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高市トレードはバブルではない。2035年に日経平均は10万円へ
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2025年10月10日

連日の最高値更新が続く日経平均株価。現在の高市トレードはバブルなのか、そうでないのか?今後、上昇が続くための条件は何か?ピクテ・ジャパンの糸島孝俊シニア・ストラテジストに聞いた。 <ゲスト> 糸島孝俊|ピクテ・ジャパン シニア・ストラテジスト 証券系シンクタンクを経て、日系大手運用会社にて国内株式...
高騰する日本株は「バブル」なのか?真の株価と政局の行方を読み解く
連日最高値を更新する日本株市場は、投資家の熱狂とともに「バブルではないか」との議論を巻き起こしている。市場のこの動きは一時的な過熱なのか、それとも日本経済の新たな時代の幕開けなのか。ピクテ・ジャパンシニアストラテジストの糸島孝俊氏は、現状を「バブルがどうかは終わってみないと分からない」としながらも、現在の相場の特異な状況とその背景を深く分析している。本稿では、米国株との比較から見えてくる日本株の潜在力、高市政権の市場への影響、経営者に求められる変革、そして円安や政局リスクの真実について、糸島氏の見解を基にQ&A形式で考察し、今後の日本株市場の行方を読み解く。

Q. 連日最高値更新の日本株、これは「バブル」なのか?
現在の日本株市場は、どんな悪いニュースでも好材料として解釈される「何でもあり相場」の様相を呈している。例えば、連立政権の不和さえ財政出動への期待に繋がり、米国のAI関連株価上昇を受け、日本もAI関連が牽引すると解釈されるなど、全てが良い方向に転換される。これは特に、多くの市場参加者が小泉氏の総裁就任を予測していた中で高市総裁が誕生したことによる大きなサプライズがきっかけとなっている。「アベノミクス再来」への過剰な期待が相場を押し上げたという。ただし、市場は財政拡大に伴うインフレリスクなどを織り込んでおらず、楽観的な見方に偏っていると糸島氏は指摘する。バブルの定義は「終わってから分かる」ものであり、この強い流れが続く限り、価格水準だけで判断するのではなく「音楽が鳴り止むまで踊る」姿勢が賢明だ。
Q. 日本株のPER・PBRはなぜ米国株ほど上昇しないのか?その原因と今後の可能性は?
日本株と米国株をPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)で比較すると、その評価水準の違いが明確になる。過去10年間で見ると、日本株のPERは概ね11倍から16倍のレンジで推移し、コロナ禍の特殊な時期を除けばこの上限に到達した程度に過ぎない。対して米国株のPERは、マグニフィセントセブンに代表されるAI関連銘柄への期待が牽引し、コロナ禍での高値をさらに上回る水準に達している。この違いは、米国市場が将来への「期待」を株価に織り込んでいる一方、日本市場は未だその期待が十分に評価されていないためだと糸島氏は説明する。
さらに、株価をBPS(1株あたり純資産)、ROE(自己資本利益率)、PER(期待)の3要素に分解すると、2008年以降の日本株の上昇要因はほとんどがBPSの変化(内部留保の積み増し)によるものだったことが分かる。つまり、日本企業は稼ぐ力や将来への期待で評価されてこなかったという現状がある。これに対し、米国株はBPS、ROE、PERの3要素全てがバランス良く株価上昇に寄与している。日本株が米国株のようにPBRやPERが上昇するような企業行動をとれば、潜在的な伸びしろは計り知れないだろう。

Q. 高市政権誕生は、本当に日本株の「期待値(PER)」を押し上げるのか?
高市政権が掲げる「ジャパンファースト」路線は、海外投資家から「Make Japan Great Again」のような期待を集め、日本株の評価水準、つまりPERを押し上げる可能性を秘めていると糸島氏は分析する。従来の政治が抱える「ばらまき」からの脱却と、特定の成長分野への集中的な支援は、デフレで長らく失われていた企業や投資家の「ワクワク感」を醸成するだろう。これは政策の中身だけでなく、強いリーダーシップと方向性を示すこと自体が期待値を高める重要な要素となると指摘する。過去のアベノミクスで未達に終わった「第三の矢」、すなわち成長戦略や構造改革が、AI革命や米中対立といった新たな国際環境の下で、今度こそ実行されるのではないかという期待が市場には芽生え始めている。
Q. 経営者に求められる変革とは何か?これからの日本企業に期待される姿は?
日本企業、特にサラリーマン経営者には、デフレ時代の「守りの経営」からの脱却が求められている。これまでは不採算事業の整理や余剰キャッシュの適切な配分(自社株買いや増配)が評価される時代であった。しかし、株価が上昇し、投資家の意識が変わる中、今後は「中長期的な企業価値の向上」つまり「夢のある攻めの投資」が重視されるようになる。リスクを取り、勝てる分野へ積極的に投資する経営者の姿勢こそが、企業のPER(将来への期待値)を押し上げるという。過去、米国のように大規模なリストラをしなかった日本の企業には、いまだ多くの人的資源が温存されており、これが攻めの経営への転換の際、大きな強みとなりうるのだ。企業が成長へとマインドセットを変えることが、株価を新たなステージに導く鍵となるだろう。

Q. 日本にとって円安は本当に良いことなのか?為替の今後の動きと政局のリスクは?
現在の円安は輸出企業に一時的な恩恵をもたらすが、本質的には人口減や稼ぐ力の低下を示す「国力低下のシグナル」であり、好ましい状況とは言えないと糸島氏は警鐘を鳴らす。通貨の信任低下が進めば、国際的な競争力が損なわれるのは当然である。また、米国が日本の円安誘導を懸念し、利上げへの無言の圧力をかけている状況も無視できない。国内では物価高騰が国民生活を圧迫しており、日本銀行は年内に利上げに踏み切る可能性が高いと予測される。このため、極端な円安(1ドル160円を超える水準)は維持されにくいだろう。さらに、高市政権の不安定な政局も円安を助長するリスクを抱えている。「政治とカネ」問題を巡る自公連立の亀裂は深刻で、連立解消も「ゼロではない」と見られている。政権の不安定化はさらなる円安につながり、株価の足かせとなりうるため、今後の政局の動向には十分な注意が必要だ。
Q. 2035年には日経平均株価が10万円になる可能性はあるか?金は資産保全に有効か?
日経平均株価の長期対数(ログ)チャート分析から、1949年以降のデータは、平成バブル崩壊後の長い調整期間を終え、新たな成長トレンドに入ったことを示唆している。このトレンドが維持されれば、2035年頃には日経平均が10万円に達する可能性も十分に考えられると糸島氏は言う。これは、これまでの内部留保積み増しだけでなく、「期待値(PER)」が株価に本格的に織り込まれるようになった場合に起こるシナリオである。ただし、短期的には、株価が現在の5万円を超える水準に達すると、統計的な過熱感から10%程度の調整が入る可能性もあるため、新規投資は慎重に行い、調整局面を買いのチャンスと捉える姿勢が重要だという。

一方、金価格の高騰も顕著だが、その背景には地政学的リスクの継続と、法定通貨の信頼性低下がある。世界中で行われた大規模な金融緩和により、お金の価値は希薄化しており、実物資産の重要性が増しているのだ。金は通貨のように際限なく刷ることができない希少資産であり、その価値は長期的に右肩上がりで推移すると予測される。現在の金と株の同時上昇は「金余り」の状態を示しており、短期的な調整の可能性はあるものの、資産防衛の観点からポートフォリオの一部として金を保有し続けることは引き続き有効な戦略だと糸島氏はまとめている。