
ストレスケア3選
「過緊張」セルフケアの秘訣 - 専門家が教える3つの"R"
現代社会ではオンの時間が長くなりがちで、多くの人が「過緊張」状態に陥っています。常に緊張状態が続くと、心身のバランスが崩れ、様々な不調を引き起こす可能性があります。精神科医の奥田弘美氏に、過緊張の対処法や予防法について聞きました。

Q. 過緊張状態を防ぐためには、どうすればいいですか?
現代社会はオンの時間が続きやすい環境です。夜になっても街は明るく、自宅にもデジタル機器があふれ、いつでも他者とコミュニケーションができる状況です。このような環境では必然的にオンの時間が長くなり、過緊張状態になりやすくなります。
過緊張を予防するには、オンとオフの区別を自分でつけることが重要です。例えば、夕食後はリラックスの時間と決め、できるだけIT機器に触れないようにしたり、見るコンテンツもリラックスできるものを選んだりするといいでしょう。

夕方からはオフ志向を意識し、カフェインなどの摂取も控えましょう。カフェインは体を活性化させる成分なので、緊張状態を高めてしまいます。夕食後はオフモードを徹底し、良質な睡眠を取ることを心がけることが大切です。
Q. 仕事が終わらず、リラックスする時間が取れない場合はどうすればいいですか?
まずは睡眠を優先することが重要です。若いうちは無理がきくかもしれませんが、40代くらいから体は老化し始め、様々な不調が現れやすくなります。
睡眠医学では、一般的に6〜7時間の連続した睡眠が必要と言われています。ショートスリーパーやロングスリーパーといった例外はありますが、自分に最適な睡眠時間を確保することが大切です。そのためには、就寝の1〜2時間前からリラックスモードに入るよう心がけましょう。
もしそれが難しい場合は、仕事量を減らすという決断も必要になります。健康維持のためには、適切な休息が欠かせません。
Q. ストレス対処のための「3つのR」とは何ですか?
過緊張の予防や対処に効果的な3つのR、それは「レスト(Rest)」「リラクゼーション(Relaxation)」「レクリエーション(Recreation)」です。

過緊張気味の時は、体調が崩れかけている状態なので、まず「レスト」から始めるべきです。若い人や体力がある人は、いきなり「レクリエーション」に走りがちですが、それは間違いです。
レクリエーションとは、フェスティバルに行ったり、ハイキングやテーマパーク、ゴルフなど、楽しいけれどエネルギーを使う活動です。過緊張状態では、まずエネルギーを充電することが先決です。
レストの中心となるのは「睡眠」と「食事」です。これらは体にとって最も基本的で必要なことです。過緊張の症状を自覚している時は、まずレストを優先しましょう。
Q. 食事面ではどのようなことに気をつければいいですか?
基本的な栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。タンパク質、ビタミン、ミネラル、適度な炭水化物を含む、いわゆる「定食」スタイルの食事がおすすめです。
特に疲れを感じている時は、肉、魚、豆腐、卵などのタンパク質を多めに摂取し、その消化を助ける野菜、海藻、果物なども取り入れましょう。
炭水化物も血糖値を上げてリラックス効果をもたらすので、過緊張気味の時は極端な糖質制限ダイエットは避けた方が無難です。ダイエットもタスクの一種であり、タスクを重ねることで緊張が取れにくくなります。
Q. レストとリラクゼーションの違いは何ですか?
レストで体力を回復させた後に取り入れたいのが「リラクゼーション」です。リラクゼーションとは、あまりエネルギーを消費せずに楽しめる活動のことです。
例えば、マッサージを受けたり、家でのんびり動画や音楽を楽しんだり、近所を散歩したり、ヨガをしたりする活動が含まれます。エネルギーをあまり使わない、気分転換になる活動を選びましょう。
重要なのは、まずレストでしっかり休息を取り、その後リラクゼーションで気分転換をし、最後にレクリエーションで楽しむという順序です。この順序を守ることで、効果的に過緊張状態から回復できます。
Q. これらの対策をしても過緊張状態が改善しない場合はどうすればいいですか?
3つのRを意識して生活しても症状が改善しない場合、特に重度の過緊張症状がある場合は、適切な医療機関を受診することをお勧めします。
睡眠やメンタルの問題であれば、心療内科や精神科、最近では睡眠専門のクリニックもあります。体の症状が出ている場合は、症状に合わせた診療科(胃腸の不調なら消化器内科、耳鳴りなら耳鼻科など)を受診しましょう。
自分の状態を客観的に評価し、必要に応じて専門家の助けを求めることも大切です。
Q. 職場でのマネジメントや同僚は、過緊張状態の人にどう接すればいいですか?
管理職の方は、部下が適切に休息を取れているかを定期的に確認することが大切です。特に残業が増えていたり、責任が急に増したりしている人には注意が必要です。
一対一のミーティングなどで、「きちんと休めているか」「睡眠は取れているか」といった質問をし、「最近眠りにくい」「家に帰っても仕事のことばかり考えてリラックスできない」などの声が聞こえてきたら、仕事の調整を検討すべきです。
また、業務時間外のメールやチャットは極力控えるという配慮も必要です。「今対応しなくていいから、とりあえず送っておく」というメールでも、受け取った側は気になってしまいます。お互いのオフタイムを尊重する雰囲気やシステムを作ることが重要です。
この配慮は上司から部下だけでなく、部下から上司への配慮も同様に大切です。職場全体でオフタイムに仕事を持ち込まない文化を醸成することが、過緊張を防ぐ環境づくりにつながります。

