
日本代表・瀬古歩夢に聞く、フランスで活躍の理由
瀬古歩夢選手が語る、フランスリーグでの驚異的な進化の秘訣と日本代表への視点
日本代表ディフェンダー瀬古歩夢選手は、フランスリーグでその存在感を日々高めている。スイスリーグからフランスリーグへの移籍は、リーグのレベルが格段に上がる挑戦であった。しかし彼はこの変化に迅速に適応し、リーグで空中戦勝率6位という驚異的な記録を叩き出すなど、まさに破竹の勢いで進化を続けている。彼がみせる卓越した適応力、プレースタイル、そしてメンタリティは、海外で戦う日本人選手にとって新たなロールモデルとなる。今回のインタビューでは、フランスリーグでの成功の裏側、本職ではないポジションがもたらした成長、日本代表での役割、そして彼が描く未来のキャリア像に迫る。

Q. フランスリーグへの華麗な適応の要因は何ですか?
フランスリーグで順調に活躍できている要因は「5大リーグでプレーできる」という確固たる自信があったからだ。他の日本人選手が5大リーグで活躍する姿も刺激となり、自分の能力が十分に通用すると信じていた。そのため、特別な構えをせずとも自然とプレーに順応できたのは、自身の才能と、ヨーロッパサッカーの環境への適用経験の賜物と言える。
当初、監督の意向でボランチとして起用された。センターバックが本職であったため正直乗り気ではなかったが、リーグのスピード感や1対1の激しさに慣れる上で結果的にプラスに働いたと考えている。チーム事情により与えられたポジションであったが、そこで全力を尽くしたことが、自己の成長につながる貴重な経験となった。
Q. 海外で成功するために、プレースタイルやメンタリティにどのような変化がありましたか?
若手時代は淡々とプレーするタイプだったが、海外では自己主張しないとチームメイトが自分の意図通りに動いてくれないと痛感し、より良くプレーするために意図的に自分の考えを主張するようになった。これはチームメイトから信頼を勝ち取り、自身の意見を受け入れてもらう上で不可欠なプロセスであった。

練習中、新監督から「100%を出していない」と指摘された際、「これが自分のスタイルであり、変えることはできない」と反論。結果として監督の態度が軟化した経験があり、黙っているだけでは通じない世界であると実感した。
淡々としたプレースタイルは、自身がどれほど真剣にプレーしていても、周りから「やる気がない」と誤解されがちである。そのため、自分のスタイルを理解してもらうには、口頭での主張が必要になることがあると認識している。
Q. フランスリーグで高い空中戦勝率を誇る秘訣は何ですか?
空中戦での強さは、体の大きな相手に楽にジャンプさせない独自の技術が秘訣である。具体的には、ボールの落下地点を素早く読み、相手がジャンプする直前に体をぶつけてバランスを崩させ、自身が有利な体勢で競り合うことを意識している。この「タイミングのずれ」を生み出す感覚は、長年の経験と研鑽から培われたものである。
元々は空中戦が苦手であり、むしろ競り合いたくなかった。しかし、海外で自身よりも体格の大きな選手と戦う中で、どうすれば勝てるかを徹底的に考え抜いた。この試行錯誤の結果、かつての弱みがリーグ屈指の強みに変わり、現在では自身の大きな武器として機能している。技術と頭脳を駆使してフィジカル的なハンディキャップを克服したと言える。
Q. ボランチの経験が現在のセンターバックとしてのプレーにどのように活かされていますか?
ボランチでのプレー経験は、ピッチ全体を「俯瞰する目」を養う上で非常に重要だった。この経験によって、ゲーム展開全体を把握し、どこにスペースがあるかを瞬時に判断できる能力が向上したと自己分析している。守備的MFとして中盤を任されたことで、より多角的な視点からゲームを見ることができるようになった。

また、攻撃の起点となる縦パスも自身の大きな特徴だ。試合が停滞している状況では、たとえ成功率が低くてもあえてリスクを伴う縦パスを狙うことを意識している。これは、無理にでも相手の守備を動かすことで、新たなスペースを作り出し、局面を打開しようという積極的な試みだ。ボランチ時代に得た広い視野があるからこそ、こうした挑戦的なパスを選択できるようになったと言える。
Q. 日本代表でのポジション争いや、同世代の選手たちとの関係性はどのようなものですか?
菅原由勢選手や中村敬斗選手といった2000年生まれの同世代は「やんちゃな選手が多い」と評している。しかし、その物怖じしない気質が海外での成功に繋がっていると考えており、久保建英選手も含め、この世代の結束力は非常に強い。お互いが深い部分で理解し合っているため、ピッチ上では互いの動きを予測し、スムーズな連携が可能となっている。
代表チーム内では、熾烈なポジション争いがありながらも、仲間との深い絆は変わらない。試合に出られない選手の悔しさや、見えない努力も共有し、互いに励まし合っている。特に同世代の選手がゴールを決めた際には、自身の喜びのように感じ、すぐに駆けつけて祝福するのは、そうした絆の表れだ。
Q. 森保監督はどのような存在ですか?また、今後のキャリアの展望、特にプレミアリーグへの思いはありますか?
森保監督は、選手一人ひとりと積極的にコミュニケーションを取り、自身の意見も尊重してくれる、非常にオープンな「欧州の監督に近い」タイプだ。プレーを細かく見てくれており、良かった点と改善点を具体的に伝えてくれるため、選手にとっては非常にありがたい存在である。監督から与えられる課題をクラブに持ち帰り、それと向き合うことが、代表でプレーする誇りと責任感、そして成長の原動力になっている。

今後の目標としては、世界最高峰であるプレミアリーグでのプレーが最大の夢だ。特に、鎌田大地選手が所属しているクリスタル・パレスの試合はよくチェックしており、具体的な目標として強く意識している。
右利きだが、3バックでプレーする際は左でのプレーを好む。その理由は、左に位置することで、利き足の右足でボールを保持しながらもピッチ全体を見渡す広い視野を確保でき、ビルドアップの選択肢が増えるからだ。
自身の血液型がAB型であることについて「自分はめちゃくちゃAB型だと思う」と語る。遠藤保仁選手や本田圭佑選手といった個性的な名選手もAB型であり、自身のユニークな部分を自覚している。