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高市政権の外国人政策:厳格化のあり方は?
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2025年12月17日

現在の日本では、総人口に占める外国人の割合は過去最高の約3.2%に達し、2070年には10%を超えるとの予測もある。こうした状況の中、来年1月には政府による外国人政策の基本方針が策定される予定だ。社会変革の真っただ中にある日本において、私たちは外国人政策をどのように捉え、対応すべきなのだろうか。国際...
外国人政策の「厳格化」は本当に日本のためか?本質的な課題と取るべき道筋
外国人材の流入が加速し、日本社会において彼らとの共生は避けられないテーマである。政府は「外国人政策の厳格化」を掲げ、世間の注目を集めているが、その実態は本当に日本の国益に資するのだろうか。本稿では、外国人政策の専門家二名の見解を基に、現在の政策課題とその本質、そして日本が真に取るべき道筋をQ&A形式で深く掘り下げる。


Q. 現在政府が推進する外国人政策の「厳格化」は、どこに焦点を当てているのか?
政府が推し進める外国人政策の「厳格化」は、不法滞在や外国人犯罪など、来日外国人全体のわずかな部分にのみ注力しているのが現状である。これは「スローガンとしての厳格化」や「パフォーマンス」に近く、実際に日本人の日常生活を改善する本質的な効果は期待できないと専門家は指摘する。
事実として、日本に訪れる外国人は年間約4,000万人に及び、そのうち中長期滞在者は400万人近くに上る。しかし、政府の議論では、この膨大な数の外国人が日本社会にもたらす影響(例えば、オーバーツーリズムの解決策や中長期滞在者の社会統合)についてはほとんど触れられていない。問題は、政策が本質的な課題から目を逸らし、表面的な部分に集中していることにあるのだ。

Q. 従来の技能実習制度に代わる新たな在留資格「特定技能」や「育成就労」では、何が変わったのか?
過去に多くの問題を抱えていた技能実習制度は、2027年以降に「育成就労」制度へ移行する予定だ。技能実習は建前上「国際貢献」を目的としていたが、実態は日本の労働力不足を補う制度と化しており、その乖離が問題視されてきた。新たな育成就労制度は、この矛盾を解消し、「労働力確保」を明確な目的としている。
新制度では、日本語能力の要件が大幅に厳格化された。従来の技能実習では日本語能力はほぼ問われなかったが、特定技能では日本語能力試験N4(基本的な日本語が理解できるレベル)以上、育成就労でもN5(簡単な日本語が理解できるレベル)が必須となる。また、特定技能においては専門的な知識や技能に関する試験のクリアも求められる。特に介護分野では、3つの専門試験と日本語能力試験の合格が義務付けられ、非常に高いハードルが設けられた。
現場からは、最低限の日本語能力を持つ特定技能人材の増加により、通訳なしでの業務進行が可能になるなど、改善の効果が報告されている。受け入れ企業にも、外国人を地域社会に溶け込ませるための努力が義務付けられるなど、より丁寧な制度設計が進んでいるのが現状である。
Q. 永住許可や土地取得に関するルール強化は、どのような意味を持つのか?
政府が検討している土地取得ルールの厳格化や永住許可手数料の大幅な引き上げ案には、実効性を疑問視する声がある。まず、外国人による土地取得の実態については、全国規模のデータが不足しており、「買われている」という漠然としたイメージが先行している側面が大きい。唯一存在する内閣府の2023年度の調査によれば、重要施設周辺での外国法人等による土地取得は、面積ベースでわずか0.75%と極めて限定的である。
また、永住許可手数料を現状の数千円から30万円に引き上げるという案は、諸外国と比較しても突出して高額であり、「盛りすぎ」との意見が出ている。仮に30万円に引き上げられたとしても、5年ごとの更新で済む「定住者」資格を選べば高額な費用を回避できるため、厳格化としての効果は薄い可能性がある。他国、特にアジア諸国では、外国人による土地所有に厳格な制限を設けている例も少なくないが、それが国内の不動産価格にどれほどの直接的な影響を与えるかは不明なままである。
このような政策が、外国人からの労働力や投資を減少させ、日本の国際競争力を低下させる懸念も指摘されている。日本社会が外国人を受け入れる上で、明確なデータに基づき、かつ国際的な視点を取り入れた議論が必要とされる時期に来ていると言える。

Q. 外国人による犯罪や不法滞在は、実際にどれほどの規模で発生しているのか?
政府の厳格化の背景には、外国人による不法滞在や犯罪への懸念がある。しかし、これらの問題は数字で見る限り、非常に限定的な規模で発生しているのが現状である。現在、日本国内の不法滞在者は約7万人に過ぎず、これはアメリカの1,200万人と比較すると桁違いに少ない。この数字は国際的に見ても異例の少なさであり、「日本の国境管理は完璧」とさえ評されるほどだ。
同様に、外国人による犯罪についても、年間の件数は1万件を下回っており、来日外国人全体の数(年間4,000万人以上)を考慮すると、極めて低い割合に留まる。これらの事実を踏まえると、不法滞在や外国人犯罪を政策の中心に据え、厳罰化を進めたところで、日本人の日常生活が劇的に改善されることはない。本質的な問題が極小であるにもかかわらず、ここに政策資源を過剰に投入することは、国民の不安を不必要に煽る一方で、より重要な課題への対応を遅らせる恐れがある。
Q. 外国人との共生社会を築く上で、日本政府や社会が最も注力すべき課題は何なのか?
専門家は、外国人との社会摩擦を根本的に解決するために、すべての長期滞在外国人に対する「日本語教育」と、日本の文化・マナーを教える「生活オリエンテーション」の義務化を提言している。現在の日本では、国費で手厚い日本語・文化教育を受けられるのは難民認定者のみという不均衡な状況がある。しかし、ゴミ出しや騒音、地域行事への不参加など、外国人との間に生じる多くの問題は、悪意からではなく「日本のルールを知らない」ことに起因する。この問題を解決するには、単に規制を強化するのではなく、適切な教育と情報提供が不可欠だ。

西ヨーロッパや北欧諸国では、既に20年ほど前から、在留資格の更新要件として言語テストや社会統合コースの受講が義務付けられている。これらの国々は、費用の一部を自己負担させることで、教育の出席率向上にも成功している。日本もこうした先行事例に学び、中央政府が財源を確保し、地方自治体や企業と連携して日本語教育と生活オリエンテーションを提供すべきだ。
実際、特定技能制度では、受け入れ企業に対し、外国人材に地域のお祭り参加を促すなどの取り組みを義務化し、共生社会を推進する良い兆候が見られる。このような施策をより広く展開し、外国人材が日本社会に円滑に統合できるよう支援することが、持続可能な共生社会を築く上での鍵となる。一部の違法行為者を「外国人=悪」と決めつける風潮は、日本の社会と経済を支える多くの善良な外国人に対し、失礼であるだけでなく、日本の国際的な評判をも損ねるだろう。