
高市総理は日本を救うか
高市新政権が目指す経済戦略とは?「サナエノミクス」の全貌を徹底解説

高市新政権の発足に伴い、市場は期待と懸念が交錯する状況にある。
日経平均は5万円台に乗り、一方で1ドル152円を超える記録的な円安が進行中だ。
安倍政権下で進められた「アベノミクス」からさらに進化した「サナエノミクス」が日本経済をどのように牽引するのか、アベノミクス初期のブレーンであり、高市氏の思想に深く通ずる本田悦朗氏の見解を中心に、その経済戦略の核心と今後の展望を深く考察する。
Q. 新政権発足で沸き立つ市場、株価高騰と超円安の現状をどのように評価するか?
現在の円安進行は、本田氏によれば、緩やかな変化であれば実体経済への影響は限定的である。
急速な変動は問題を生じさせ、為替介入の可能性もあるものの、基本は変動相場制に基づき市場に委ねるべきという見方である。
また、円安による輸入物価上昇への対策は金融政策ではなく、財政政策で対応すべきだと指摘する。
例えば、食料品にかかる消費税を恒久的にゼロにするなどの財政措置で、国民の負担を直接軽減すべきと提唱する。
マーケットが高市氏の過去発言から「金融緩和継続」を過剰に織り込み、円安が進んだ可能性も指摘される。
しかし、実際の円安進行には米ドル高の要因も大きく、高市氏の金融政策観だけで動いているわけではない。
トランプ氏のドル金利引き下げ意向や米中関税交渉の動向を考慮すると、来年にかけて円安は落ち着く可能性があり、目先の急激な円安進行に対しては冷静な視点と慎重な対応が求められる。

Q. 為替レートの急速な変動に対し、日本銀行は金融政策で介入すべきか?
高市氏は日銀法3条(独立性)と4条(政府との連携)のバランスを重視すると述べる。
金融政策の目的や物価目標(例:2%)を設定するのは政府の役割であり、その達成手段(金利操作など)は日銀に任せるべきだという考えである。
日本のコアCPI(米国基準)は1.3%に低下しており、国内の需要牽引型インフレ(ディマンドプル)はまだ不十分だ。
このデータから、日銀が為替のみを理由に利上げを急ぐ正当性は低いと見ることが可能である。
利上げは住宅ローンや設備投資に悪影響を及ぼすため、為替の変動のみを理由とした金融政策の判断は慎重であるべきだ。
現時点ではコミュニケーションの時間が不足しており、日銀は慎重な姿勢を保つべきだとの見方を示す。

Q. アベノミクスが「デフレマインドの転換」だったとすれば、「サナエノミクス」が目指す「高圧経済」とはどのようなものか?
アベノミクスは、デフレがもたらす悪循環(物価下落期待による消費・投資の先送り)を断ち切り、金融緩和と財政出動でデフレマインドをインフレマインドへと転換させる点に本質があった。
これに対し、「サナエノミクス」はデフレ脱却後の経済環境が前提となるため、需要を供給能力以上に高める「高圧経済」を目指す点が大きな違いである。
これは需要不足を埋める段階から、需要超過で供給力向上を促す段階への移行を意味する。
需要が供給を上回る「作れば売れる」状況を作り出すことで、企業は人手不足に対応するためAIやDX、ロボット導入といった生産性向上投資を活発化させる。
これが新たな経済の好循環を生み出し、生産性向上とともに潜在成長率も引き上げるという狙いがある。
日本の潜在成長率が低い最大の要因は、バブル崩壊後の国内における設備投資の停滞にある。
過去の行き過ぎた円高が、企業に国内でなく海外への投資を促した経緯があり、円安の今こそ国内投資回帰の好機であると捉える。
Q. 財政健全化における「プライマリーバランス黒字化」の課題と新しい視点とは?
アベノミクスが十分に経済成長を成し遂げられなかった一因として、財務省が掲げる「プライマリーバランス(PB)黒字化目標」の存在が指摘される。
この目標は結果として緊縮財政を招き、経済成長の足かせになったと考えられる。
PB黒字化を目的化すると、その達成のために歳出削減が過度に進み、経済は縮小均衡に陥る。
本来、経済成長が実現すれば税収は自然に増加し、結果的にPBが黒字化するのが正しい順序である。
高市氏が提唱する新しい財政規律は、PB黒字化ではなく「債務残高の対GDP比」を安定的に引き下げることだ。
分母であるGDPを成長させれば比率は自然に下がるため、経済成長を重視した財政運営が可能になる。
財政破綻を避ける上で重要なのは、PB黒字化自体を目標とせず、経済成長を通じて持続可能な財政を確立することだと言える。
財政規律の指標としては、借金総額で見る「グロス債務」と資産を差し引いた「純(ネット)債務」があるが、IMFやOECDなど国際標準では「純債務」で財政状態を評価することが一般的だ。
しかし、高市氏が演説でグロス債務に言及したことには、財務省への配慮があった可能性も指摘される。

Q. 高市新政権の成長戦略の二つの柱、「危機管理投資」と「成長投資」とは具体的にどのような内容か?
高市流成長戦略の2本柱は「危機管理投資」と「成長投資」である。
危機管理投資は、防衛、半導体、エネルギー(原発、小型モジュール炉、核融合技術)など、安全保障に直結する分野への戦略的な投資を指す。
他国からの購入だけでなく、国内での技術開発や生産能力の強化を図ることで、経済的な波及効果を狙う側面もある。
特に、高市氏の原子力や化学物質に関する詳細な知識が、具体的な政策立案に活かされるだろうと見込まれる。
一方、成長投資は、AIやDX、ロボット技術への投資によって人手不足を補い、生産性向上を追求するものだ。
さらに、「人への投資」も重視しており、人材育成、職業訓練、大学や高等専門学校教育の強化を通じて、社会全体の人的資本を高める方針である。
これらの投資は官民協調で推進され、日本経済全体の牽引力となることを目指している。
防衛費増額や子育て支援など財政需要が多岐にわたる中、限られた財源で何に優先順位をつけるかが政治の腕の見せ所となるだろう。
Q. 「身を切る改革」を掲げる日本維新の会との連立は、高市政権の「積極財政」にブレーキをかける可能性はあるか?
維新の「身を切る改革」と高市氏の「積極財政」は一見すると矛盾するように見える。
身を切る改革が単なる歳出削減に終始し、経済成長に必要な投資まで削ぎ落としてしまうリスクが懸念される。
過去の民主党政権時代の事業仕分けのように、非効率な事業の見直しが「必要ではない肉」まで切られてしまうと、経済活動を阻害しかねない。
ただし、維新は原発推進や外国人不動産投資規制など、高市氏の政策と親和性が高い部分も持ち合わせており、全面的な対立ではないと見る。
新財務大臣に元大蔵官僚の片山さつき氏が就任したことは、緊縮圧力を緩和する上でプラスに働く可能性もある。
片山大臣は財務省の手の内を知り尽くし、かつ決断力がある人物として評価されており、成長重視の政策を推進する上で大きな力となると期待されている。

Q. 日本の潜在成長率を引き上げるため、今後の労働市場改革や中小企業支援にどのような視点が必要か?
供給力強化の鍵は、失われた30年間で染み付いた企業経営者のデフレマインドを完全に払拭することにある。
政府は「作れば売れる」高圧経済の環境を維持し、企業が安心して国内投資に踏み切れるという信頼感を醸成することが不可欠だ。
構造改革は経済が正常化しつつある今こそ必要であるが、単なる需要無視の改革ではなく、需要創出と両輪で進めるべきである。
中小企業支援についても、従来の「弱者保護」として補助金漬けにする発想から脱却し、将来性のあるスタートアップを育成する視点に転換すべきだ。
政府支援は企業にではなく個人に(例:教育バウチャー)提供し、学校や企業間の健全な競争を促すことで、産業全体の生産性向上につなげる方針である。
労働時間の減少は潜在成長率の大きな足かせとなっており、「働きたい人が働けない」状況の改善が急務だ。
働き方改革の見直しに加え、年齢による差別となる定年制の撤廃を検討することも有効である。
また、女性が低賃金の非正規雇用に集中する現状を改善し、能力に応じた正規・フルタイム雇用の選択肢を増やすことで、日本全体の所得水準を引き上げることが期待される。
新政権には、高い支持率を背景に早期の解散総選挙で安定政権を築き、景気回復の長期化を期待する声がある。
国民が未来に夢を持てる政治を実現し、日本の良さや誇りを再認識させるリーダーシップが今こそ求められている。