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【日本人の老化・肥満を防ぐ3つの菌】腸内細菌の最新研究
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2025年9月10日

日本人のためのやせ菌・老化防止菌とは。腸内細菌が老化を防ぐ?健康寿命のキーワードは「酢酸」「胆汁酸」「酪酸」。最新科学で分かった腸内細菌の可能性について内藤裕二氏に聞いた。 <ゲスト> 内藤裕二/京都府立医科大学大学院,医学研究科教授,医学博士 京都府立医科大学卒業。腸内細菌学、抗加齢医学、消化器...
腸内細菌が老化を防ぐ?最新研究が明かす健康長寿の秘訣
医学博士の内藤裕二氏に聞く、腸内細菌と老化の関係性についての最新研究を紹介します。京都府立医科大学教授として研究を続ける内藤氏は、病院で患者を待つだけでなく、積極的な予防医学の観点から健康寿命を延ばす方法を探求しています。日本人の老化を防ぐ腸内細菌と食事について、わかりやすく解説します。

老化は「病気」に近いものかもしれない
Q. 老化についての考え方が変わってきているのはなぜですか?
暦の年齢は変えられないものですが、研究が進むにつれて「生物学的な年齢」は人によって異なることがわかってきました。例えば、同じ50歳でも血液検査の結果では60歳相当の人もいれば、40歳相当の人もいます。このように老化のマーカーが発見されるにつれて、これまでどうしようもないと思われていた老化が、実は「病気」に近いものではないかと考える研究者が増えてきています。

驚きの若返り実験——ネズミの腸内細菌移植
Q. 腸内細菌と老化の関係について、具体的な研究例はありますか?
動物実験のレベルでは、年老いたネズミに若いネズミの腸内細菌を移植すると、老化したネズミが若返るという結果が出ています。筋力が衰えたネズミが急に元気になり、活力を取り戻すのです。このように、少なくともネズミの段階では若返りに成功しています。
2023年には人の臨床試験も行われ、メタボリック症候群の傾向がある中年男性に特定の菌を投与したところ、体重減少効果が確認されました。
世界の研究で明らかになった老化を防ぐ菌
Q. 世界的に注目されている「老化を防ぐ菌」とは何ですか?
ヨーロッパの研究グループが発見した「アッカマンシア菌」が世界的に注目されています。この菌を動物実験で投与すると、寿命が延び、筋力も維持できることがわかりました。特に興味深いのは、この菌がダイエット効果も示すことです。
ただし、この菌は日本人の腸内にはあまり存在していません。また、日本での研究では、アッカマンシア菌が多い人は特定の病気を持つ傾向があるという結果も出ており、単純に「良い菌」とは言い切れないのが現状です。
日本人に特有の「老化を防ぐ菌」
Q. 日本人に特有の「老化を防ぐ菌」はありますか?
日本人の場合、アッカマンシア菌の代わりとなる菌として、以下の菌が重要だと考えられています:
1. ロゼブリア菌:酪酸を作る菌として知られ、免疫機能の強化や感染症への抵抗力に関わっています。京都府北部の長寿地域「京丹後」の住民調査では、この菌が多く見つかっています。特にコロナ感染症の重症化を防いだり、ロングコビッドの症状軽減に関連している可能性があります。
2. ブラウチア菌:肥満抑制効果があるとされる菌です。日本人の国際共同研究グループが発見し、ネズミ実験でも効果が確認されています。
3. ビフィズス菌:日本人男性で特に減少傾向にある菌です。減少の理由として、幼少期の母子関係の変化が関係しているのではないかという仮説もあります。ビフィズス菌が少ないと、便が柔らかくなる傾向があるとされています。
長寿研究で発見された「胆汁酸」の重要性
Q. 長寿者の腸内細菌研究で新たに発見されたことは?
日本の100歳以上の高齢者の腸内細菌を調査した結果、「胆汁酸」に関する重要な発見がありました。胆汁酸は肝臓で作られ、脂肪の消化吸収を助ける物質ですが、100歳以上の人々の腸内では特殊な胆汁酸関連の菌が見つかりました。

興味深いのは、この菌が80歳や90歳の人々には見られず、100歳以上の人だけに存在することです。これが「努力の結果」なのか、「生まれながらの特性」なのかはまだ解明されていませんが、長寿との関連性が注目されています。
腸内細菌の多様性が健康の鍵
Q. 腸内細菌の「多様性」は重要なのでしょうか?
特定の菌が1つか2つあれば健康になるというわけではありません。重要なのは「多様な腸内細菌」が共存していることです。多様な菌がいることで腸内環境が良くなり、悪い菌の増殖が抑制されます。

世界的な研究では、意外にも食べ物が豊富でない地域の人々の方が、腸内細菌の多様性が高いという結果も出ています。これは、限られた食物からでも栄養を得るために、腸内細菌が協力して様々な物質を作り出している可能性を示しています。
幼少期の環境が腸内細菌を決める
Q. 腸内細菌はいつ、どのように形成されるのですか?
人間の腸内細菌の種類を決めるのは「受精してから1000日」と言われています。つまり、お腹の中にいる10ヶ月と生まれてからの2年間で、ほぼ腸内細菌の基本的な構成が決まります。
この時期に影響するのは:
母親から受け継ぐ菌
母乳か人工乳か
離乳食の内容
生活環境(都会か田舎か、ペットの有無、兄弟の数など)
これらの要素が初期の腸内細菌叢を形成し、その後の健康に大きな影響を与えます。ただし、2〜3歳以降も食生活によって腸内細菌は変化し続けるため、年齢を重ねてからでも改善の余地はあります。
老化を防ぐための食事とは
Q. 健康的な腸内細菌を育てるための食事はどのようなものですか?
腸内細菌、特に「酪酸」や「酢酸」などの短鎖脂肪酸を作る菌を増やすためには、食物繊維が非常に重要です。ただし、コンビニのサラダ程度では十分な量の食物繊維は摂取できません。
また、ヨーグルトなどの発酵食品も役立ちますが、それだけでは不十分です。ビフィズス菌などの善玉菌を増やすには、それらの「餌」となる食物繊維を十分に摂ることが大切です。
腸内細菌の研究はまだ発展途上ですが、将来的には腸内細菌が作り出す物質を直接摂取するような方法も開発されるかもしれません。現在、その領域では大きな研究資金が投じられています。
健康寿命を延ばすための提案
Q. 腸内環境を整えるために、今から始められることは何ですか?
研究データによると、60代から健康に気を使い始めるよりも、40代から適切な食事や運動を始めた人の方が、健康で長生きする傾向があります。
また、自分が健康なときの腸内細菌を保存しておく「便バンク」という考え方も出てきています。将来、病気になったときに、健康だった時期の自分の腸内細菌を移植することで、健康を取り戻す可能性があるのです。
最終的な目標は「幸せに老いる」ことです。腸内環境を整えることは、単に寿命を延ばすだけでなく、健康寿命を延ばし、質の高い生活を送るための重要な要素となります。