
2026年相場予測/日経平均6万8000円がベストシナリオ/解散がない場合、夏に日経平均4万円割れも
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2025年12月24日
月イチで株式相場の解説を行う、「マーケット超分析」の12月回。今回のテーマは、2026年マーケット展望。後編では、大和証券・木野内栄治が相場の行方を大予測。 <出演者> 木野内栄治|大和証券 チーフテクニカルアナリスト 1988年に大和証券に入社。 以来一貫してテクニカル分析業務に従事。日経ヴェリ...
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2026年マーケット展望:木野内栄治の最新予測
2026年の日本株式市場は、国内政治の動向とグローバルなAI市場の動きに大きく左右される。日経平均株価は6万8000円へと駆け上がる可能性と、3万円台まで調整するリスク、まさに天国と地獄、二つのシナリオが同時に語られている状況だ。今回は、専門家が分析する今年の市場展望の根幹にある要因と、それに伴う注目テーマをQ&A形式で深掘りする。

Q. 2026年の日経平均株価はどのような展開を予想するのか?
2026年の日経平均株価は、国内政局、特に「解散総選挙」の行方で大きく二つのシナリオに分かれると予測される。もし高市首相が解散総選挙に踏み切り勝利すれば、海外投資家からの大規模な資金流入が期待でき、日経平均は6万8000円への到達も視野に入るとされている。その場合、この好況は夏から9月頃まで続く可能性があるだろう。
一方で、解散総選挙が実現せず政治への期待が剥落すれば、状況は一変する。後半に予想されるAIバブル崩壊と相まって、日経平均は3万円台まで下落する可能性もあるため、今年の政治判断が市場の明暗を分けるであろう。株式市場は不安定な時期が続くことを示唆している。
Q. 日経平均上昇シナリオを支えるマクロ経済的根拠は何か?
日経平均上昇の根拠は複数存在し、その一つに歴史的な「3割高の法則」が挙げられる。過去の株式市場の高値更新を振り返ると、節目ごとに約3割の上昇を繰り返してきた事実がある。現在の水準からこれを適用すると、次の目標株価は6万8000円が自然と導かれるだろう。

マクロ経済では、約半世紀ぶりに物価や金利が反転する「コンドラチェフの波」の上昇局面にあると見られる。これは過去、蒸気機関や自動車、コンピューターなど、重大な技術革新が起きるタイミングと重なってきた。現代においては、AIがこのイノベーションの役割を担い、デフレ期に滞っていた企業の設備投資や研究開発を促し、日本経済の新たな成長エンジンとなる可能性を秘めている。企業は物不足に直面すると、自ずと生産能力の増強や効率化を図るからだ。
さらに、高市首相が掲げる「高圧経済政策」は、意図的に需要が供給を上回る状況を維持し、企業の投資意欲を刺激する政策である。これにより、研究開発投資が活発化し、全要素生産性(TFP)が向上する効果が期待される。内閣府の試算によると、TFPが0.5%から1.1%に改善するだけで名目GDPの成長は大幅に加速し、本来であれば4年後に達成するGDP目標が2年で実現する可能性もあるという。この名目GDP成長と株価の連動性を踏まえれば、「4年後に日経平均10万円」といった見通しが早期に達成される可能性もあり、株価の上昇速度を早める要因となるであろう。
Q. なぜ解散総選挙が株価の行方を左右する大きな要因となるのか?
株価の大きな動向を決定づけるのが、政治の「解散総選挙」という判断である。その時期は、様々な要因から2026年3月がデッドラインと目されている。第一に、2027年1月から開始される防衛費財源確保のための増税議論が本格化する前に、国民の信任を得る必要があるだろう。第二に、赤字国債発行を可能とする特例公債法の更新が2026年3月に迫っているからだ。現在の参議院は与党が過半数を持たず、法案通過には野党の協力が不可欠な状況にある。この硬直を打破し、政策推進の基盤を強化するには、国民民主党との連携を含めた新たな多数派形成に向けた選挙が必要と見られる。
日本の株式市場で大きな存在感を持つのは外国人投資家であり、彼らは「構造改革や成長戦略を強力に推進できる政権のリーダーシップ」を非常に高く評価する傾向がある。小泉政権時の郵政解散やアベノミクス開始時の総選挙における大規模な買い入れが、その典型的な事例である。解散総選挙での勝利は、そうしたリーダーシップへの期待値を最大限に高め、大量の資金流入を誘発する可能性が高いだろう。逆に、3月までに解散がなければ政治的期待は急速に薄れ、高市トレードによる上昇分が帳消しになり、株価は4万円程度まで調整するシナリオも現実味を帯びるであろう。外国人が「昔のダメな日本」に戻ると判断すれば、大規模な資金流出に繋がる可能性があるため、政局の動向には注目が集まる。
Q. 2026年後半にグローバル市場で懸念される「AIバブル崩壊」とはどのようなものか?
グローバル市場では、2026年後半に「AIバブル崩壊」のリスクが浮上すると予測されているが、年前半はむしろ回復基調で進む見通しだ。昨年11月のAI関連株の調整は、未公開企業向けのプライベートクレジット市場の信用不安が要因だった。しかし、ジャンクボンド市場が年末をピークに回復する季節性から、年明けにはこの資金不安は後退し、AI関連株は反発すると見られている。DRAMなど半導体メモリ価格の急騰はAI需要の力強さを示唆し、現在のメモリ価格がピークだとしても、TSMCの設備投資の動向から半導体ブームは2026年半ばから秋頃までは継続する公算が大きい。

本格的な懸念は2026年後半、NVIDIAの次世代AIチップ「ルービン」の登場で顕在化する可能性がある。ルービンは消費電力が極めて高く、従来の冷却方式では対応できないため、液浸冷却などの特殊な技術が必要となる。この製造プロセスの複雑さは、NVIDIAの歩留まり悪化と利益率の低下を招き、株価を押し下げるリスクをはらむ。さらに、クラウドサービスを提供するビッグテック企業も苦境に立つであろう。高性能な新チップを求める顧客と、それに供給が追いつかない現状の間で板挟みとなり、売上増収率の鈍化と同時にデータセンターへの巨額な設備投資が続くため、キャッシュフローの悪化というダブルパンチを受ける恐れがある。この資金繰り問題が長期化すれば、テック業界全体に深刻な調整が訪れ、「AIバブル崩壊」と言える状況に陥ることも十分に考えられるのだ。
Q. 2026年に注目すべき国内の成長セクターとテーマは何か?
2026年の国内市場では、政治的な動向とは別に、着実な成長が見込めるいくつかのセクターとテーマが存在する。一つは「フィジカルAI」、すなわち実世界で稼働するロボットとAIの融合分野だ。日本はロボット技術において世界的に優位性を持ち、ファナックとNVIDIAの協業に見られるように、仮想空間でのシミュレーションを通じてAIに物理法則を学習させることで、ロボットの知能化を飛躍的に進めることが可能となる。この分野には今後、大規模な投資が集積するであろう。
二つ目は、AI需要から得た利益をさらに設備投資や研究開発に投じる「拡大再生産」を実行する企業である。単に売上が増えただけでなく、将来の成長を見据えて再投資を行い、生産能力を拡大する企業こそが持続的な成長を実現する。例えば、AIデータセンター向けの光ファイバー需要で好業績を上げた古河電工は、1000億円規模の設備投資で生産能力を5倍に増強している。こうした積極的な成長戦略をとる企業群に注目が必要だ。

三つ目は、国の成長戦略として位置づけられる「造船・港湾」分野である。地政学的な重要性が高まる中、米国では自国の造船能力が低下しており、日本に対する建造・修理の期待が高まっている。国内の造船所では1兆円規模の能力倍増計画が進行しており、住友重機械工業(造船用大型クレーン)などが直接的な恩恵を受ける見込みだ。また、自衛隊の迅速な展開支援や老朽化したインフラ対策として港湾整備も喫緊の課題であり、五洋建設や若築建設といったマリコン(海洋土木)企業もビジネスチャンスを迎える。これらのテーマは、ミクロ経済レベルでの着実な成長と国家戦略がリンクしている点が強みである。
2026年は日本経済と株価にとって歴史的な転換点となりうる一年だ。政治の決断が市場の方向性を決定づける一方で、AIとイノベーションは国内の特定セクターに大きな成長機会をもたらす。変動の大きい年において、マクロとミクロ両方の視点からの分析が重要となるであろう。
