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【速報解説】タイで中国EVが猛攻。日本車は勝てるのか?
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2026年2月19日

今年1月、日本が金城湯池としてきたタイの自動車マーケットで、中国車のシェアが日本車を逆転。今、タイで何が起きているのか?これは一時的な現象なのか?フォーインの安藤久史アナリストに速報解説してもらった。 <ゲスト> 安藤久史|フォーイン アナリスト ソウル大大学院修了後、共同通信グループNNAで経済...
タイ自動車市場で中国車が日本車を上回る衝撃!日本メーカーが取るべき戦略とは?
タイの自動車市場で、長年の「日本車牙城」が崩れるとの衝撃的なニュースが流れた。2026年1月、中国メーカーの販売台数が日本メーカーの合計を初めて上回ったという報道が波紋を呼んでいる。この現象は一時的なものなのか、それとも永続的な市場変革の序章なのか。この動画では、タイ市場で今まさに起きている異変とその背景を深掘りし、日本メーカーが直面する課題と、これから取るべき戦略について詳しく解説する。

Q. タイ自動車市場で何が起きているのか?中国車の台頭は一時的なものか?
2026年1月のタイ自動車市場で、中国メーカーの販売台数が日系ブランドの合計を抜いた。これは長年、日本メーカーが8割以上のシェアを誇ってきた市場での衝撃的な出来事だ。ただし、この現象には一時的な要因が大きく影響している。中国メーカーの躍進の最大の理由は、2026年1月末で期限切れとなったEV補助金制度「EV3.0」の駆け込み需要である。
補助金を狙った販売促進策や大幅な値下げによって、EV購入の機運が高まった結果と言える。このため、2月以降の動向を見るまでは、この数字だけで市場全体のトレンドを断じるのは早計だ。
Q. なぜタイでは中国メーカーのBEVが普及しているのか?今後のEV市場の見通しはどうか?
タイ市場における中国車のシェア拡大は、バッテリー式電気自動車(BEV)の普及と完全に連動している。2022年から2023年にかけて、中国メーカーの市場シェアが4.6%から11%へと伸長した一方、BEVの市場シェアも1.1%から9.6%へと同様に伸びている。つまり、BEVの販売が伸びれば中国車のシェアも拡大するという構図だ。

しかし、このBEVブームも曲がり角を迎えている。補助金が大幅に減額されることや、すでにBEVを購入したアーリーアダプター層への普及が一巡したことなどから、BEVの伸びは一時一服すると予想される。今後の中国メーカーの勢いは、タイ政府がどのような電動化政策を打ち出すかに大きく左右されるだろう。
Q. 中国メーカーの成長は止まらないのか?過去の市場で学んだ教訓とは何か?
中国メーカーの真の脅威は、その価格競争力だけではない。彼らは市場で失敗しても、その原因を徹底的に分析し、改善することで成長を続けている。「失敗から学ぶ」能力が非常に高いと言える。
例えば、先行して中国車が普及した南米ボリビア市場では、一時は市場シェアの3割を占めていた中国車が、2020年には2割を切るまでに急落した。この原因は、低いリセールバリューと不十分なアフターサービス網であった。しかし、中国メーカーはこの教訓を無駄にせず、対策に乗り出している。これは一時的な落ち込みではあったが、彼らが自らの弱点を明確に把握し、その解決に取り組む姿勢の表れだ。
Q. 中国メーカーは具体的にどのように弱点を克服しようとしているのか?
南米市場での経験から、中国メーカーはリセールバリューやアフターサービス網の強化が急務であることを認識した。その克服のため、驚くべきことに日本の自動車メーカーから経験豊富な人材を引き抜く動きが見られるという。彼らは、日本の長年培ってきた「おもてなし」とも言えるきめ細やかなアフターサービスのノウハウや接客術を学ぼうとしているのだ。
これはかつて半導体や家電分野で日本が経験した歴史と酷似しており、中国メーカーが製品技術だけでなく、販売後の顧客ケアまで含めた「日本式」を習得しようとしている事実は、日本企業にとって非常に大きな脅威となるだろう。
Q. 中国メーカーのグローバル戦略は一貫しているのか?国によって対応を変えるのか?
中国メーカーのグローバル戦略は、市場の特性に合わせて非常に柔軟だ。中国の自動車輸出の仕向け先を見ると、中近東、中南米、アフリカといった市場には、その需要に合わせて主に内燃機関車を投入している。これらの地域では、内燃機関車の割合が60%から90%にも達する。
一方で、タイのようなEV政策が積極的な市場には、BEVを8割以上輸出するという明確な戦略を持っている。つまり、彼らは決して「安価なBEVだけを売る」という一辺倒な戦略ではなく、各国の政策やインフラ、消費者のニーズを細かく分析し、最適なパワートレインの車両を投入する適応能力を備えている。

Q. EVシフトの現実は?BEV普及に理想的な市場条件とは?
BEVの普及は一筋縄ではいかない。世界的に見ても、ガソリン車の方が使い勝手が良いという消費者の認識は根強い。BEVが普及しやすいのは、主に以下の二つの条件を満たす地域だ。
一つは、温暖な気候の国であること。寒冷地ではバッテリー性能が低下し、航続距離が短くなるため、温暖な地域の方がBEVとの相性が良い。二つ目は、充電インフラが十分に整備されている国であること。急速充電でも30分程度を要するため、ガソリンスタンドのような給油の手軽さには遠く及ばず、数多くの充電ステーションが必要となる。
タイは温暖な気候だが、充電インフラの整備はまだ発展途上であり、本格的なBEVシフトには課題が山積しているのが実情だ。
Q. 世界の自動車業界で加速する二極化とは何か?日本メーカーは今後どうすべきか?
世界全体で自動車業界の「二極化」が急速に加速している。米国市場では、GM、トヨタ、フォード、現代、ホンダの上位5グループだけがプラス成長を遂げ、それ以外のメーカーは軒並みマイナスに転落した。

これは、規模の大きいメーカーが、潤沢な利益を研究開発や販促に再投資することで、さらに市場シェアを伸ばすという好循環に入り、中小メーカーとの差が広がる現象だ。EVやSDV(ソフトウェア定義自動車)といった次世代技術への莫大な投資が求められる時代において、ガソリン車とEVの両方に投資できる体力のあるメーカーは限られてくる。欧米メーカーがEVへの集中を表明したのも、投資資金の制約があったためだ。
このような厳しい環境下では、企業間の「合従連衡」が不可避となる。ホンダと日産の提携協議のように、規模を拡大し、開発コストを分担することで生き残りを図る動きが加速するだろう。
日本メーカーがこの潮流で生き残るためには、旧態依然とした「中国メーカーは安かろう悪かろう」という認識を捨て去り、強力なライバルとして徹底的に研究すべきだ。中国のBEV戦略だけでなく、低価格なガソリン車を市場に投入する可能性も考慮し、価格戦略、地域に特化した商品開発、日本式の顧客サービスの更なる深化など、これまでの発想に囚われない多角的な対抗策が必要だ。感情的な反発ではなく、冷静に相手の戦略を分析し、それを上回る柔軟な戦略を打ち出すしたたかな姿勢が、今後の業績を左右する。