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明るい人は本当に得をするのか?
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2025年7月24日

人は明るいからうまくいくのか?うまくいっているから明るいのか? 勝ち負けの思考にこそうまくいかない原因があると『明るい人の科学』著者で精神科医の和田秀樹氏は語る。明るいことが善とされている現代で得する人の特徴を聞いた。 <ゲスト> 和田秀樹|精神科医 東京大学医学部卒業。米国カール・メニンガー精神...
明るい人は人生がうまくいくのはなぜ?精神科医・和田秀樹が明かす「能天気で生きる方法」
明るい人の周りには人が集まり、ビジネスもうまくいく…そんな印象はないだろうか。だが単に明るいだけが重要なのではない。精神科医の和田秀樹が説く「明るさの本質」とは何か? 暗い気持ちになったときでも立ち上がれる強さを持つ人の特徴と、そのマインドセットについて解説する。

Q. 明るい人は本当に人生がうまくいくのでしょうか?
明るい人の方が人生がうまくいく傾向はあると考えられる。例えば野球選手でいえば、ホームラン記録を持つ王選手よりも、明るい長嶋選手の方が人気が高く、その子どもまで人気者になっている。人間は明るい人に惹かれる性質がある。それは自分自身が明るくなれないからこそ、明るい人に魅力を感じるのだ。
精神科医として患者と接する際も、「笑顔」は重要な武器になる。患者が悩みを話した時に「それは大変だけど、良い面もあるかもしれないね」と明るい表情で返すことで、患者の気持ちが楽になることがある。笑顔の持つ力は非常に大きい。
Q. 明るいからうまくいくのか、うまくいくから明るいのか、どちらが正しいのでしょう?
両方正しい。確かに「うまくいっているから明るい人」もいる。例えば双極性障害の患者は躁状態の時は非常に明るく、何でもできるという気分になるが、うつ状態になると暗く押し黙ってしまう。

しかし、注目すべきは「逆境の中でも明るさを保てる人」だ。楽観的な人は、何かに挑戦する時に「これはうまくいくかもしれない」と考えるため、バッターボックスに立つ回数が多くなる。大谷翔平選手が二刀流という新しいジャンルを確立できたのも、周囲からさまざまな意見があっても自分の道を進んだからだ。
Q. 明るい人とはどのような人を指すのでしょうか?
明るい人の定義は「楽天的で、バッターボックスに立つ人」と言える。物事を楽観的に考え、新しいことに挑戦する人だ。ただし、明るい人とは何でもできる人ではない。
全ての分野で明るくなれる人はほとんどいない。自分ができると思う分野でチャレンジするのが重要だ。例えば私自身、本や映画制作など自信のある分野では積極的にチャレンジするが、スポーツなど苦手な分野では避ける傾向がある。重要なのは「これならできる」と思える分野を見つけることだ。

何でもできる人になる必要はなく、自分の得意分野を磨くことが大切。みんなに合わせたり、好かれようとすることで無理に明るくしようとすると、かえって明るくなれない。演じることなく自然体で明るく見える人が真の明るい人だ。
Q. 明るくなるためにはどうすればいいのでしょうか?
明るくなるための具体的な方法はいくつかある。
まず「実験精神を持つこと」だ。エジソンは「私は失敗したことがない。うまくいかない方法を1万通り学んだだけだ」と言った。日本の教育では失敗を避ける傾向があるが、実験とは成功が約束されたものではなく、失敗から学ぶことに意味がある。
次に「表情を明るめにすること」。笑顔の力は大きく、作り笑いでも免疫力が上がるという研究結果もある。愛想よく、腰の低い態度を心がけるだけでも、人間関係が円滑になる。
また「口癖を変えること」も効果的だ。「どうせダメだ」という否定形の言葉を避け、「とりあえずやってみよう」「まあいいか」といった前向きな言葉を意識的に使うようにする。「まあいいか」と言うことで、完璧を目指す人の肩の力が抜け、気持ちが楽になる。
Q. 職場環境が厳しく、なかなか前向きになれない場合はどうすればいいですか?
職場環境が合わず苦しい場合、適応障害になることもある。適応障害の治療法は二つしかない。一つは職場からの逃避(配置転換や転職など)、もう一つは職場に対する見方を変えることだ。
見方を変えるとは、例えば「うるさい上司は自分の成長を願っているのかもしれない」と考え方を転換することだ。しかし、それでも改善しない場合は「逃げる」という選択肢も悪くない。自分に合わない環境から離れることも時には必要だ。
重要なのは、現状を変えるには何かしらのアクションが必要だということ。現状維持を続ける限り、状況は変わらない。
Q. 失敗を恐れず、前向きに考えるにはどうすればいいですか?
失敗を恐れない心構えとして「勝ち負け思考から抜け出す」ことが大切だ。世の中に絶対的な正解はないと認識し、「あなたの言うことも正しいかもしれないし、私の考えも間違いではないかもしれない」という姿勢を持つことが重要。
このように考えると思考の幅が広がり、波風を立てずに議論ができる。また「勝たなくてもいいが、負けない方法がある」というマインドセットが身につく。どちらの意見も尊重する姿勢を持つことで、議論の場でも負けることがなくなる。
完璧主義から脱却し、「やる以上成功しなければならない」という思い込みを手放すことも大切だ。「失敗するかもしれないけどやらせてほしい」という姿勢で臨めば、心理的なプレッシャーが軽減される。
Q. 明るい人になるために最も大切なことは何でしょうか?
明るい人になるために最も大切なことは「能天気であること」だ。世の中には失敗もあるということを折り込み済みにして、チャレンジし続けることが重要。
例えば、私は950冊以上の本を出版しているが、そのうち900冊以上は売れていない。しかし人々は売れた本だけを見て評価してくれる。バッターボックスに立ち続けることで、時にはヒットが生まれる。

完璧な結果を目指すより、「これはこれでいいかな」と思える寛容さを持つこと。人間の能力差はそれほど大きくないが、行動するかしないかの差は大きい。その意味で、明るい人とは「行動できる人」とも言える。
理屈通りに物事が進むと思い込まず、予想外の結果も受け入れる柔軟性を持つことが、真の明るさにつながる。