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「スタイル」で人材獲得? 良い採用3ステップ
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2025年8月6日

近年、就活生の多くはAIを使って「とりエン(とりあえずエントリー)」しているという。人材採用の最前線を知り尽くしたNo Company・秋山真氏に、いま企業がとるべき採用戦術を聞いた。
新時代の採用戦略「スタイルマッチ」とは?企業が乗り越えるべき3つの壁
新しい採用手法「スタイルマッチ」について、人材採用の最前線を知り尽くしたNo Company代表・秋山真氏に詳しく聞きました。企業の採用活動における課題と解決策、そして将来展望について語ってもらいました。

Q. 採用活動において、企業が乗り越えるべき課題とは何ですか?
採用活動において企業が乗り越えるべき課題は大きく3つあります。1つ目が「認知」、2つ目が「認識」、3つ目が「動機づけ」です。これらを1つずつ乗り越えていかないと、採用活動はうまくいきません。
認知は当然ながら、企業が知られていなければエントリーはされません。認識については、企業名は有名でも実際に何をしている会社かわからない、またはテレビCMなどで知られているB2C向けの事業しか知られておらず、他の事業についての認識が偏っているといった課題があります。
最後の動機づけは、特にここ2年ほど課題として浮上しています。内定承諾率の低下や、学生や転職希望者が複数の企業から選ぶ時代において、いかに自社の魅力を伝え、引きつけるかが重要になっています。

Q. 今の採用市場では、企業はどのようにして認知を広げるべきですか?
現在の採用市場では、情報の取得経路が非常に分散しています。SNSもあれば、従来の就職情報サイトも依然として利用されています。ただし、サイトでの滞在時間や得られる情報の質は変化してきています。また、デジタルだけでなく、オフラインでの口コミも非常に強い影響力を持っています。
この分散した状況では、自社が得意とする領域や勝てる場所を見極めることが重要です。例えば、あるパートナー企業では、キャンパスとその周辺のオフラインを重点的に攻める戦略を取っています。4月の離職シーズンやサークルの新歓時期など、キャンパスに人が集まる時期に最寄り駅に広告を出したり、キャンパス内のサイネージや学食のトレイを広告媒体として活用したりしています。
このように、特定の時期や場所を選んで認知を作っていく局地戦が効果的で、限られた予算の中でも自社が勝てる領域を探しやすくなっています。
Q. 効果的な市場調査の方法はありますか?
本格的に調査するなら調査会社を利用する方法もありますが、もっと再現性の高い方法もあります。例えば、実際に応募してきた人たちや選考が進んでいる人たちにインタビューする、学生のコミュニティに人事担当者が入り込んでインタビューするなどの方法です。
これらは努力を要しますが、企業が伝えたいことではなく、学生が知りたいことや彼らが利用しているメディアを把握するために足で稼ぐことは誰にでもできます。オンラインだけでなく、オフラインでの調査も重要で、対面で伝えて響かないことはオンラインでも刺さらないという基本的な感覚は変わりません。
Q. 競合分析には2種類あるとのことですが、詳しく教えてください。
競合分析には「採用競合」と「事業領域競合」の2種類があります。採用競合とは、実際に求職者から見て比較されている企業のことです。重要なのは、この採用競合が必ずしも事業領域で競合している企業とは限らないという点です。
例えば、不動産会社の人事担当者が考える競合は同業他社かもしれませんが、実際に就職活動中の学生は全く異なる業界と比較している可能性があります。広告代理店と企業を比較したり、メーカーのある職種を商社と比較したりすることも珍しくありません。
特に動機づけの段階では、どの企業と比較されているかを正確に把握することが非常に重要です。内定を出し、オファー面談になると、その人を引きつけるためのアピールが必要になります。その際、「うちに来たらこういうキャリアが築ける」というアピールをするには、その人が比較している他社を知らなければ効果的な差別化ができません。
Q. 最後の「動機づけ」はどのように行うべきですか?
動機づけは、内定を出した後、オファー面談などでその人を自社に引きつけるプロセスです。全国平均では、学生1人あたり3〜4社の内定を辞退するというデータがあり、偏差値の高い大学ではさらにその数が増えます。つまり、企業は内定を出した後も3〜4社と競争しなければならない「超戦国時代」にあります。
効果的な動機付けのためには、強みのアピールが重要です。「強豪他社がどうであれ、あなたがいいんです。なぜならば...」というような個人に焦点を当てたアプローチや、「この業界と比較するとこういういいところがある」というように業界の枠を超えたアピールができるかどうかが鍵となります。
また、自社の独自性を伝えるには「スタイル」が重要です。特に企業の「B面」(表には見えにくい部分)の方が差別化しやすいことが多いため、自社ならではのエピソードやストーリー、価値観、行動様式を具体的に言語化して伝えることが効果的です。
Q. スタイルマッチは社会をどう変える可能性がありますか?
スタイルマッチには社会を変える2つの可能性があります。まず、人間が人間らしく活躍できる環境で働くことで、企業の生産性やチーム力を高めることができます。スタイルマッチというフレームワークや、組織内の「OS」のようなスタイルが、企業と働く人のパワーを高める可能性を秘めています。
もう一つは、「らしくあることの素晴らしさ」です。仕事中は普段と違う性格を演じるのではなく、働いている時も普段の自分も同じ性格で過ごせる社会の実現を目指しています。これは仕事に限らず、社会全体をより良くする可能性を持っています。
Q. 早期離職の問題にスタイルマッチはどう関係しますか?
入社後3年以内の離職率は30%から35%という数字が長年変わっていませんが、この問題はスタイルマッチと深く関連しています。早期離職の主な理由として、「配属ガチャ」(配属先の運の要素)、上司との相性、キャリア不安などが挙げられます。

採用はゴールではなく手段であり、その後いかに活躍する人材を増やすかが重要です。そのためには入口である採用段階でのマッチングが非常に重要となります。スタイルマッチを活用して自社の価値観や行動様式を言語化し、採用だけでなく人材戦略全体に落とし込むことで、社内でのミスマッチを減らし、早期離職を防ぐことができます。
Q. スタイルマッチを実践するには具体的に何から始めればよいですか?
スタイルマッチを実践するには、まず企業のスタイルを「作る」工程と「届ける」工程に分けて考えることが重要です。

「作る」工程では、企業における具体的なエピソードやストーリー、価値観、行動様式を表すものを抽出し、言語化します。いきなり4つのスタイル(事業、会社、文化、個人)に落とし込むのが難しければ、まずは会社視点と個人視点という軸で見るだけでも効果があります。
「届ける」工程では、適切な場所で、適切なフォーマットで、ターゲットに確実に届けることが重要です。認知、認識、動機付けの3つのステップを意識しながら、自社のスタイルを効果的に伝えていくことが求められます。
スタイルマッチは採用だけでなく、研修やマネジメント育成のガイドラインなど、組織全体の人材戦略に活用することも可能です。それにより、社内でのミスマッチを減らし、より強い組織へと進化させることができます。