
AI時代に稼げるコンサルの条件:「とりあえずコンサル」はアリか?
アクセンチュア社長が語る、AI時代のコンサルタント像とキャリア戦略
最先端のテクノロジーと変革の波が押し寄せる現代において、コンサルティング業界、特にアクセンチュアのようなグローバルファームがどのような人材を求め、またどのようなキャリアを提示するのかは、多くのビジネスパーソンの関心事だ。
本稿では、アクセンチュアの日本におけるトップが語る、コンサルタントに求められる資質、若手育成への考え、そしてこれからの企業戦略について深掘りする。

Q. 優秀な学生がアクセンチュアを選ぶのはなぜなのか?
現在の不安定な時代において、AIや最新技術を継続的に学び続ける環境は非常に魅力的だ。アクセンチュアは多様な業界情報と専門的なトレーニングを提供し、個人のスキルアップや成長に直結する。特に、一つの分野に限定せず、様々なことを試したいと考える若い世代にとって、最適な学びの場である。
Q. 「とりあえずコンサル」の現状をどのように見ているのか?
会社側としては若手への多大な投資が無駄になるばかりか、本人にとっても「もったいない」と強く感じる。プロジェクトの企画フェーズだけでなく、実行段階で発生する予期せぬ課題を解決し、目標達成までコミットしてこそ真の経験値とレベルアップが得られる。数年で辞めてしまうのは、このコンサルティングの醍醐味を味わう機会を逸することに他ならない。
Q. 長年在籍しているコンサルタントは、転職を考えることはないのか?
アクセンチュアのコンサルタントは、プロジェクトごとに顧客、テーマ、上司、同僚が常に変わる。そのため、まるで常に新しい職場に転職しているような新鮮な感覚で仕事に取り組める。国内外の多様なプロジェクトを経験することで、常に新しい挑戦ができ、知的好奇心を満たし続けられる環境が魅力である。

社内には「社内転職マーケット」とも呼ばれる独自のシステムがある。プロジェクトリーダーが社内向けに求人広告を出し、社員は自身の興味やキャリアプランに合わせて応募し、面接を経て参画する。この主体的な選択肢が、個人の成長と会社へのエンゲージメントを高める要因となっている。
Q. AI時代にコンサルタントに求められる能力はどのように変化するのか?
生成AIの進化により、資料作成やプログラミングといった定型的な作業の大部分はAIが代替する。そのため、コンサルタントは顧客との対話を通じた信頼構築や、プロジェクトを円滑に進めるための調整・段取りなど、人間的なコミュニケーション能力や対人スキル(インターパーソナルスキル)の重要性が一層増すだろう。
また、ルーティンではない「変革」を生み出す力が不可欠だ。ゼロからイチを創造する発想力、多様なパートナーを巻き込み課題解決へ導くコーディネート力、そして何よりも困難な状況でも最後までやり遂げる「諦めない姿勢」や「しつこさ」といった行動特性(ビヘイビア)が強く求められる。自ら積極的に行動し、変化を起こせる人材が時代の鍵を握るだろう。
Q. 今後の採用でアクセンチュアが重視するポイントは何か?
単に採用数を増やすのではなく、「とりあえず」という形で入社し、十分なスキルを身につける前に退職してしまう人材の流出を防ぎたい。入社した人々が腰を据えてキャリアを形成し、真の成長を実感できる環境を整えることを最優先に考えている。長期的な視点での人材育成と定着が最大の課題だ。

面接においては、コミュニケーション能力に加え「自分の意思(Will)を明確に伝えられるか」を重視する。自らのやりたいことや意見を主体的に発信し、手を挙げられる人には、アクセンチュアの文化が多くのチャンスを提供するだろう。
Q. 社長自身はなぜトップに立つことができたのか?
新しいことに挑戦するのが好きで、失敗を恐れずに常に自ら手を挙げてきたことが大きいと語る。特に、現在の変化の激しい時代は、リスクを最小化する思考よりも、まず行動し挑戦する姿勢が求められている。新規事業の立ち上げなど多くの失敗も経験してきたが、それでも挑戦し続ける「リスクテイカー」な姿勢が、結果として現在の会社の求めるリーダー像と合致した。
近年、日本企業でも40~50代の新たな世代のリーダーが台頭し、攻めの経営へ転じている。経験が足りない分、積極的にチャレンジすべきという考え方が共有され、日本経済全体の活性化に繋がる良い流れだと捉えている。
Q. 10年後のアクセンチュアはどのような存在になっていると考えるか?
10年前と現在の事業構成が大きく異なるように、10年後のアクセンチュアは現在の姿とは全く異なるだろう。しかし、「テクノロジーを軸に顧客にインパクトをもたらす」というビジョンと「ビジネスの核は人である」という本質は変わらない。

卒業生が顧客やパートナーとなる「元アクセンチュア」の強力なネットワークは、今後も会社の大きな資産として機能する。社員が成長し、社会へ輩出されることは、新たな協業を生み出し、社会全体への貢献にも繋がるという認識がある。
会社の規模拡大に伴い、日本社会への貢献意識も高まっている。地方拠点拡大や、官公庁・インフラ産業への支援を通じ、日本企業がグローバルで戦うサポートだけでなく、社会課題の解決にも積極的に取り組む姿勢は継続されるだろう。
