカ株式市場は、複数要因に支えられ上昇トレンドに入る可能性が高いとみられる。S&P500が9%以上の下落後に高値更新した場合、その後の3~9ヶ月で約8割の確率でプラスリターンとなる統計的傾向が過去のデータから示されている。また、AI導入による人件費削減は企業の収益性向上に寄与し、これも株価を後押しする。世界主要国のマネーサプライ(M2)を合計した「グローバルマネーサプライ」も依然潤沢であり、これはS&P500に約4ヶ月先行して上昇傾向を示す。すなわち、市中に出回る資金が株式市場に流れ込みやすい環境が続く。消費者物価指数(CPI)に関しては、過去データでは3.5%を超えるとS&P500の月間騰落率がマイナスになる傾向があるが、現在の3.8%はガソリン価格の一時的な高騰が主因だと考えられる。先行指標である住宅価格(家賃)や原油先物価格が下落傾向にあるため、今後CPIは3.0~3.5%の「適度な物価上昇」の範囲に落ち着くと予想される。短期的な調整はむしろ押し目買いの好機となりうるだろう。
Q. 日本株の上昇余地は大きいと予測するか?

日本株は現在、3つの好条件が揃い上昇局面にある。第一に、インフレ環境が到来したことだ。インフレは現金の価値を目減りさせるため、企業の設備投資や賃上げへのインセンティブを刺激し、経済の好循環を生み出す。これは株価にとってポジティブな材料だ。第二に、好調な米国株との強い連動性も、日本株の追い風となる。第三に、日本の実質金利は世界主要国の中でも最低水準にある。実質金利がマイナスである期間は預金から投資へと資金が流れ込みやすく、株価を押し上げる傾向がある。インフレと相まって、これまで「デフレマインド」に囚われてきた企業や投資家の行動変容が促され、日本株の上昇余地は大きいと考えられる。
Q. インフレ下で日本企業の現預金は投資に回されるようになるか?

長年続いたデフレ環境において、日本では「Cash is King(現金は王様)」という考え方が定着し、企業は多額の現預金を貯め込んできた。これは合理的な行動であったが、インフレ環境への転換はこの前提を根本から覆す。インフレ下では現金を保有しているだけでは価値が目減りするため、企業は溜め込んだ300兆円を超える現預金を、もはや塩漬けにできなくなる。設備投資や賃上げといった成長投資に回すインセンティブが強く働くようになるだろう。金融庁も企業の現預金活用方針について説明を求める方針に転換し、この動きを後押しする。政府が目標とする2040年名目GDP1000兆円を達成する経路を辿れば、2030年には日経平均7万円台が見えてくる。市場はこの将来像を先行して織り込み始めている段階にある。海外投資家もインフレ時代の日本の成長戦略に期待し、既に安倍政権時に匹敵する規模の買い越しを見せている。小泉政権時の40兆円規模の買い越しに迫る勢いを示しており、今後も海外からの資金流入が期待できるだろう。
Q. 今後の株式市場における主要なリスク要因は何が挙げられるか?
今後の株式市場にはいくつかのリスク要因が存在する。米国株式市場では、中間選挙がある年は特に夏場(4月から9月)に政治的な不透明感から株価が軟調に推移する季節性のアノマリーがある。これは一時的な調整を引き起こす可能性があり、加えて個人向け税還付効果が5月中旬以降に一巡することによる需給悪化も夏場の調整要因となりうる。一方、日本株の最悪シナリオとしては、イラン情勢悪化などによるサプライチェーンの混乱が招く供給制約型のインフレが長期化し、スタグフレーションに陥り、高市政権の成長戦略が頓挫するケースが考えられる。日本が資源を輸入に頼る脆弱性を考えると、コストプッシュ型インフレは致命的となり、その場合、日経平均は高市政権発足時の4万5000円まで下落する可能性も考慮する必要がある。また、AI関連銘柄が市場を牽引しているものの、その高いボラティリティも短期的なリスク要因として注視が必要だ。
Q. プライベートクレジット市場は金融危機の引き金となる懸念はあるか?

一部で懸念されるプライベートクレジット市場の問題が、金融危機の引き金となる可能性は低いと判断できる。金融市場全体のストレス度合いを示す「金融ストレス指数」は、過去のITバブル崩壊やリーマンショック時には大幅なプラス圏にあった。対照的に、現在はクレジット市場に対する金融ストレス指数は依然としてマイナス圏で推移している。この状況から、プライベートクレジット市場の問題は現時点では限定的であり、市場全体を揺るがすようなシステミックリスクには発展しないという見方が強い。ただし、今後この指数がプラスに転じ、ストレスが明確になった場合には、その動向を注意深く監視する必要があるだろう。
