
【マネジメント技術大全②】目標達成法のプランニング
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2026年5月4日
マネジメントの技術を全12回で網羅的に学ぶ「マネジメント技術大全」。価値観多様化、AI全盛の時代に求められるマネジメントの技術を、EVeM代表の長村禎庸が徹底解説。 EVeM &PIVOT マネジメント技術大全 リアルゼミ ▼詳細はこちらから https://www.evem-management...
「忙しくて成果なし」からの脱却:戦略方針とモメンタムでチームを加速するマネジメント術
マネジメントにおいて、目標設定は事業を推進する上で不可欠である。しかし、単に目標を設定しただけで満足してしまってはならない。目標達成への明確な道筋をどう示し、チーム全体のやる気、すなわちモメンタムをいかに生み出すかが問われる局面は多い。
本記事では、目標達成のための「戦略方針」の構築法と、チームに持続的な勢いをもたらす「モメンタム」の生み出し方を、ビジネスの具体例を交えながら深く掘り下げて解説する。組織のパフォーマンスを最大化させるためのマネジメント技術を探るものだ。

Q. 目標達成のために「戦略方針」が重要なのはなぜか?
目標を設定しても、直接アクションを考えてしまうと、多忙を極めても成果が出ない「忙しくて成果なし」の状態に陥りがちだ。これは個人だけでなく、マネージャーがチームを巻き込む場合にも当てはまる。マネージャーは、目標に対して思いつきで行動を指示するのではなく、明確な「戦略方針」を示す責任がある。
戦略方針とは、チームが最も重要な目標に対し、最小のアクションで効率的に達成するための羅針盤を指す。日本語の「戦略」が「戦いを略す」と書くように、無駄な努力を省き、核心を突いた行動を促すための指針である。これがなければ、チームは何をすべきか分からず混乱し、エネルギーを無益に消費するだろう。
Q. 「忙しいのに成果が出ない」状態を避けるにはどうすべきか?
多くの組織において、複数の目標が存在することは珍しくない。しかし、目標が多すぎるとチームはパニックに陥り、どの目標も中途半端になりかねない。まず重要なのは、複数の目標の中から「何が一番大事か」を自問し、最重要目標を特定することだ。これはリソースの分散を防ぎ、焦点を絞る上で不可欠である。

最重要目標を明確にしたら、次にその目標に対する具体的な方向性を示す「戦略方針」を策定する。この方針が存在することで、チームは漠然としたタスクに追われることなく、目標達成に直結する行動に集中できる。これにより、無駄なく効果的に動き、多忙でありながらも着実に成果を生み出す体制が整う。
Q. メンバーの自律的な行動を促す「程よい抽象度」の方針とは何か?
戦略方針は、あまりにも具体的すぎず、かといって抽象的すぎない「程よい抽象度」で設定することが肝要である。具体的すぎる方針は、メンバーを指示待ちにし、自律的な思考や行動の機会を奪う。例えば「特定のブログにバナー広告を出す」は、細かすぎるタスクであり、自ら考える余地がない。
一方で、「ユーザーを引きつけるコンテンツを出す」といった漠然とした方針も機能しない。これは誰にでもわかる当たり前のことであり、チームに具体的な行動を促す力を持たない。理想的なのは、「YouTubeチャンネルを立ち上げ、グロースさせるという方向性」のように、チームが具体的な施策やアイデアを自主的に考えられる「余白」を残した方針である。この「〜という方向性」という語尾をつけて違和感がないかどうかが、程よい抽象度を見極める目安となるだろう。
Q. 戦略方針を立てる上でマネージャーが陥りやすい「好き嫌いバイアス」とは何か?
戦略決定の際、マネージャーは自身の「好き嫌い」によるバイアスに陥りやすい。人間は誰しも、自身の経験が豊富な業務や個人的に興味がある領域には積極的になり、そうでない苦手な業務や未経験の領域は無意識のうちに見落としてしまいがちだ。このバイアスは、時に重要な戦略的選択肢を見落とさせ、事業の機会損失に繋がる可能性がある。

もし戦略方針の策定がうまくいかないと感じた場合、自身の「やりたくないこと、苦手なこと」は何だったかを問い直してみる良い機会だ。開発出身のCEOが営業戦略の重要性を見出すように、自分の苦手分野にこそ、現状を打破し事業成長を促す宝物が隠されているケースは少なくない。マネージャーは、個人の感情や経験に囚われず、組織全体の成功に繋がる選択を意識的に行うべきである。
Q. チームに持続的な「勢い(モメンタム)」を生み出すにはどうすればよいか?
チームを継続的に高いパフォーマンスで動かし続ける鍵は「モメンタム(勢い)」の存在である。モメンタムとは、「昨日よりも今日、今日よりも明日が良くなる」という未来への期待感、そして目標達成に向けて進んでいるという「進捗実感」だ。
このモメンタムは、必ずしも好業績に比例するものではなく、業績が振るわない時期でもマネジメント技術によって意図的に生み出すことが可能である。キックオフイベントや懇親会のような一時的な高揚感では持続的な勢いは生まれない。目標と戦略方針が定まっているからこそ、チームは着実に歩みを進めている実感を共有できるのである。
Q. 業績に関わらずモメンタムを維持し、「勝ち癖」をつけるにはどうすればよいか?
モメンタムの源泉は、最終的な結果だけでなく、目標と戦略方針に沿った「一歩一歩の進捗」をチーム全員で実感することにある。まだ目立った成果が出ていなくても、目標達成に向けた準備や体制整備など、地道な行動の積み重ねが「前に進んでいる感覚」を醸成する。

目標:年間会員数10万人達成
戦略方針:店舗の認知度を上げることで会員数拡大を図る
今週の進捗:近隣での店名検索数の計測準備が完了、お店のGoogleページの最適化(写真入れ替え、説明更新)を完了、チラシ・広告のQRコードのリンク先をLINE公式アカウントにまとめた
上記のように、週報などを通じて、各戦略方針に対する小さな進捗を継続的に共有することが非常に有効だ。この進捗の共有が、チームに内発的な「勝ち癖」を形成し、結果への過度な依存から脱却させる。成果に囚われずプロセスを重視することが、モメンタムの安定につながり、結果的に持続的な成長を実現する。
Q. マネジメントスキルは「センス」か「技術」か?
マネジメントスキルは、一部の人が持つ天性の「センス」だけでなく、誰もが訓練によって習得可能な「技術」として捉えるべきだ。目標設定やモメンタムの創出においても明確な「型」が存在し、これを実践することでマネジメント能力は着実に向上する。この「型」を反復することで、経験を通じて自然とセンスも磨かれていく。
動画学習や座学だけでは不十分だ。学んだ知識を実際に職場で「書き出す」「実践する」といったワークショップを通じてアウトプットし、自らのスキルとして定着させることが成長の鍵となる。理論を実践へと移し、試行錯誤を繰り返すことで、マネジメントスキルは飛躍的に高まるものだ。



