
日本株相場展望/5月に一時調整の可能性/夏に向けて再び急騰
日本株相場展望/5月に一時調整の可能性/夏に向けて再び急騰
日経平均株価は6万円台に乗せ、投資家心理が高揚している。
しかし、目前に迫る大型連休前後は、市場に特有の注意点や変動要因が存在する。目先の調整リスクから、中長期的な強気シナリオまで、多角的に日本株市場の行方を分析した記事である。


本稿は、今後の日本株投資戦略を練る上で不可欠な視点を提供するものだ。
Q. 大型連休前後の日本株市場は、どのような点に注意が必要か?
大型連休前後は、いくつかのメカニズムから株価が下落しやすい傾向にある。まず、月初は金融機関が債券運用での損失を株式の利益確定で穴埋めする動き(アノマリー)が見られる。
また、企業の決算発表シーズンでもあり、特に期初の保守的なガイダンスが出されるリスクもある。これらの要因が重なると、株価は一時的に軟調に転じる可能性が高い。投資家は過度なリスク回避の姿勢で臨むのが賢明だろう。
Q. ゴールデンウィーク明けに起こりうるSQに絡む株価下落メカニズムとは何か?
連休明けには、SQ(特別清算指数算出)が控えている。現在、日経平均株価が大きく上昇した一方で、5万4000円から5万5000円といった、現行水準からかなり安い価格帯にプットオプションの建玉が大量に積み上がっている状況だ。
もし株価がこの水準に少しでも近づけば、オプションの売り手である証券会社は損失リスクを回避するため、先物を売ってヘッジを開始するだろう。
この売りがさらなる株価下落を誘発し、「売りが売りを呼ぶ」展開となって、想定以上の値幅で一気に株価が吸い込まれるリスクがある。このような状況で安易な押し目買いを狙うことは危険だ。
Q. 地政学リスクは日本株市場にどのように影響を与えるのか?
地政学リスクは株価に一時的な影響を与えるが、過去の紛争事例では、概ね1ヶ月以内に市場が底を打つパターンが多い。

米軍が武力行使した場合でも、株価は短期間で底入れし、その後回復基調となる傾向が確認されている。イランと周辺国との関係も、最終的にはイラン側が我慢する形で収束し、相場が底入れする過去のパターンが見られる。
米国の防衛関連株は地政学リスクの先行指標としての役割を持つ。今回、イランへの攻撃後に防衛株が市場平均を下回るアンダーパフォームを示しており、これは市場が紛争の長期化や深刻化を見ていない証拠であると解釈できる。
ポートフォリオの1割程度を防衛株に組み込むことは、リスクを察知し、有事に備えるためのアンテナになりうるだろう。
Q. 日本株市場で進行する「二極化」はどのように評価できるか?
現在の日本株市場は、一部のAI・半導体関連株が急騰する一方で、他の中小型株や割安株が低迷するという極端な「二極化」が進んでいる。
この状況は、コロナ禍における「ウィズコロナ銘柄」と「アフターコロナ銘柄」の構図と酷似している。コロナ禍が経済の正常化と共に市場転換を迎えたように、現在の二極化相場も、地政学リスクの終息などをきっかけに、これまで売られてきた銘柄に資金が環流する「大転換」が起こる可能性がある。この転換点を冷静に見極める視点が重要だ。
Q. 日銀の政策決定会合の結果と円高懸念が市場に与える影響は何か?
最近の日銀金融政策決定会合では、現状維持に反対する委員が3名に増加した。これは、日銀がタカ派姿勢に傾いているとの解釈を生み、これまで続いた円安の勢いを止め、円高を誘発する可能性がある。
もし円高に転じれば、輸出関連株には逆風が吹く一方、輸入品のコストが下がるため、食品、陸運、小売といった内需関連株には追い風となるだろう。
また、日銀のタカ派姿勢は金利上昇への期待にもつながり、金融株への資金流入も期待される。建設株も強気の業績ガイダンスを受けて注目され始めており、これまでとは異なるセクターローテーションが起こるかもしれない。
Q. 海外からの資金流入が続く理由と、日本株全体の見通しはどうなっていますか?
短期的な調整局面の可能性はあるものの、日本株全体は決して弱気ではない。

一つは「バフェット効果」が継続していることだ。ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイの日本株(例:東京海上ホールディングス)への追加投資表明や、過去の商社株投資、来日などの際に、追随するように米国の日本株ETFへ多額の資金が流入し、その効果は概ね3ヶ月間続くことがデータで示されている。この資金流入は現在も続いているとみられる。
もう一つは、IMF(国際通貨基金)が4月に発表した世界経済見通しだ。主要国が軒並み下方修正される中で、日本経済の見通しだけが維持された。この報告書は、国別資産配分を決定する欧州の巨大ファンドにとって非常に重視される。
IMFの見通しが良好だった場合、ヨーロッパの投資家による日本株買いが約9週間続く傾向がある。これら海外からの資金流入は、少なくとも6月末頃まで日本株を支える強力な追い風となるだろう。
さらに、日本株は自社株買いや配当再投資などにより、例年6月まで堅調に推移する季節性がある。これらの複数の要因が重なることで、日本の夏相場は例年以上に強含む可能性が高い。
Q. 日経平均株価は、最終的にいくらまで上昇する見込みですか?
短期的な調整や連休前後の警戒感は必要だが、全体としての日本株は引き続き強気の見通しを維持できる。

過去の経験則では、総選挙後の政権勝利は、政策期待から6ヶ月から8ヶ月間株価が上昇するアノマリーが見られる。このパターンは今回も継続すると予想される。
また、日経平均は歴史的に3割の上昇後に一時的に横ばいになる傾向があり、前回の調整局面では5万2000円台が堅固なサポートラインとして機能した。
この事実から、現在は5万2000円から6万8000円という新たなレンジ相場に移行した可能性が高く、次の上値目標は引き続き6万8000円であるという見方に変化はない。
上昇相場の最終局面で見られる、懐疑的な投資家のショートを焼き込む「踏み上げ」の兆候はまだ見られず、さらなる上昇余地を残している状況だ。
