PIVOT TALK LIFE
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2025年10月19日

待機児童問題の解消が進み、保育園が選べる時代が到来している。保育の質が問われる時代に、非認知スキルへの注目が高まっている。では、どうすれば非認知スキルを高めることができるのか?家庭での実践法を含めて、保育施設の運営を行うエデュリーの菊地翔豊社長に聞いた。 <ゲスト> 菊地翔豊|エデュリー代表 高校...
現代社会で子供たちの将来の成功に不可欠とされる非認知能力は、学力テストでは測れない多様なスキルで構成される。
乳幼児期にこの能力を効果的に育む環境が、将来の所得や社会性の向上に大きく寄与することが研究で示されている。
本稿では、保育のプロが推奨する「探求型教育」の考え方を踏まえ、自宅で実践できる具体的な3ステップを解説する。

非認知能力とは、忍耐力、自己制御、社会性など、学力テストやIQでは測定できない個人の内面的な力を指す。
記憶力や計算力などの認知能力とは異なり、これらのスキルは人生のあらゆる側面に影響を与える重要な要素となる。
ヘックマン博士の研究では、乳幼児期に非認知能力が高かったグループが、大人になった際の所得や犯罪率においてポジティブな結果を示したという報告がある。
これにより、非認知能力が単なる性格特性ではなく、生涯にわたる幸福や成功に深く関連することが明らかになった。
日本の出生数は過去30年で半減し、待機児童問題はかつてのような深刻さを失っている。
これにより、保育園は子供を預かる「量」の確保から、提供する教育内容の「質」で選ばれる時代へと移行しているのが現状だ。

国が定める最低限の基準はあるものの、具体的なプログラムや教育方法は各園に委ねられており、保育の質には大きなばらつきが生じている。
一部の園では、伝統的な一斉保育を続ける一方で、子供の主体性を尊重した探求型保育を実践するところも増加傾向にある。
保育園の質に関する国際的な指標「エカーズ」で測られた客観的な質と、保護者の主観的な満足度は必ずしも比例しないという研究結果がある。
これは、保護者が目に見えやすい英語や習い事などの付加価値で園の良さを判断しがちであることに起因する。
本当の教育の質、すなわち子供の非認知能力を育む環境の良さは、日常の細やかな関わりや環境デザインといった「見えにくい」部分に宿ることが多いからである。
保育現場ではかつての「自由保育」と「一斉保育」という対立軸があったが、現在はその両方の利点を取り入れた「混合型」が世界の主流となりつつある。
探求型保育とは、子供の興味関心から活動が始まり、「選び、試し、振り返る」という一連のサイクルを通して学びを深める教育手法である。
例えば、焼き鳥屋さんごっこから本物の店を訪問し、そこからどんぐり食への関心を通じて縄文時代を研究し、武器を作る遊びへと発展するなど、子供の探求心は無限に広がる可能性がある。
保育士は単に指示するのではなく、子供の好奇心を刺激する「仕掛け」を作り、活動を支える共同制作者となる。
この教育手法は行政からも評価され、東京都は探求型保育推進のため42億円の予算を計上。博物館への交通費や専門書の購入費用などを補助し、質の高い教育を後押ししている。
家庭でも探求型教育の考え方を応用し、非認知能力を育むための3ステップ「選べる・続けられる・深められる」を実践できる。

**選べる環境:** 子供が主体的に遊びを選ぶには、整理された環境が重要だ。おもちゃは種類ごとに分け、どこに何をしまえば良いか視覚化する。特に、正解が一つではない粘土や布、廃材といった「素材と道具」を用意することで、子供の創造性を刺激し、既成のおもちゃよりも深く考える遊びを促せる。
**続けられる環境:** 熱中している遊びは途中で中断させず、継続できるスペースを確保することが重要だ。毎日全てを片付けるのではなく、制作途中の作品を置く場所を用意すると、子供は試行錯誤を続けることができる。また、作品や遊んでいる姿を写真に撮り、アルバムにするなどで記録に残すことは、子供の自己肯定感を高める。
**深められる環境:** 大人は子供の遊びにただ付き添うだけでなく、時折「レベルの高い作品」を本気で作る姿を見せる。これが子供の「すごい、私もやってみたい」という憧れとなり、次のステップへの意欲につながる。
**本物体験の提供:** 図鑑、博物館、地域の店など、多様な「本物」に触れる機会を設けることで、子供のイメージや思考は格段に深まる。タブレットなどのデジタルツールも、遊びを調べるためのツールとして親子で活用すると良いだろう。子供が自ら学び、もっと探求したいという好循環が生まれるはずだ。
大人は子供のレベルに合わせて接するのではなく、むしろ自らが本気でクリエイティブな作品作りに挑戦し、その姿を子供に見せるべきだ。
これにより、子供は「かっこいい」「こんなものを作りたい」と感じ、自身の活動レベルを高める動機付けとなる。
子供の興味の対象が分かれば、それに関連する図鑑や専門書を家に置いたり、タブレットを活用して一緒に情報を調べたりするなどの支援が可能だ。
また、子供の小さなつぶやきや表情から興味のヒントを拾い、消防署見学や地域のお店訪問といった「本物体験」につなげることも大切である。

こうした「やってみたい」「やってみた」「もっとやってみたい」という探求のサイクルが、主体性や課題解決能力といった非認知能力の根幹を培う。
結果としてのスキル習得ではなく、そのプロセスで試行錯誤する経験こそが、未来を生き抜く子供たちにとって最も重要な学びとなる。