
【リーダーシップの科学】リーダーシップは身につけられる
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2026年4月2日
ビジネスマンの必須スキルであるリーダーシップ。リーダーシップを後天的に身につけることはどこまで出来るのか?良いリーダーと悪いリーダーを分けるものとは?神戸大学大学院の鈴木竜太教授に聞いた。 <ゲスト> 鈴木竜太|神戸大学大学院教授 神戸大学経営学部卒業。ノースカロライナ大学客員研究員、静岡県立大学...
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【リーダーシップの科学】リーダーシップは「学べる」のか?
チームや組織を率いる立場にある者にとって、「リーダーシップ」は常に大きな課題だ。自身のリーダーシップのあり方に悩み、その正体を見極めようと奮闘する人も少なくない。
本稿では、経営組織論を専門とする神戸大学大学院教授の鈴木竜太氏の解説に基づき、リーダーシップの科学的側面を深く掘り下げる。リーダーシップは生まれつきの才能なのか、それとも後天的に習得可能なスキルなのか?成果と連動しないリーダーシップの実態とは?そして、予測不能な現代に真に求められるリーダーシップとはどのようなものか?最新の研究成果が指し示す「良いリーダー」への道を具体的に探求する。

Q. リーダー像の「型」はどのように捉えられていますか?
リーダー像は人それぞれ多様な解釈がある。レゴを使った実験では、主に3つのパターンが示されている。

1つは「対話型」で、リーダーがフォロワーに向き合い語りかける姿。2つ目は「先導型」で、リーダーが先頭に立って引っ張る姿。そして3つ目が「後方支援型」で、リーダーが後ろから全体を見守るスタイルだ。
特に3番目の後方支援型は、戦国時代の軍隊の布陣に見られるように、かつては一般的であったが、現代では少数派である。現状は自らが率先して行動し、メンバーを導く「先導型」のイメージを持つリーダーが多い。この多様性からも、唯一無二の「正解」とされるリーダー像は存在しないと分かる。
Q. 現代におけるリーダーシップの定義とは何ですか?
リーダーシップは、長らく個人の内面にある「力」として認識されてきた。しかし、近年のリーダーシップ論では、この定義が「プロセス」へと進化している。
学術的な定義では、「集団の業績を達成するために、フォロワーの行動を促すプロセス」とされる。これは、一瞬で発動するような単なる個人としての力ではなく、リーダーとフォロワー間の長期的な相互作用によって生まれるダイナミックな関係性を含意する。リーダーシップは、対話や関わりの中で機能し、その活動全体を指し示す包括的な概念と考えるべきだ。
Q. リーダーシップは生まれつきのものではなく、後天的に学べるものなのでしょうか?
幼少期からの経験を通じて自然とリーダーシップを発揮する人もいるが、基本的には、リーダーシップは後天的に学び、努力することで獲得できるスキルだ。経験豊富なリーダーが無意識に行っている行動や振る舞いを、意識的に思考し、実践に落とし込むことで、誰でも「よきリーダー」への道を進むことが可能である。つまり、先天的な才能だけに左右されるものではない。
Q. リーダーシップの成功は、必ずしもビジネスの成果につながるとは限らないのですか?
リーダーシップの「成功」と、組織としての「成果」は異なる概念だ。リーダーシップが成功した状態とは、リーダーが意図した通りにフォロワーが行動すること。しかし、その行動がビジネスの望ましい成果につながるとは限らない。

たとえ最終的に良い成果が出たとしても、それがリーダーの想定したプロセスを経たものでなければ、リーダーシップとしては機能していないと評価される。逆に、リーダーシップによって人々が期待通りに動いたとしても、その前提となる目標設定自体が間違っていれば、ビジネスとしての成果は望めない。
「良きリーダー」であるためには、人を動かす「リーダーシップ」の能力と、適切な「目標を構想する力」の両方が不可欠である。リーダーシップ論は後者に着目するものではなく、設定された目標に向かっていかに人々を動かすか、そのプロセスを科学する分野と言えよう。
Q. フォロワーを動かす主要なメカニズムにはどのようなものがありますか?
人々がリーダーの働きかけによって行動するメカニズムは、大きく「交換関係」と「価値」の2つに分けられる。
「交換関係」は、給与や役職を対価として指示に従う関係だ。このメカニズムを円滑にするためには、計画立案や進捗管理など仕事そのものに働きかける「タスク思考」と、部下の悩みを聞き、激励するといった人間関係に配慮する「人間関係思考」をバランス良く行う必要がある。このアプローチは、明確な指揮命令系統が存在する場合に有効となる。
一方、「価値」によるメカニズムは、共通の目標やビジョンへの共感を原動力とする。特に他部署との連携や新規事業、スタートアップなど、直接的な指揮命令が及びにくい状況では、リーダーの掲げるビジョンに人々が共感し、自ら動こうとすることが不可欠である。リーダーは自身の思いや価値観を伝え、協力を引き出すことで成果に結びつける。この2つのメカニズムを状況に応じて使い分けることが重要だ。
Q. リーダーシップの「型」を学ぶことには落とし穴がありますか?
リーダーシップには多様な「型」が存在し、これらを学ぶことは、状況に応じた引き出しを増やす上で非常に有効である。多くの型を持つことで、柔軟な対応が可能となるだろう。しかし、その型に頼りすぎると、「どの型にはめ込むか」とパターン選択に終始し、個々の状況を深く思考することを怠ってしまうという落とし穴がある。
人間は一人ひとり異なり、状況も常に変化する。そのため、常に「思考する」姿勢を持ち、学んだ型をあくまでベースとしつつも、目の前の現実に対して最適なアプローチを導き出すことが不可欠だ。型は思考を停止させるのではなく、むしろ思考を深めるための「叩き台」として機能させるべきだろう。
Q. 不確実性の高い現代において、どのようなリーダーシップが求められていますか?
リーダーシップを発揮する際、まず「何を成し遂げるのか(成果)」を定義し、次に「そのためにフォロワーにどう動いてほしいか」、そして最後に「そのために自分は何をすべきか」と逆算して考えることが重要だ。優れたリーダーの表面的な模倣では、本質的な解決には繋がらない。自己の組織、チーム、目標に応じたアプローチを構築しなければならない。

また、現代では、決められた役割をこなすだけでなく、「役割外の行動」を引き出すことが強く求められる。これは、困っている同僚を助けたり、誰も拾わない組織の課題を自発的に解決したりする貢献行動を指す。環境変化が激しい現代において、既存の分業体制では生じる「穴」を埋める上で不可欠な要素だ。リーダーは、フォロワーが自律的に気づき、主体的に行動するよう促すことで、組織全体の成果を最大化しなければならない。
大量生産時代には、効率的に「従わせる」リーダーが有効だったが、現代のようにリーダー自身も絶対的な答えを持たない不確実な世界では、一方的に指示するのではなく、フォロワーと共に考え、試行錯誤しながら答えを創り出す「共創型」のリーダーが何よりも必要とされる。
